犬に『人間用シャンプー』を使うデメリットと危険性!今更聞けない正しいお風呂の入れ方まで

犬に『人間用シャンプー』を使うデメリットと危険性!今更聞けない正しいお風呂の入れ方まで

愛犬の体を洗う時、犬用のシャンプーを使用している飼い主さんが大半だと思います。しかしなぜ人間用のシャンプーを犬に使用してはいけないか考えたことはありますか?犬に『人間用シャンプー』を使うデメリットと危険性、また正しいお風呂の入れ方をお伝えいたします。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬に『人間用シャンプー』を使うデメリットと危険性

2本のシャンプーボトル

1.犬に人間用シャンプーを使ってはいけない理由

犬に人間用のシャンプーを使うことが危険な理由は皮膚の違いにあります。犬と人間は皮膚の構造自体は同じですが、被毛で覆われた皮膚はとても薄くデリケートなのです。

皮膚の構造は、外側から順に「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層から成り立っていますが、犬の場合は一番外側の「表皮」が非常に薄く、人間の1/3程度しかないと言われています。

表皮の働きは、外部からの異物の侵入や水分の蒸散を防いでくれるバリア機能があり、人間でも0.2ミリのとても薄い膜になっています。

人間よりも更に表皮が薄い犬はもともと皮膚がデリケートなので、人間用の強いシャンプーでは、皮膚トラブルに繋がる危険性が高くなってしまいます。

また、犬と人間では皮膚のph(ペーハー)が異なっています。人間のphは約4.8の弱酸性ですが、犬の場合、6.2~7.8の中性から弱アルカリ性となっていて細菌が増殖しやす環境と言えます。

人間用のシャンプーは皮膚を弱酸性に保つように作れれているため、基本的に犬の皮膚に合わないのです。

2.人間用シャンプーは犬の皮膚バリア機能を破壊してしまう

人よりも皮膚が薄くphも違う犬に人間用シャンプーを使用すると、皮膚バリアが破壊されて皮膚トラブルに発展しやすくなってしまいます。

近年では、人間用でも界面活性化剤を使用していない刺激の少ないシャンプーが増えてきていますが、人間の頭皮の皮脂や汚れをしっかりと落とす強い洗浄力は、犬の皮膚には刺激が強すぎます。

犬の皮膚バリア機能が破壊されてしまうと、皮膚から水分が蒸発してしまうことで細菌やアレルゲンなどの刺激が侵入しやすい状態になり、感染症や皮膚疾患、アトピー性皮膚炎の発症や悪化のリスクが高くなってしまうのです。

犬用のシャンプーにも界面活性化剤は使用されているのですが、犬の被毛や皮膚に合わせた界面活性化剤が使用されているため安心です。

3.香りが強すぎる

入浴中にリラックス効果を求める方も多いですよね。いい香りがするシャンプーは、人間にとっては心が癒されてホッと出来るリラックス効果がありますが、犬にとっては強い香りがストレスになってしまうことがあります。

みなさんもご存知の通り、嗅覚は犬の五感でもっとも優れているもの。人間の3000倍から10000倍とも言われるほど鋭い嗅覚を持つ犬にとって、人間用シャンプーの香料は強すぎるのです。

「シャンプーのニオイが苦手だな」と感じている犬の場合、体を洗うこと自体を嫌いになってしまう可能性も。犬用のシャンプーであれば香料が使用されていないものもあるため、ストレスを軽減してあげることが出来ます。

犬をお風呂に入れる前に

頭に泡をのせた犬

「愛犬のシャンプーは出来れば自宅で済ませたい」と考えている飼い主さんもいらっしゃいますよね。個体差はありますが、犬のシャンプーの頻度は月に1回が目安になります。

1度でも「シャンプー嫌い!」「水が怖い!」と感じてしまうと、ずっと苦手意識を持ってしまうので、最初のうちは慣れもらうことを意識してお風呂に入れてあげましょう。

初めてのお風呂の前にやっておきたいこと

まずは体のどこでも触れられるようになること。色んな部位に優しく少しづつ触れて、嫌がる場所はないか確認しましょう。

慣れてきたら、ブラシを使ったブラッシングにも挑戦してみて下さい。嫌がる素振りが見られたらオヤツなどのご褒美を与えて、ゆっくりと慣れていってもらいましょう。

シャンプーをする場所になる「お風呂場」にも慣れてもらうため、お風呂場でオヤツを与えて少しの時間過ごしてみたり、シャワーの音や水やお湯の感覚も「怖いもの」になってしまわないように、足先に少しだけお湯をかけて体を濡らしてみましょう。

お風呂嫌いになってしまうと、あとあと自宅でのシャンプーが大変になるので、まずは無理せず「慣れてもらうこと」を頑張ってやっていきましょう。

犬の正しいお風呂の入れ方

シャワー中の犬

1.まずはブラッシング

被毛に毛玉やもつれが出来ていると皮膚をしっかり洗うことが出来ません。シャンプー前に全身をブラッシングしておきましょう。

2.体を濡らす

シャワーの温度は37℃~38℃が目安になります。シャワーヘッドを体から離してお湯をかけると水圧や音に驚いてしま犬もいます。できるだけ愛犬の体にシャワーヘッドを密着させて体を濡らしていきましょう。

体を濡らす順序は前脚と後足からになります。次にお尻と内股、胸、背中、最期に頭部と顔を濡らします。

3.マッサージするようにシャンプーする

洗面器などで犬用シャンプーを泡立てておき、濡らしていった順に洗っていきましょう。指の腹を使って優しくマッサージするように地肌を洗っていきます。目や鼻、口や耳にシャンプー剤が入ってしまわないよう注意して洗いましょう。

4.すすぐのは頭から

シャンプー剤が顔についている時間を短くするため、すすぎは頭部と顔からになります。水量をゆるめたシャワーですすいであげると目や鼻にお湯が入りにくくなります。

体の高い部位から順に流して、各部位のすすぎ残りがないようしっかりとシャンプー剤を流してあげましょう。怖がる場合はスポンジをお湯に浸して軽く絞ったものを利用して、拭くように洗い流して行く方法もあります。

5.タオルドライとドライヤーで乾かす

シャンプーが終了したら吸水性の良いタオルでしっかりと水気をふき取り、低温に設定したドライヤーで乾かしていきます。ドライヤーは愛犬の体から20㎝ほど離した場所からかけます。地肌が熱くならないよう気をつけて乾かしましょう。

しっかりと湿気が取れるまで少し時間がかかりますが、湿気が残っていると皮膚トラブルの原因になることもあります。手やスリッカーを使用して被毛の根元まで乾かしてあげましょう。

まとめ

シャンプーで洗ってもらう犬

愛犬の清潔を保つことは健康維持にも繋がるので大切なこと。人間用のシャンプーを使うことはもちろん危険ですし、犬用のシャンプー剤でも愛犬の体質にあったものを吟味して選んであげる更に良いでしょう。

またシャンプー選びと共に正しい洗い方も大切になります。シャンプー剤によっては使用方法も異なってきますので、記載されている説明書きをしっかり読んで丁寧に洗ってあげましょうね。

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