犬にもある「犬見知り」
人に「人見知り」があるように、犬にも「犬見知り」があります。つまり、他の犬との関わりが苦手な犬です。親犬から受け継いだ遺伝的な要因により、どんな犬だろうが無条件に嫌がってしまうという犬もいますが、後天的な犬見知りも少なくありません。
例えば、過去に他の犬との間でとても嫌な経験をしたことのある犬です。その時と同じような状況や、その時の相手と同じ犬種や体格だとダメだというように、その時の思いが蘇るような条件が一致すると、嫌がってしまうというものです。
また、親や兄弟姉妹たちと一緒に過ごしながら犬同士の付き合い方を学んでいく時期に、他の犬との触れ合いを経験できなかった犬も、犬見知りな犬になってしまうことが多いです。社会化期といわれている生後2〜12週頃が、この時期にあたります。
社会化期は、さまざまな刺激を素直に受け入れられる時期です。しかも、まだ身体が出来上がっていない状態なので、子犬同士で激しく遊んでもケガにまで発展することが少なく、相手の反応や力加減などを学んでいけるのです。
この社会化期に犬同士の付き合い方を学べなかった犬は、挨拶の仕方など、他の犬との関わり方が分かりません。どのような反応が返ってくるのかを予測できず、他の犬との関わりが苦手になってしまうのです。
愛犬が犬見知りだとわかった場合、適切な対処をしながら他の犬との良い交流の経験を積み重ねることで、ある程度改善することができます。
まずは、犬見知りの犬が見せる行動や仕草を知ることから始めましょう。
「他の犬との関わりが苦手」な犬が見せる行動や仕草
他の犬と対面している時にストレスサインが現れた場合は、相手の犬に対して苦手意識を持っているのだと判断して良いでしょう。
その中でも特に、「他の犬との関わりが苦手」な犬がよく見せる行動や仕草をご紹介します。
1.唸る、吠える
唸るというのは、相手に対する威嚇です。威嚇というのは、実際に攻撃を仕掛ける前に行い、「それ以上近づいたら攻撃するぞ」と相手を牽制する行為です。
威嚇をしても相手が無視して近づいてくると、さらに興奮が高まって全身で吠え続けるようになります。
2.固まって動けなくなる
あまりの恐怖心から、威嚇もできずに固まって動けなくなってしまう犬もいます。気弱な犬に多い反応です。
ただ固まっているだけではなく、低い姿勢をとったり目をそらして体の側面を相手に見せたりする場合は、攻撃する意思がないことを相手に伝えています。
3.逃げ出す
他の犬の姿が見えた段階で、逃げ出そうとする犬もいます。逃げられない状況の時は、飼い主さんの後ろに隠れようとすることもあるでしょう。
なお相手の犬と挨拶を始め、自分は相手のお尻のニオイを嗅いだにも関わらず、自分のお尻のニオイを嗅ごうとした犬を避けるようにする場合も、犬見知りの傾向があると考えられます。
克服するために飼い主さんができること
もしも愛犬の犬見知りを改善し、仲の良い犬友達を作らせたいと思うのであれば、苦手な見知らぬ犬との交流はできるだけ避けるようにしながら、良き先輩となってくれる犬をみつけましょう。
よくしつけられている穏やかで寛容な性格の犬を選び、飼い主さんに協力をお願いします。愛犬のペースを重視しながら、少しずつ相手の犬との距離を縮めていきます。
もし愛犬が唸らずに落ち着いていられたら、おやつをあげて褒める、挨拶ができたらおやつをあげて褒めるといった具合に「他の犬と関わると嬉しいことがある」という経験を積み重ねてあげましょう。
また、ドッグスクールなどの利用もおすすめです。身近に良い相手がいない、どうすればよいか分からないという場合でも、きちんとした知識を持ち、多くの経験を積んだプロの協力を得ながら練習を重ねることができるでしょう。
まとめ
愛犬が犬見知りの場合、できるだけストレスを回避してあげることは大切ですが、それだけでは残念な気もします。
大切な愛犬の生活や生涯が少しでも豊かになるように、他の犬との関わりが楽しいものだということも教えてあげられると良いですよね。
自分だけでは無理なら専門家の力も借りながら、時間をかけて少しずつ、上手に犬同士の関わり方を教えてあげましょう。