犬は人の表情を読み取ることができる!?
愛犬が、飼い主の顔をただジーッと見つめていることってありますよね。声をかけてもとくに反応することなく、どうしたワケか、ただただジーッと顔を見てくるのです。
『犬は飼い主の表情から、気持ちを読み取ることができる』とされていますが、実際に犬と暮らしていると、私の顔を確認するだけで(あ、今はダメそうだな…)というような態度で諦めることがあります。
飼い主が嬉しそうに笑っていると犬も笑顔のような表情を見せてくれますし、静かに泣いている時は顔を舐めたり慰めたりしてくれますよね。
では、犬はどのようにして、人の笑顔や泣き顔を認識しているのでしょうか。
飼い主の「笑顔」「泣き顔」への認識を調査した研究結果
これまで行われた様々な研究によって、犬が人の表情から気持ちを読み取る方法が解明されてきました。
今回はその中でも最も興味深い、犬の飼い主への「笑顔」と「泣き顔」への認識を調査した研究結果をご紹介します。
犬が最もよく認識できるのは飼い主の笑顔である!?
メキシコ国立自治大学が行った研究では、『犬は人の笑顔を好む可能性がある』と報告されています。
その研究では、「犬は飼い主の表情に繊細な注意を払っている」「犬が飼い主の表情を処理するのは、側頭皮質である可能性がある」としながらも、実は、犬が脳のどの部分で飼い主の表情を処理しているのかは、未だに不明、とのことです。
犬の脳は飼い主の笑顔を見た時に活動量が最も増す!?
とある調査では、犬に対して、笑顔の人の写真と無表情の写真とを見せ、犬の脳の活動量の違いを研究し、活動量が増したのは笑顔の人の写真を見た時であったとしています。
犬は飼い主の泣き顔を認識することはできない!?
犬に対し、「笑顔の人」「怒った表情の人」「恐怖の表情の人」「悲しみの表情の人」それぞれの写真を見せた時、「笑顔」の写真を見せた時にのみ犬の脳の活動量が増したとしています。
怒り・恐怖・悲しみの写真を見せた時の犬の脳には同じような反応が見られ、活動量が増すことはなかったようです。
犬の顔の動きは飼い主の表情に合わせて活発になる!?
ジュリアン・カミンスキ博士の研究グループが行った研究では、「犬が食べ物を手に持つ人の表情をうかがっていた」という結果が報告されています。
実験では、「犬に背を向けた状態で食べ物を手に持つ人」と「犬に顔を向けた状態で食べ物を手に持つ人」の両名がいて、犬がこれらの人を目の前にしたところ、「犬に顔を向けた状態で食べ物を手に持つ人」に対して、犬の顔の動きが活発になったとされています。
飼い主がおやつを手に持って愛犬の目の前に立った時、愛犬は飼い主の顔色をうかがいますよね。オスワリしたらもらえるかな?と、期待に満ち溢れた表情豊かな顔で見つめてくるのではないでしょうか。
犬自身も表情を使って飼い主と意思疎通を図ろうとしている!?
『犬の表情は、人が犬に注目しているかどうかに応じて作られるのではないか』という研究が行われました。
その研究結果として、以下のような内容が報告されています。
- 犬は意思疎通を図ろうとして表情を作っている
- 人からの注目に応じて表情を作る頻度が高くなる
- 犬の表情が作られるのは、無意識に生じる反射的なシステム
愛犬の表情は、意思の疎通を図ろうとしている場合もあれば、無意識に反射的に作られている場合もあるとは、なかなか興味深い結果ではないでしょうか。
まとめ
犬がどのようにして飼い主の表情を読み取り、飼い主の「笑顔」と「泣き顔」をどのようにして認識いるのか等、犬の表情についての様々な研究が行われていますが、未だに謎も多いようです。
簡単にまとめると、『犬は飼い主の笑顔が大好きである』ということと、『犬は飼い主の泣き顔を見ても、あまり反応や脳の活動量に変化は見られない』ということが分かりました。
犬が泣いている子供を守ったり慰めたりすることがありますが、泣き顔ではなく、泣いている時の声に反応しているのではないでしょうか。
そして泣いているのが大人の飼い主であれば、泣き顔ではなく、いつもと違う様子に不安を感じたり、自分に向けられた態度の変化に疑問を感じたりしているのではないかと思います。