キャバリアとフレンチブルの健康改善のための異種交配プロジェクト
キャバリアキングチャールズスパニエルとフレンチブルドッグ、どちらも世界中でコンパニオンドッグとして人気のある犬種です。しかし、どちらの犬種も健康上の問題を多く抱えており、その改善が長年にわたって訴えられています。
キャバリアにおける最も多い健康問題は、僧帽弁閉鎖不全症という心臓病と脊髄空洞症です。どちらも犬に機能障害や苦痛を引き起こし、生活の質に大きな影響を与えるものです。
フレンチブルドッグにおける健康問題は、短頭種気道症候群と椎間板ヘルニアです。短頭種気道症候群は選択交配によって作られた極端に平たい顔に由来し、椎間板ヘルニアは遺伝性です。
これら健康上の問題を改善し、極端な外見上の特徴を減少させるために、フィンランドのキャバリアの犬種協会とフレンチブルドッグの犬種協会が、それぞれに異種交配のプロジェクトを立ち上げ、その申請がフィンランドケネルクラブ理事会によって受理されたという発表がありました。
フィンランドにおける犬の異種交配
異種交配とは2つの異なる犬種の交配を意味します。異種交配の目的は、犬の健康や福祉を保つための十分な遺伝的バリエーションを持たない犬種の改善です。
異種交配の第一世代は常に交雑種として登録され、次の世代では血統犬登録の条件に合わない犬のための特別登録に移すことができます。特別登録が3代続くと、その子孫は血統犬登録されます。
こうして血統犬登録された犬は、フィンランドKC指定の国内ドッグショーに参加することができますが、FCI(国際畜犬連盟)に登録することはできません。
犬種クラブや協会が異種交配プロジェクトを立ち上げる場合には、明確で正当な申請理由と詳細な計画をフィンランドKCに提出しなくてはなりません。
フィンランドは犬の異種交配のパイオニアと呼ばれており、現在も注意深く設計された交配プロジェクト複数進行中です。交配プロジェクトの結果は何年にもわたって注意深く追跡調査され、さまざまな評価基準に基づいて、次世代の繁殖を行う子孫が選ばれます。
このように、フィンランドケネルクラブに申請される異なる犬種の交配は、安易なデザイナードッグの繁殖とは全く違うものです。
キャバリアとフレンチブルの交配候補の犬種
キャバリアの交配プロジェクトで検討されている交配犬種は、チベタンテリア、ダーニッシュスウェーディッシュファームドッグ、パピヨン、ファレーヌ、ビーグル、モイエンプードル、日本スピッツです。
これらの犬種は、キャバリアと共通する健康上の問題が知られている限り無いことと、行動や気質から最適と考えられ、スウェーデンでもキャバリアの交配プロジェクトが始まる予定で、フィンランドとスウェーデン両国の犬種クラブはお互いに協力し合っています。
フレンチブルドッグの交配プロジェクトの犬種はまだ全ての候補が出揃っていません。現在のところ申請によって承認されている犬種は、アメリカンスタッフォードシャーテリア、ジャックラッセルテリア、ミッテルスピッツ、パピヨン、ファレーヌ。
交配プロジェクトチームは、ダーニッシュスウェーディッシュファームドッグとスタッフォードシャーブルテリアについても申請中で、現在この2犬種の健康上の問題などが調査されています。
まとめ
フィンランドにおいてキャパリアキングチャールズスパニエルと、フレンチブルドッグの健康改善のための異種交配プロジェクトが、フィンランドケネルクラブによって受理されたというニュースをご紹介しました。
犬の健康や福祉を向上させるための計画的な交配は、世界の他の国でも取り組まれるようになって欲しいと思います。同時に動物の福祉を無視した安易な繁殖の規制も強く望みます。