犬にとっての遊びやおもちゃとは
生きていくために、犬は繁殖や社会性、自衛、闘争、狩猟といった行動を本能として身につけています。この内狩猟は、食料を手に入れるために毎日必要で大切な行動です。それは、人と一緒に暮らしている現代の犬も同じです。
日常生活の中で犬が最も強く抱く欲求は、狩猟欲求かもしれません。その証拠に、人間は犬が狩猟で発揮する能力を引き出し、人の役に立つ行動として上手に利用しています。
遊びの中の「ニオイを便りに追跡する」、「逃走する獲物を追いかける」、「捕まえた獲物を棲家に持ち帰る」といった行動は狩猟欲求を満たし、狩猟能力に磨きをかけます。犬の遊びは、犬にとって模擬的な狩りだと考えられるのです。
この犬の遊びの中でおもちゃが果たす役割は、「獲物役」です。本物の獲物の代わりにおもちゃを与え、模擬的な狩りをして狩猟欲求を満たし、身体能力を伸ばします。
犬がすぐに遊ばなくなるおもちゃの特徴
せっかく買ってきたのに、愛犬がすぐに遊ばなくなってしまうおもちゃの特徴を見ていきましょう。
1.獲物らしくない
狩りの獲物となるはずのおもちゃが、あまり獲物らしい動きをしてくれないと、愛犬は興味が薄れてすぐに遊ばなくなってしまうことがあります。
これはおもちゃの特徴というよりも、飼い主さん側の要因と言えるかもしれません。
飼い主さんがイキイキとした本物の獲物さながらの動きを再現できれば、愛犬はいつまでもそのおもちゃに執着して遊ぶことでしょう。
2.タイプが合わない
愛犬が遊ぶシーンは、大きく2つに分けられます。留守番の時のひとり遊び用と、一緒に遊ぶ時用です。
このシーンにそぐわないおもちゃを選ぶと、上手に遊べないため愛犬はすぐに遊ばなくなってしまうでしょう。
逆に、おもちゃの選び方を間違えなければ、長く遊んでもらえるでしょう。
3.サイズや素材が合わない
特に愛犬が子犬の時は、すぐに成長するからと愛犬よりも大きなサイズのおもちゃを与えていませんでしたか。
小さすぎるおもちゃは誤飲のリスクが高く危険ですが、大きすぎるおもちゃも咥えたり運んだりできず、上手に遊べません。また、おもちゃの素材が硬すぎて上手に噛めない、という理由で遊ばない場合もあります。
おもちゃのサイズや素材のことをあまり重視しない飼い主さんが多いかもしれませんが、遊んでくれるかどうかを左右する大きな要因になることを忘れないでください。
4.すぐに壊れてしまう
犬にとって遊びは狩りのシミュレーションなので、思っている以上に乱暴な遊び方をします。
そのため、遊んでいるうちに付属品が取れたりおもちゃ自体が壊れたりして、すぐに遊べなくなることがあります。
5.レベルが合わない
愛犬のレベルに合わない知育玩具は、すぐに遊ばなくなってしまうおもちゃになりがちです。難しすぎてなかなかおやつを取り出せない場合も、簡単すぎてすぐにおやつを取り出せてしまう場合も、どちらもすぐに遊ばなくなります。
飼い主さんも、あまりにも難しすぎるゲームや簡単すぎるゲームでは、遊ぶ気がしませんよね。犬もそれと同じなのです。
犬に好まれるおもちゃを選ぶコツ
では、犬に好まれるおもちゃは、どのように選べば良いのでしょうか。
愛犬の狩猟欲をきちんと満たすことが出来るおもちゃを選ぶ
愛犬の狩猟欲をしっかりと満たすおもちゃを選びましょう。
それは、飼い主さんが獲物の動きを再現しやすい、操作しやすいおもちゃだということができます。おもちゃを上手に操作できれば、今まで遊ばなかったおもちゃで遊ばせることができるかもしれません。
また、おもちゃのサイズも愛犬に合うものを選びましょう。小さすぎれば危険ですし、大きすぎれば遊べません。その時の愛犬の体格や体力に合ったおもちゃを選びましょう。
愛犬がしっかりと噛みつくことが出来るおもちゃを選ぶ
犬には、狩猟の際の武器として「噛みつく」行為があります。そのため、おもちゃに思いっきり噛みつくことが多いです。
歯を折るほど硬い素材は避け、ロープやゴムのように弾力性があるおもちゃだと、犬がしっかり噛みつくことができます。
愛犬がしっかりと振り回すことが出来るおもちゃを選ぶ
狩猟の際の武器となるもう一つの行為に、相手を咥えたまま「ブンブンと振り回す」というものがあります。
愛犬に好まれるおもちゃを選ぶ際には、咥えやすいサイズでしっかり振り回せる重さであることと共に、振り回してもすぐには壊れないという要素も必要です。
一緒に遊べるおもちゃを選ぶ
一緒に遊ぶときのために選ぶおもちゃは、飼い主さんがきっかけを出すと愛犬がそれに応えて遊べるものにしましょう。
たとえば、「持って来い遊び」ができるボールやぬいぐるみ、引っ張りっこができるロープ、楽しく一緒に運動できるフリスビーなどがおすすめです。
愛犬がひとりでも安全で飽きずに遊べるおもちゃを選ぶ
留守番などでひとり遊びをさせるためのおもちゃは、まず安全であることが大切です。そして、愛犬に五感や知恵を使わせて長く夢中にさせられるものがおすすめです。
コングのように中におやつを仕込み、知恵を使わせて取り出させる知育玩具がおすすめですが、愛犬のレベルに合わせてだんだん難しくしていけるように、ステップアップを図ると良いでしょう。
まとめ
どんなに犬の本能を刺激するタイプのおもちゃを見つけても、犬がそのおもちゃの遊び方を知らなかったり、ひとり遊びや飼い主さんと一緒の遊びといったシーンにそぐわないおもちゃでは、楽しく遊べないためすぐに飽きてしまいます。
愛犬が若い頃から一緒に遊ぶことを習慣づけ、愛犬に適したおもちゃを選んだ上で、しっかり遊び方を教えながら、おもちゃで遊ぶことの楽しさも教えましょう。
また、いつも同じおもちゃでばかり遊んでいると、例えお気に入りのおもちゃでも早く飽きてしまいます。
普段は見えない場所にしまっておき、複数のおもちゃを適度な間隔でローテーションするなど、飽きさせない工夫も大切です。