犬が腹痛を感じている時の症状や行動は?
犬の腹痛の原因はさまざまです。胃や腸の他にも、肝臓や胆道系の臓器、膵臓、泌尿生殖器系など、多くの腹部の病気や異常が腹痛の原因となり得ます。また事故や転落の後には、腹膜炎や腹腔内の臓器損傷が腹痛を引き起こすこともあります。ほかには異物の誤飲の場合も腹痛、頻回の嘔吐を伴います。
このように腹痛の原因は多様で重篤な病気が潜んでいることもあるため、犬が腹痛のサインを示した時には、それを見逃さないようにすることが大切です。では犬は腹痛を感じている時、どのような症状や行動を見せるのでしょうか?
1.背中を丸めてじっとする
犬は腹痛を感じると、背中を丸めてじっとすることがあります。これは痛みを感じているお腹を保護し、痛みを和らげようとする本能的な行動です。人間が腹痛を感じた時に胎児のように体を丸めるのと似ています。
したがって、犬が背中を丸めてじっとしている時は、腹部や体のどこかに痛みがあるのかもしれません。
2.祈りのポーズをする
犬が『祈りのポーズ』をする時は、お腹に強い痛みを感じている可能性が高いです。祈りのポーズとは、前脚を伸ばし上半身を低くしてお尻を高く上げる姿勢のことを指します。
体を伸ばす時やプレイバウ(犬が相手を遊びに誘うポーズ)をする時の姿勢に似ていますが、犬が深刻な面持ちでこの姿勢を取っている場合は、祈りのポーズと判断していいでしょう。
祈りのポーズは膵炎を起こしている時によく見られ、腹部を伸ばすことで痛みを軽減しようとしていると考えられます。
犬が祈りのポーズを繰り返していたり長い時間続けている時に、嘔吐や下痢または食欲不振などの症状も見られる場合は膵炎が疑われます。そのような場合は、早急に受診することが重要です。
3.震える
犬は痛みが原因で震えることがあり、腹痛もその一例です。震えを伴う腹痛は深刻な痛みであることが多いですが、震えは寒さや恐怖、興奮、ストレスなど、さまざまな要因により引き起こされます。
そのため震えが腹痛などの痛みによるものかどうかは、他の症状や状況さらには犬の行動をよく観察して、総合的に判断する必要があります。
4.触られるのを嫌がる
犬は体のどこかに痛みを感じている時、触られることによって痛みが増すのを避けるために、触られるのを嫌がることがあります。そのため犬が触られるのを嫌がる時は、腹痛やその他の痛みを感じているのかもしれません。
体のどこかに痛みがある犬は、実際に触られると「キャン」と鳴いたり、噛みついたりすることがあります。犬が急に触られるのを嫌がるようになったり、触ると鳴いたりする場合は、動物病院を受診しましょう。
5.ウロウロ動き回る
犬が腹痛を感じていて、一定の姿勢を取っていると痛みが増す時には、ウロウロと動き回ることがあります。動き回ることで痛みを和らげようとするのです。また痛みに対する不安感から、落ち着かずにウロウロすることもあります。
6.下痢
腹痛は他の症状を伴って起こることが多く、下痢はそのひとつです。下痢は食べ過ぎやストレスから起こることもあれば、感染症や寄生虫、アレルギー、消化器系の疾患など、さまざまな病気に関連していることもあります。
長期にわたる下痢は脱水症状を引き起こす恐れもあるため、2日以上下痢が続く場合は動物病院に連れて行きましょう。
7.嘔吐
腹痛によって腹圧が上がると、嘔吐が起こりやすくなります。嘔吐していなくても頻繁に口の周りを舐めていたり、よだれを大量に出していたりする場合は、吐き気を感じている可能性があります。
また、消化器系に何らかの問題がある場合にも嘔吐の症状が出やすいです。下痢と嘔吐が同時に起こると脱水のリスクが高まるため、早めの受診が必要になります。
犬のお腹の調子が悪い時に飼い主がすべきことは?
愛犬のお腹の調子が悪いと、飼い主としてはすぐにでも改善させたいと思うことでしょう。しかし、何をすべきか分からない方も多いかと思います。以下では犬のお腹の調子が悪い時にすべきことをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.症状をよく観察する
犬のお腹の調子が悪い時には、まず症状をよく観察することが大切です。具体的には以下のような点を観察します。
- 下痢や嘔吐の頻度、量、色、においなど
- 食事と水の摂取量の変化
- 元気さの変化
- 行動の変化
これらの観察結果を記録しておくと、動物病院で診察を受けることになった際に診断の一助となるでしょう。
2.軽度なら一時的に絶食してみる
お腹の調子が悪く下痢をしている場合、軽度なら一時的に絶食をして、消化器系を休ませることで改善することもあります。ここでの軽度とは、下痢はしているものの頻回ではなく、食欲や元気がある状態を指します。
絶食するのは半日から1日程度とし、それでも下痢が治まらない場合は動物病院を受診しましょう。
なお、子犬や老犬、持病がある犬の場合は、軽度の下痢であっても飼い主の判断で絶食させるのは避け、獣医師に相談してください。
3.動物病院を受診する
お腹の調子が悪く、以下の症状が見られる場合は重度と考えられるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
- 下痢が2日以上続いている
- 下痢が頻回である
- 嘔吐を伴う下痢
- 血便または黒色便が見られる
- 発熱がある
- 顕著な食欲不振
- ぐったりしている
- 腹部の膨張や硬さが感じられる
受診する際は、下痢便や血便、黒色便、嘔吐物を持参すると検査がスムーズに行えます。持参するのが難しい場合は、スマートフォンや携帯電話で撮影したものを獣医師に見せると役立つでしょう。
まとめ
今回は、犬が腹痛を感じている時に示す症状や行動を7つご紹介しました。愛犬が腹痛で長い時間苦しむのを防ぐためにも、腹痛のサインを見逃さないようにしましょう。そして腹痛のサインが見られたら、速やかに動物病院を受診しましょう。
また愛犬のお腹の調子が悪い時は、まずは症状をよく観察し、軽度であれば半日から1日程度絶食を試み、もし重度であればすぐに動物病院を受診することが大切です。