犬同士でおしりを嗅ぎ合う理由とは?
犬の嗅覚はかなり発達しており、人間の約3,000倍〜1万倍の能力があるといわれています。そんな犬の嗅覚は犯罪捜査の現場で役立つほど優れており、日常的にも鼻をヒクヒクさせて匂いを嗅ぐ姿を見ることができます。
そんな犬には、挨拶としておしりを嗅ぐ習慣があります。相手は犬のみならず人間やほかの動物のおしりである場合もありますが、人間からすると奇妙な行動に思えますよね。
では、犬同士でおしりを嗅ぎ合う理由とは一体何でしょうか?
1.知っている相手か確認
散歩中やドッグランなど初対面の犬に遭遇する場でも、犬同士でおしりを嗅ぎ合う行動はよく見られます。これは、知っている相手なのかをおしりの匂いで確かめている、犬特有の行為です。
人間なら考えられない行動ですが、犬同士の場合はおしりを嗅ぎ合うことが名刺交換の代わりになっています。
そもそもなぜおしりを嗅ぐのか?といえば、犬の肛門腺から発するにおいに大きな理由があります。
肛門腺から出る分泌物のにおいはその犬によって異なり、これがつまりその犬の情報源となっているのです。お互いのおしりを嗅ぎ合うことは、「はじめまして、私はこんな者です」と挨拶をしているのと同じことだと受け止めてみましょう。
2.情報収集
愛犬がほかの犬のおしりをクンクンと嗅ぎ回ってしまうと、飼い主として少々恥ずかしい気持ちになるかもしれません。しかしこれは、犬同士のコミュニケーションでもあり、相手との相性や危険性を確かめる大切な行為でもあります。
そもそも攻撃の意思がある相手であれば、悠長におしりを嗅がせるどころか、吠えたり飛びかかったりしてくるでしょう。そのような敵意がないからこそ、お互いおしりを嗅ぎ合って挨拶をしているのです。
どちらかといえば優位に立つ犬の方が相手のおしりを嗅ぐ傾向にありますが、犬同士の挨拶に慣れていない犬ほど長々と嗅いでしまうことがあります。人間界でもしつこい挨拶は嫌われやすいですが、犬にも同じことが言えるようです。
3.健康状態の確認
犬のおしりは健康なほど臭くはなく、反対に何らかのトラブルがあると強い臭いを発してしまいます。よくあるのが肛門腺が詰まっている、胃腸にトラブルがある、下痢を起こしているといった体調不良です。
きれい好きな犬は自分のおしりは常に舐めて汚れを落とすものですが、体調が悪かったりシニア犬、あるいは肥満犬だったりするとなかなかそうはいきません。
また、オスとメスの場合は交尾前の行動としておしりを嗅ぎ合います。妊娠を望まないのであれば、発情期を迎えた犬をドッグランなどの交流の場へ連れて行くのは避けるべきですね。
4.一緒に遊びたい!
遊びたがりの犬であれば、おしりを嗅ぐ行為は遊びに誘う行為とほぼ同じ感覚になっているでしょう。ただ、犬のタイプによってテンションが異なるため、あまりしつこく誘うと嫌われてしまうこともあります。
相手が警戒心の高い犬種であれば、怒られてしまう可能性もあるので、愛犬が飛びつかないように飼い主としても注意した方がいいですね。
5.安心するから
犬は犬の匂いを嗅ぐと安心感を得ることがあり、犬同士にしかわからない共感する気持ちも生まれるようです。それは人間が家族や愛する人の匂いで安心するのと近いのかもしれません。
飼っている愛犬が気に入っている犬のおしりを嗅ぎたがるのは、「安心するなあ」と思っている可能性もあるでしょう。相手の飼い主さんに許可をもらった上で、犬同士のコミュニケーションを見守ってあげてください。
まとめ
犬同士でおしりを嗅ぎ合うのは、「犬界の名刺交換」という表現がまさにぴったりです!犬同士の大切な情報交換の場になっているので、迷惑にならない程度に挨拶をさせてあげてくださいね。
社会性を養う上でも必ず通る道なので、どの程度の行為がほどよい挨拶なのかを、飼い主と犬自身が知ることも大切です。
犬同士でおしりを嗅ぎ合う光景に遭遇したら、「名刺交換をしているんだな」と想像しながら見守りましょう。