犬が夜の散歩を嫌がる理由
犬が夜の散歩を嫌がる場合、どのような理由が考えられるでしょうか。
1.暗い場所で怖い経験をした
犬は、過去に暗い場所に閉じ込められなどの怖い経験をすると、その時と似たような状況が怖くなってしまうことがあります。とくに虐待を受けた犬には多く見られます。虐待を受けていなくても、停電が起きたときに飼い主が焦っていたから怖いなどそれまでの経験が関係しています。
犬は、人の感情を読み取るのが上手な動物です。「夜は不審者が出るかも?!」と、飼い主が緊張しながら夜の散歩をしてしまえば、その緊張感が犬に伝わってしまい夜の散歩が嫌になってしまうこともあります。
2.社会化不足
あまり散歩をした経験がない犬は、夜の散歩を嫌がることがあります。夜は人や他の犬の気配も少なく、地域によっては野生動物が出てくることもあるでしょう。散歩デビューしたばかりの子犬や、成犬でも狭い範囲でしか過ごしてこなかった犬は暗い夜の散歩を嫌がることが多いでしょう。
このような場合は、無理しない程度に少しずつ慣れさせるしかありません。飼い主が「夜の散歩はこんなに楽しいよ♪」と一緒に楽しめるように演出しながら社会化を進めてあげることで、徐々に慣れて嫌がらなくなるでしょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬は、普段経験していない事をとくに怖がる傾向があります。いつも夜しか散歩しない場合は、明るい朝や昼間の散歩を怖がる可能性もあるのです。
決して無理強いせず、少しずつ色々な経験を重ねていくことがとても重要ですよ。
3.目の病気
犬の目にはタペタム層という膜があり、光を集められるので夜も昼と同じくらい景色を明るく見ることができます。そのため、視界が悪くて嫌だということはありません。ただし、シベリアンハスキーなどの青い目の犬種にはこのタペタム層がないので、夜になると見えづらい傾向があります。
暗い場所で怖がる、つまづくなどの行動を見せる犬は、そもそも目が悪いのかもしれません。若いときには問題がなくても、高齢になると目が悪くなる犬は多いです。家の中でもよくぶつかるなど気になる様子があれば、早めに獣医師に相談しましょう。
犬を夜の散歩に慣れさせる方法
では、夜の散歩を嫌がる犬を慣れさせるにはどのような方法があるのでしょうか。
明るい場所から徐々に慣らす
暗闇が苦手な犬は、夜でも明るい場所を散歩してみましょう。散歩コースが暗ければ車や抱っこで移動し、公園の街灯の下や駐車場だけを歩いてみてください。
散歩を始めて犬が怖がっていたら、「オスワリ」や「フセ」をさせてコントロールします。怖がっているからと甘やかしてしまうと、犬はますます怖がるようになってしまいます。「オスワリ」や「フセ」が上手くできなくても、真っすぐ歩けたら褒めてあげましょう。犬が怖がっても飼い主が落ち着くことが大切です。
また、散歩コースは周囲を塀などで囲まれていない見通しの良い場所を選んであげましょう。慣れてきたら範囲を広げていきます。狭い空間が落ち着くという犬は多いですが、虐待などのトラウマがある犬は閉鎖的な空間が苦手なこともあります。愛犬がどんなときに怖がるのか、普段の行動をよく観察することが大切です。
人通りのある安全な場所を散歩する
夜の散歩は、飼い主にとっても危険です。不審者に遭遇したり視界が悪くて車に轢かれる可能性も高くなります。犬は夜道で車から見えないことが多く、轢かれそうになったという話は少なくありません。
また、吠え癖があるから夜に散歩に行くという人もいますが、穏やかな犬に育てるには他の犬や人と会うことも必要です。人混みでなくても、公園・駅前・街の中や近くといった灯りの見える安全な場所を歩き、光る首輪やリードなどを着けて散歩に行きましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
体の小さい小型犬や胴長短足のダックスフンドなど、また被毛が黒色の犬などは、歩行者や自転車、車などから見えにくく発見されにくいので夜の散歩は特に気をつけましょう。
道路側は飼い主さんが歩き、リードや首輪などはLEDで光るタイプやライトなどは必ず持って散歩することをおすすめします。
散歩での楽しみを作る
「散歩に行くとおやつがもらえる」、「好きな人に会える」などの楽しみがあると、犬は散歩を好きになってくれるでしょう。
歩く際には、おやつを与える地点を決めて、徐々に散歩の距離を延ばしていきましょう。犬は「ここまで行けばおやつがもらえる」と覚えて頑張って歩くようになりますよ。
まとめ
夜部屋の電気を消すと吠える、落ち着きがなくなるといった暗所恐怖症の犬はいます。ですが、暑い夏も日が落ちてからの散歩に行けなかったり、災害時に避難することになったら周囲に迷惑をかけてしまうなど、別の問題が起きてしまうこともあるため、夜の散歩は克服しておくのが良いでしょう。
犬が経験を積むことは大事ですが、無理やりやらせては逆効果になってしまいます。犬がその場から動かなくても、ニオイを嗅いで情報収集するだけでも経験になります。飼い主はきつい口調になったり甘やかしたりせず、普段と同じ態度で接することが大切です。
夜道でも飼い主が落ち着いた態度で、一緒にいると怖いことが起こらないとわかったら、愛犬も夜の散歩が楽しくできるようになるでしょう。