犬を飼うと『飼い主の死亡リスク』が低減される研究とは
『犬を飼うと健康になる』という話を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。犬はわたしたち人間を癒してくれるだけではなく、健康にもとても良い影響を与えている、というスウェーデンの研究結果があります。
ウプサラ大学の研究チームが、40歳から80歳のおよそ340万人以上を12年間追跡調査し、健康データを収集しました。その結果、『犬を飼っている人は飼っていない人と比べて、心血管疾患による死亡リスクは23%低減し、総死亡リスクも20%低い』ということが明らかになっています。
また、犬を飼うことによって得られる効果は、年齢や性別に関係なく一貫して認められました。
そこで今回は、この研究結果についてさらに詳しく見ていきたいと思います。
「ひとり暮らし」の中高年層は、より死亡リスクが低減される
今回の研究結果を「ひとり暮らし」と「複数人世帯」に分けて分析したところ、『犬を飼うことによって得られる効果は、単身世帯のほうが大きい』ということが分かりました。
死亡リスクは33%低減される結果が得られ、また日本人の死因第2位である「心血管疾患」に限定すると、単身世帯の方が36%も低減されています。
「ひとり暮らし」の中高年層は複数人と暮らす人に比べてそもそも死亡リスクが高いとされてきたので、この研究結果はとても興味深いものです。
「ひとり暮らし」の場合犬を散歩に連れていけるのは自分しかいないため、自ずと運動量が増えて規則正しい生活ができ、結果として健康に繋がっていることが一因ではないかと考えられます。犬の存在が、がペットというよりも家族としての役割を果たしているからと言えるでしょう。
飼い主が長生きする犬種は「猟犬タイプ」
この研究では「死亡リスクを低減させる犬種」も明らかになっています。それは小型犬よりも大型犬、とくに猟犬です。
科学的な根拠は明らかではないものの、もともと活発な猟犬と暮らすと、自ずと飼い主の運動量も増えるために飼い主の健康維持ができているのではないか、と考えられます。
おすすめの犬種としては、レトリーバー種やポインター種の大型犬が望ましいですが、日本の住宅事情だと難しい一面もあるかもしれません。その場合は、猟犬の血を引く日本犬で最も小柄な「柴犬」がおすすめです。
犬を飼うと『飼い主の死亡リスク』が低減される理由
前述のウプサラ大学の研究では、『犬と暮らすと、死亡リスクや心血管疾患リスクが低減される』という結果が明らかになりましたが、それにはいくつかの理由が考えられます。
- 散歩など運動量の増加
- 社会とのふれあいが増える
- 愛犬のお世話により脳が活性化
- 幸せホルモンにより幸福感が増加
犬と一緒に暮らしている飼い主さんにとっては、全て納得の理由ではないでしょうか。毎日の散歩やお出かけで自然と身体活動レベルは高くなりますし、散歩がきっかけで飼い主さん同士の交流ができることも多いと思います。
大切な愛犬のために「なにかしてあげたい」という奉仕の気持ちは人間に活力を与え、「なにができるだろう」と考えることは脳の活性化に繋がります。可愛い愛犬のお世話は苦になりませんよね。
犬を撫でたり目を合わせることで、人間の脳内から「オキシトシン」というホルモンが出ます。このホルモンは別名「幸せホルモン」と呼ばれており、幸福度が増し孤独感が軽減されると言われています。
まとめ
今回ご紹介したウプサラ大学の研究結果は、「愛犬のために長生きしたい」と願う飼い主さんにとって嬉しい結果と言えますね。
一方、これから犬をお迎えしたいと思っていても、ひとり暮らしの場合は犬を飼うことに踏み切れない部分もあるかもしれません。散歩は毎日行けるだろうか、さみしい思いをさせないだろうか、と思い悩み、最初の一歩が踏み出せない方もいると思います。
しかし、きちんとしつけやお世話をすること、何より愛犬を一生涯大切にするという思いは愛犬に必ず伝わるはずです。
死亡リスク低減のために犬を飼おう!という安易な気持ちはNGですが、愛犬と一緒に健康な毎日を過ごしてくださいね。