1.元気がなく疲れている
動物の体にとって、水分はとても重要な成分です。犬の体の場合は『約60〜70%が水分でできている』とされています。
体を正常に動かすために欠かせない水分が体内で不足すると、体のバランスが崩れ、犬の体に不調が起こります。重篤な症状が出る前でも、疲れやすくなって元気がなくなったり、あまり動きたがらなくなったりする様子が見られるようになります。
いつもよりも寝ている時間が多いと感じたり、散歩や遊びにあまり反応しなくなったりしたときは、水分が十分に取れているか確認してみてください。
2.食欲がない
犬が脱水状態になっていると、体のバランスが崩れて不調を起こすとしましたが、その影響であらわれるのが「食欲の低下」です。
犬を含めた動物にとって、「食べる」ということは生きるために欠かせないことでありながら、ある程度の体力や意欲がないと、「食べる」ということすらできなくなってしまいます。
そのため、いつもは喜んで食べるご飯やおやつへの反応が鈍くなったり、食べたがらなくなったりしたときは脱水によって体調不良を起こしているのかもしれません。
このようなときは、水分をしっかりと取れるように、野菜やお肉を煮たあとの煮汁などを水で薄めて与えたり、おかゆのような水分の多い食事を与えたりするといいでしょう。
3.下痢や嘔吐をくり返す
脱水状態になると、単純に水分が不足するだけでなく、カリウムやナトリウムというような電解質も失われてしまいます。
電解質は細胞や血管、神経、筋肉などの調整に欠かせないもので、バランスが崩れるとめまいや吐き気などの症状を引き起こすことがあります。
人間の脱水を防ぐ際にも、『塩分を一緒に摂った方がいい』と言われているのは、この電解質のバランスが崩れないようにするためです。
このようなことから、犬が嘔吐や下痢をしているときは脱水状態になっている可能性があります。さらに、嘔吐や下痢をくり返すことで、余計に水分が失われて症状が悪化する可能性があります。
このような場合は、様子見をすることなく、すみやかに動物病院で点滴や輸液などの治療を受けるようにしてください。
4.おしっこが少ない、色が濃い
体に不要な水分はおしっこや汗として排出されることからもわかるように、犬のおしっこが少ない場合は、十分な水分を摂取できていない可能性が考えられます。
また、水分量が少ない尿は色が濃くなるので、おしっこの色が濃くなったり、量や回数が少なくなったりした場合は、積極的に水分を与えるようにしましょう。
5.皮膚に弾力がない
犬が脱水状態になっているとき、皮膚にも変化があらわれます。
水分が不足した皮膚は、弾力を失ってしまうため、背中や首元の皮膚をつまんだときに元の状態に戻るまでに時間がかかるようになります。通常であればつまんだ皮膚を離した瞬間にパッと元に戻りますが、脱水状態にあるときは戻るまでに2秒以上かかります。
また、脱水状態だと口内にも変化が起こり、唾液の量が減って口内がねばついていたり、歯ぐきのつやや水分がなくなったりします。
皮膚や歯ぐきにまで影響が及んでいるようであれば、動物病院を受診して適切な治療を受けさせるようにしてください。
まとめ
脱水症状は、日常的に起こりうる身近なトラブルでありながら、最悪の場合犬の命さえも奪う可能性があります。
暑さの厳しい夏だけでなく、乾燥した冬の室内でも起こることがあるため、季節を問わず注意しておきたいものです。
犬がいつでも清潔な水を飲めるような環境を整えておき、その上で脱水の症状が出ていないか日頃から愛犬の様子をしっかりと観察するようにしましょう。