犬との暮らしは苦労もたくさん
某電機メーカーが犬型のロボットを発売して以来、犬や猫、もしくは小型の架空生物を模したロボットには一定の人気があります。しかしロボットはあくまでもロボットです。できるなら、本物の犬と一緒に暮らしたいと思っている人は決して少なくありません。
パートナーとして犬と一緒に暮らしていると、時には自分を犠牲にしてでも、犬の幸せや命を守らなければならないこともあります。ただかわいいからという理由で暮らし始めてしまうと、思いもよらない苦労という壁が待ち構えているのです。
しかしそこは、備えあれば憂いなしです。実際に初めての犬を家に迎え入れる前に、ご自身の特性から考えられる犬との暮らしにおける懸念点を洗い出しておき、「自分には大変そうだ」と思えることに対して、しっかりと備えをしてから愛犬を迎え入れましょう。
犬を初めてお迎えした人が乗り越えるべき「壁」
ここからは、犬を初めてお迎えした人が乗り越えなくてはならない「壁」について解説します。これから犬をお迎えしたい人なら、今のうちに把握しておくべき内容です。
1.高額な医療費
犬は生き物ですから、病気にかかったり怪我をしたりするのは、当たり前のことです。しかも人間の4〜7倍の速さで年を取っていくため、基本的には飼い主さんが年老いた愛犬の介護をし、最期を看取ることになります。
犬には国民健康保険制度のようなものはありません。治療にかかった医療費は、全額飼い主さんが負担しなければなりません。おそらく、初めて犬と一緒に暮らした方が一番驚かれるのが、「医療費の高さ」でしょう。
愛犬の健康管理をしっかり行うのはもちろん飼い主さんの責任ですが、同時に民間のペット保険などを利用して、万が一の時のために、備えておきましょう。
2.しつけ問題
犬を人間社会の中で生活させるためには、しつけを避けて通ることはできません。トイレはもちろん、愛犬が不安や恐怖でパニックになっても飼い主さんが愛犬を落ち着かせられなければならないのです。
初めて犬と暮らすのであれば、ぜひ愛犬と一緒に通って犬との付き合い方やしつけ方を教えてもらえるドッグスクールを探し、パピークラスを受講することをおすすめします。
3.片付け不足による誤飲の危険性
犬は、興味を示したものを口に入れてしまい、場合によっては飲み込んでしまうこともあります。床の上に物が雑多に置いてあったり落ちていたりすると、危険な物を飲み込んでしまうこともあり、危険です。
片付けが苦手な方が犬を迎えたからといって、急に片付け上手になるわけではありません。犬をお迎えする前から、部屋の中の片付けを習慣化しておきましょう。異物の誤飲事故は、腸閉塞や中毒を起こして愛犬の命に係る場合もあるのです。
4.飼い主自身の体力不足
犬を迎えたら、毎日のお散歩が必要です。牧羊犬に端を発している犬種などは、体のサイズに関係なく活動量が多く、たくさんの運動が必要です。お迎えする犬種を選ぶ際には、犬種特性も意識し、ご自身の体力に適した犬種を選びましょう。
飼い主さんご自身の体力に自信がなくなってきているようなら、あまり多くの運動を必要としない犬種を選ぶと共に、お迎えする前からできるだけ歩く習慣を付け、足腰の筋力を鍛えておくことをおすすめします。
お散歩だけではなく、日々のケアはもちろん、看病や看護が必要になったときには、それなりの体力が求められますので、飼い主さんご自身の健康管理もとても大切です。
5.犬についての知識不足
犬全般に共通する習性や能力、また犬種特性などを知ることは、愛犬に快適で幸せな暮らしをさせてあげるためにとても大切です。私達は、犬の気持ちを擬人化して考えがちですが、犬の習性や感じ方、学び方などを知ることで、より正しく理解できるようになるからです。
市販の書籍や最近の動物行動学、動物心理学などの研究論文、またドッグスクールやかかりつけの獣医師などからの情報収集を怠らず、常に最新で正しい犬に関する情報を学ぶよう心がけましょう。
まとめ
どんなに愛おしい犬との暮らしでも、相手は生き物なので苦労はつきものです。ただ「かわいい」「楽しい」だけでは暮らせません。
しかし、苦労をするからこそ、お互いの間に深い信頼と愛情の絆が結ばれるのです。苦労をすればするほど、愛犬が与えてくれる幸せも増えていくことでしょう。
犬にも飼い主さんにも個性がありますので、苦労の度合いはそれぞれ異なります。しかしご自身の性格などから想定できる懸念点に対して、事前に準備をしておくことで、実際の苦労の度合いを軽減したり、心の負担を軽くしたりできるはずです。事前にいろいろと準備をし、協力者を探してから、初めての犬をお迎えしましょう。
犬との暮らしは、永遠に続く子育てと言えるかもしれません。乗り越えるべき壁がどんなに多くても、また高くても、愛犬と一緒に楽しみながら乗り越えていきましょう。