犬の寿命が延びて「認知症」知識の重要性が高まっている
近年、犬の寿命が延びていることは広く知られています。現在、犬の平均寿命は14歳といわれており、16〜17歳まで長生きする犬も珍しくなくなってきました。
犬の高齢化が進むにつれて、老犬ならではの病気の知識を飼い主が理解する重要性も高まっています。
中でも「認知症」は人間だけでなく犬も発症しやすい症状なので、どのような異変が起きるのか、飼い主はどのように対応すべきなのか知っておく必要があるでしょう。
認知症が進行していくと、認知機能が低下していくにつれて飼い主の顔や匂い、声を忘れてしまうといった悲しい症状が見られることも多いです。
飼い主にとっても愛犬にとっても悲しい事態を招く症状ですが、上手く向き合いながら愛犬と老犬ライフを送ることが大切です。
老犬の認知症による記憶に関わる症状
では、認知症を発症した老犬はどのような記憶障害を引き起こすのでしょうか。認知症にはさまざまな症状が見られますが、ここでは特に記憶に関わる症状を解説していきます。
1.居場所を正確に認識できなくなる
今自分がどこにいるのか正確に把握できなくなるといった、空間認識の障害を引き起こす老犬は多いです。特に初期症状に見られることが多く、自分がどこにいるのかわからなくなってしまうため、狭くて暗い場所に隠れるなどの異変が見られることもあります。
また、空間を正しく認識できないため、あるべき角を曲がることができなかったり、目の前にある家具を認識できずにぶつかってしまうなどの異変が見られることも。
さらに症状が進むと、どのような行動を起こせば良いのかも考えられなくなるため、部屋の中を意味もなく彷徨ったり、ぼーっと立っている時間が増えたりします。
2.今までできていたことができなくなる
今まで当たり前のようにできていたことができなくなるという変化も、認知症でよく見られる症状の1つです。
例えば、以下のような異変が見られます。
- トイレで排泄ができない
- 簡単なコマンド動作ができなくなる
- 呼んでも反応しない
老犬になってからこのような変化が見られたら、認知症の初期段階に入っている可能性を視野に入れましょう。
できなくなったからといって叱ってしまうと逆効果となってしまうので、あくまで穏やかに、包み込むように「大丈夫だよ」と対処してあげてください。
3.人や動物を認識できなくなる
悲しいことに認知症を患うと進行状況によって、親しかった人や一緒に住んでいた動物のことを認識できなくなってしまうこともあります。
あれほど大好きだった飼い主のことを、飼い主さんだと認識できずに怯える様子を見せたり、警戒心から攻撃的な態度をとるようになったりすることもあります。
あまりの変貌ぶりに飼い主さんも悲しくなったり、戸惑ったりすることも少なくありません。しかし、あくまで認知機能の低下によって起こる症状です。常にこのような態度をとるわけではないので、適切な対応で乗り切ることが重要です。
認知症を患った老犬の飼い主にできる対応とは
認知症を患った老犬は、認知機能の低下によって記憶障害を起こすことが多くあります。このような状態に陥った愛犬には、どのように対応するべきなのでしょうか。
まずは生活環境を見直し、愛犬が生活しやすいように整えてあげましょう。トイレを寝る場所の近くに置き直すなど、生活範囲を狭めて認識しやすいよう工夫してあげましょう。
症状が進行すると部屋の中を徘徊することにより、怪我をするなどの心配も出てくるので、サークルなどで生活範囲を制限してあげると安全です。
また、昼間に外へ連れて行き外気浴をさせてあげることで、昼夜逆転などから起こる夜鳴きが軽減する可能性があります。また、外などで新たな刺激に触れることは脳の活性化にもつながるので、認知症の進行を防ぐことにもつながるでしょう。
他にも失敗しても叱らず片付けてあげたり、触れ合う時間を増やして安心してくつろげるように配慮してあげるなど、接し方を見直してみましょう。
まとめ
いかがでしたか。犬の認知症は、犬を飼っている人ならば誰もが他人事ではありません。いざという時のため愛犬が高齢期も穏やかに過ごせるよう、今からさまざまな情報を得て準備をしておきましょう。