1.加齢臭の発生
犬が年齢を重ねると、次第に体臭が強くなることがあります。この原因は、老犬になると分泌が増える「ノネナール」という成分にあると考えられています。
ノネナールは、皮膚の皮脂腺内にある物質が酸化・分解することで発生するにおいの原因物質です。若い頃から分泌されているものではありますが、老齢期になるとその量が急増するため、臭いが気になるようになるのです。
ちなみに、ノネナールは犬だけでなく人間も分泌されるもので、同じく加齢臭の原因物質とされています。どのような臭いかというのは、古本や古い油、枯草、腐ったチーズ、ろうそくなどに例えられることがあります。
臭いの原因は、皮膚の無数な毛穴の皮脂腺内にある数種類の物質が酸化・分解されると発生する「ノネナール」と言う物質によるものです。若い時期も分泌されていますが、7歳を過ぎて老犬期に入ると、このノネナールは急増します。
2.歯周病などによる口臭がする
最近では『3歳以上の犬の8~9割が歯周病にかかっている』と言われています。歯磨きを習慣にしていても、どうしても毎日完全に汚れを取り除くことはむずかしいため、汚れが蓄積したり、歯肉が後退したりしてしまいます。
歯周病になると口臭が強くなるので、老犬になるほど口から出る臭いが気になるようになるのは、決して珍しいことではありません。
犬の歯周病をできる限り防ぐためには、小さな頃からこまめに歯磨きをして清潔を保つことが大切です。犬の歯の汚れ(歯垢)は、2~3日で石灰化して歯石になってしまうので、できるだけ1日1回、少なくとも3日に1回は歯磨きをするように心がけてくださいね。
3.排泄物の付着によるにおい
老犬になると、尿道や肛門まわりの括約筋の働きが弱くなってお漏らしをするようになったり、排泄をしたいという感覚が鈍くなってトイレに間に合わなかったりすることがあります。
そのため、下半身が排泄物で汚れしまうことが増えて、それが原因でにおいを発生させることがあります。
ほんの少しの尿漏れなどの場合はすぐに乾いてしまうので、飼い主さんも気がつかずに放置してしまいがちです。その結果、排泄物による汚れが少しずつ蓄積して、やがて悪臭を発生させることになるのです。
4.老犬に多いトラブルや疾患の症状
老犬になると、腎臓機能が低下する傾向があり、慢性腎臓病を患う犬が増えます。腎機能が低下すると、体内の老廃物をしっかりと処理できず、排泄できなくなってしまうことがあります。
それが原因で、体内に老廃物が溜まって、体や口内からアンモニア臭がするようになる場合があります。愛犬からツンとするような臭いがしたら、腎臓病や尿毒症などにかかっている可能性があるので、動物病院を受診するようにしてください。
また、老犬に多い糖尿病は、おしっこの臭いが強くなるため、これが毛につくなどして体臭の原因になることもあります。
病気が原因でなくても、年齢を重ねると体力が低下するため、シャンプーの回数などが減る傾向があります。また、食事をしたときに口まわりが汚れてしまうことも多いでしょう。そのようなことが原因で、体が汚れたりそれが残ったりしやすいので、臭いも発生しやすいのです。
老犬の臭いを改善するために今日からできること
老犬の臭いを少しでも予防、改善するためには、毎日のこまめなボディケアが大切です。
口臭の元となる歯周病を防ぐために、1日1回(少なくとも2~3日に1回)は歯磨きをしましょう。また、過剰な皮脂や毛穴に溜まった汚れなどを除去するために、ブラッシングをしたり濡れタオルで体を拭いたりすると効果的です。
少量の尿漏れやうんちの付着なども増えてくるので、肛門まわりなどを優しく拭いてあげることも習慣にしておくといいでしょう。
とはいえ、全身をシャンプーをすることは老犬にとって非常に体力を使う疲れる作業となるため、タオルなどで汚れを拭き取る習慣をつけて、シャンプーの回数を減らしてあげることをおすすめします。
また、加齢臭を防ぐためには食生活を見直すことも必要です。肉類を過剰に食べたり、ドッグフードなどに付着しやすい酸化した油分を摂取したりすると、体臭が強くなりやすいので、食事内容を年齢に合わせて見直したり、ドッグフードの管理をきちんとおこなうようにしてください。
まとめ
犬も年を重ねると、体の変化や生活の変化によって臭いがきつくなる傾向があります。
年齢を重ねることでどうしても発生してしまう臭いもありますが、日頃のこまめなお手入れや工夫で防げる臭いもあります。
ぜひ無理はせずに、普段からできることを意識して、老犬の臭い対策を心掛けてあげたいですね。