マダニ駆虫薬は犬のバベシア症を予防するという研究結果

マダニ駆虫薬は犬のバベシア症を予防するという研究結果

マダニ駆虫薬として使用されている薬が、マダニが介在する感染症のひとつバベシア症を予防するかどうかを調査した結果が発表されました。

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現在使用されているマダニ駆虫薬はバベシア症を予防するか?

愛犬についたダニを見つけた飼い主の女性

近年、地球温暖化の影響でダニなどの寄生虫は、数と活動期間の両方の増加が報告されています。中でもマダニが介在する感染症は急激に増加しており、警戒が呼びかけられています。

マダニに関連した感染症のひとつに、バベシア症があります。バベシア症は、マダニによって媒介される赤血球内寄生原虫が赤血球を破壊し貧血を起こす病気です。犬などの動物と人間の両方で診断されます。

犬では感染しても無症状の場合もありますが、衰弱、食欲不振、発熱、リンパ節や脾臓の腫れ、血小板減少、貧血などの症状が現れ、多臓器不全によって命を脅かす場合も少なくありません。

このような病気を予防するにはダニ駆虫薬を使うことが有効なのですが、現在広く使われているフララネル(商品名ブラベクト)という薬剤が、病気の流行地域においてバベシア症を効果的に予防するかどうかを評価した調査が、ドイツの製薬会社MSDアニマルヘルスによって行われました。

ヨーロッパの3つの地域の犬でフルララネルの効果を調査

チュアブルタイプの薬を与えられるロットワイラー

この調査には143頭の家庭犬が参加しました。マダニの蔓延とバベシア症の診断例の多さに基づいて流行地域が特定され、アルバニア、フランス、ハンガリーの3地域が調査対象となりました。

犬たちは生後8週間以上、体重2kg以上の健康の犬たちで、マダニが多い地域を日常的に散歩しており、庭など屋外に自由に出入りできることが条件となりました。

調査の前にダニや原虫の駆虫薬を使っている犬、バベシア症のワクチン接種を受けている犬、すでにバベシア症陽性の犬は対象外としたそうです。

犬たちはフルララネル(チュアブルタイプのブラベクト)を与えられる犬と与えられない犬に無作為に分けられ、投与0日目と21日目と84日目にバベシア症感染を調査するための血液検査が行われました。

マダニ駆虫薬を正しく投与することでバベシア症感染を予防

ラブラドールから器具で除去されたダニ

フルララネルを与えられた犬は、試験期間中も試験終了後も全員がバベシア症に対して陰性、つまり感染していませんでした。フルララネルを与えられなかった犬のグループでは5頭が陽性を示しましたが、この5頭の犬たちは適切に治療を受け回復しています。

この結果はバベシア症の予防に関してフルララネルの有効率は100%であったことを示しています。

フルララネル(商品名ブラベクトチュアブル錠)の規定用量を犬に経口投与することで、流行地域での野外活動という条件下でも12週間にわたってバベシア症感染を予防することができました。

まとめ

黒い犬と吹き出しマークの中のダニやノミ

バベシア症の流行地域であるヨーロッパの3地域を対象にして行われた調査で、フルララネルの投与は、犬のバベシア症感染を12週間にわたって予防したという結果をご紹介しました。

犬のためのダニなどの駆虫薬は、フルララネルの他にもいくつかの種類があります。愛犬の犬種や体質によって最適な薬が違ってくることもありますので、かかりつけの獣医師に相談して、適切な薬剤を正しく使って確実に予防することが大切です。

《参考URL》
https://parasitesandvectors.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13071-023-05820-2

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