飼い犬の習性と能力を知っておくべき理由
日本ではかつて、次から次へと違う犬種のブームが訪れては去っていく、という現象が過去に何度も起こっています。印象深いのは、1980年代後半に起きた「シベリアン・ハスキー」ブームです。獣医学部の学生たちを描いた漫画の中で登場したシベリアン・ハスキーがきっかけで、大ブームになったのです。
漫画に登場するハスキーの子犬がとても賢くてかわいいから、という理由だけで一緒に暮らし始めてしまったご家庭では、不幸な結末を迎えられたケースも多かったようです。
シベリアン・ハスキーは本来寒いシベリア原産のため、日本の気候では暮らしにくい、という点があります。また、ソリ引き用の犬種なので、散歩だけでは運動量が足りずにストレスが溜まってしまいがち…などの問題が相次ぎ、手に負えなくなって手放されたハスキーたちが保健所などにたくさん収容されたのです。
このように、犬の習性や能力を知らずに暮らし始めてしまうと、不幸な結果になってしまうことが少なくありません。事前に犬の習性や能力を知り、一緒に暮らせるかどうかを見極めた上で迎え入れる必要があるのです。
犬が持っている「習性と能力」
では、犬が持っている「習性と能力」とは、具体的にはどのようなことを指すのでしょうか。
1.犬の本能的な欲求
愛犬と飼い主さんの双方が快適に暮らすためには、犬の本能的な欲求を知っておく必要があります。犬の本能的な欲求とは下記の通りです。
- 食欲を満たすこと
- 喉の渇きを満たすこと
- 仲間や家族と触れ合うこと
- 安心できる場所で休めること
- 遊ぶこと
特に気をつけていただきたいのは、「遊ぶこと」です。犬の狩猟本能を満たせる遊びであることが重要です。
犬の「獲物を追い詰め、飛びかかり、咬みついて振り回す」という狩りスタイルを考慮すると、下記のような遊びが一般的な犬たちに喜ばれる遊びだといえるでしょう。
- 犬同士や飼い主さんとの「追いかけっこ」
- 投げたおもちゃやボールを持って来る「モッテコイ」
- ロープなどの長細いおもちゃの「引っ張りあいっこ」
さらに犬種特性も加味して、愛犬が喜ぶ遊びをみつけてください。
2.満腹感を感じない
犬は、満腹感をあまり感じません。一度にたくさんの食事をあげても残さずに、いくらでも食べてしまいます。そのため、愛犬の食欲に任せて食べさせてしまうと、あっという間に肥満体型にしてしまいます。
肥満は万病の元なので、飼主さんがしっかりと食事の量を管理する必要があります。1日に必要な食事量を小分けにして、複数回に分けて食べさせる方が、愛犬も喜びます。
3.飼い主さんに求めているのは母子関係
かつては、「犬は群れの中に順位を確立し、トップに立とうとする」という考え方が常識とされていましたが、現在の科学ではこの考え方が間違っていたことが分かっています。
犬が求めているのは、母子関係に近いものです。飼い主さんを母犬のように信頼し、アイコンタクトを交わしたりスキンシップを深めたりすることで、愛犬と飼主さんの双方が幸せな気分になり、愛情の絆が深まることが科学的にも証明されています。
4.縄張り意識と強い警戒心
犬は縄張りを守りながら暮らしています。侵入者を警戒し、吠えたり攻撃的な行動に出たりします。そのことを理解しないと、犬が「警戒」や「防衛」のために吠えているのを「無駄吠え」だと思い叱ってしまうことでしょう。
日本の住宅事情もあり、犬の鳴き声は近所トラブルになりがちです。愛犬の心理を理解した上で、訪問者が決して怖くはないことを覚えさせましょう。
5.犬の高い学習能力
犬は、過去の経験から「○○をするとよいことが起きる」とか「△△をすると嫌なことが起きる」ということを学習する能力を持っています。この能力を理解できると、愛犬に無理なく「やってほしいこと」や「やってほしくないこと」を教えられるようになります。
犬種ごとに異なる「習性と能力」
ここからは、犬種ごとに異なる「習性と能力」について解説します。
穴掘り名人のテリア、ダックスフンド
穴の中に住むキツネやアナグマなどの小型獣の猟犬や、地中の獲物を追う猟犬として品種改良されてきたテリアやダックスフンドは、特に穴を掘りたがります。
外だけではなく、室内でもシーツやクッション、絨毯などをしきりに掘るような行動をよく見せます。
何でも咥えて持って来るレトリーバー
レトリーバー種は、穏やかで明るい性格が人気の大型犬です。撃ち落とされた鳥を咥えて持ち帰るのが仕事だったため、何でも咥えて持ってくる名人です。
床に落ちている靴下やスリッパなどをすぐに咥えて持ってくるのも、イタズラではなく習性からくる行動なのです。
元牧羊犬でスタミナ抜群のコーギー
コーギーは、牧場で牛などの群れを扱う牧羊犬でした。そのため、牛のケリが命中しないような足の長さになりました。とてもアクティブでタフなため、しっかり運動をさせなければなりません。飼主さんに、一緒に運動するための体力と時間の余裕が求められる犬種です。
学習能力の高い頑固者の柴犬
国内外で人気の柴犬は、実は初心者には少し難しい犬種です。学習能力がとても高い反面、頑固な一面も持っています。
一度規則破りを許してしまうと、「規則は破っても良い」と学習してしまいます。飼主さんには、決めたルールを徹底して守らせる根気強さが必要です。
小さいけれど実は番犬向きの面も持つチワワ、ポメラニアン
チワワやポメラニアンは小さくて愛らしい見た目ですが、侵入者に敏感で、自分よりも大きな相手に立ち向かう勇敢な気質を持っています。
警戒心から吠えやすいのですが、学習能力はそれほど高くはありません。小さい頃からしっかりと来客は怖くないことを教える必要があります。
まとめ
愛犬との暮らしをより豊かにするために、犬が持っている習性や能力、また犬種特性は知っておく必要があります。
もし初めて犬を迎えようとされているのなら、見た目の印象だけで選ばないようにしましょう。ご自身の生活環境やライフスタイルが、その犬の習性や特性に適しているかを見極めた上で迎え入れてくださいね。