タイにオープンしたペット同伴OKの映画館
カフェや大型小売店など、犬と一緒に入れる施設は世界の多くの都市で親しまれています。タイの首都バンコクでは、犬や猫と一緒に映画を楽しめる映画館がオープンして話題を集めています。
この試みはタイでも初めてのことだそうです。同国の犬の飼育数は中国に次いでアジア第2位に位置し、2021年の統計では犬約830万頭、猫約370万頭が飼育されているとのことです。ちなみに同年の日本では犬約710万頭、猫約894万頭が飼育されています。
パンデミック以降はタイでのペット飼育数はさらに増加の傾向が続いており、ペット産業も多方面で展開されています。
この映画館の広報は、ペットOKのコンセプトは子ども向け映画館と同じだと語っています。「子ども向け映画館では子どもたちが大きな声を出したり走り回ったりしても大人はお互いに理解を示すように、ペットシネマでも例えば犬が吠えたとしても皆お互いに理解し合えるでしょう」とのことです。
ペットシネマで動物に課せられる規則
ペットと一緒に入れる映画館と言っても、当然ながら規則や制限があります。映画館内に入れるのは、座席の上に置ける専用ソフトクレートに入れるサイズの犬か猫に限られています。
アラスカンマラミュートと一緒に映画を観ようとやって来た飼い主さんが、入場を断られるという事例もあったそうです。
映画館内では、動物はオムツの着用とソフトクレートの中に入れておくことが義務付けられています。ソフトクレートの中にいることで、動物は映画の音響や照明から守られると映画館広報は説明しています。
この映画館では『リトルマーメイド』がペット同伴の対象になっており、アリエルやセバスチャンのコスチュームを着けたペットと一緒にやって来た飼い主さんたちが映画を楽しんだとのことです。
ペットシネマは本当にペットフレンドリーと言える?
ペットを受け入れることを決めた映画館側は、動物福祉に配慮していることをアピールしていますが、このアイデアに疑問や反対の声をあげている人々もいます。
病気や介護のためではないのにオムツを着けられ、慣れないクレートの中で約2時間じっとしていなくてはいけない状況は、動物にとって不自然で不快だというものです。
これは確かにその通りです。自宅のテレビで映画を観るのであれば、犬や猫は飽きたり音が不快だと感じたら自由に他の場所に行くことを選べます。動物にとって選択の余地がないことは大きなストレスになります。
犬や猫がストレスを感じていることに飼い主さんが気づいたとして、どのくらいの飼い主さんが映画の途中で退場することを選ぶでしょうか。
また、バンコク市内のほとんどの公園は犬が入ることを禁止しているのに、なぜ映画館なのか?という声もあるようです。公園と映画館では管理や経営の母体が違うとは言え、これは確かに犬が犬らしくあることを無視しているように見えますね。
これは外国での話ですが、動物を連れて行く場所については動物の事情を優先するべきなのは日本でも同じです。
犬や猫の同伴が許可されている場所だとしても、そこに連れて行くことが本当に犬や猫にとって良いことなのかどうかはしっかりと考える必要があります。(特に猫は病院など必要な場所以外に連れ出すことは好ましくありません。)
まとめ
タイのバンコクにオープンしたペット同伴OKの映画館についてご紹介しました。カジュアルで楽しいニュースとして紹介されることが多いこの話題ですが、「本当にこの場所に愛犬を連れて行くべきか?」と立ち止まって考えるきっかけになる話題とも言えます。
これからの季節、日本では夏祭りや花火大会に愛犬を連れて行って迷子になってしまったという話題がSNSなどで目にすることが増えます。犬や猫にとっては家でお留守番している方が安全で快適な場合も多々あることは、多くの飼い主さんが心に留めておかなくてはなりません。
《参考URL》
https://www.scmp.com/news/asia/southeast-asia/article/3223649/thailands-first-pet-friendly-cinema-opens-four-legged-film-goers
https://www.euronews.com/culture/2023/06/13/paws-and-popcorn-thai-cinema-goes-pet-friendly