狂犬病とは?
まず狂犬病とはどんな病気なのでしょうか。他の病気と比較して、法律で定められるほどの重要性がなぜあるのでしょうか。
実は狂犬病は私たち飼い主にも大きく関連する病気です。
人間にも感染する可能性のある人獣共通感染症
狂犬病は全ての哺乳類が感染し得るとされるウイルスが原因となる感染症です。
ウイルスは唾液中から排出され、感染した動物に噛まれることで、唾液中のウイルスが噛み傷から体内に入り込むことで感染します。
全ての哺乳類にはもちろん人間も含まれます。
厚生労働省からの報告によると、哺乳類が感染し得る病気ですが、主にアジアやアフリカでは犬・猫、アメリカやヨーロッパでは加えてキツネやアライグマ、スカンク、コウモリ、中南米では加えてコウモリやマングースが感染源となるため注意が必要とされています。
死に至る危険性もある怖い病気
狂犬病は感染すると神経症状を引き起こし、発症すると最終的には死に至る怖い病気です。
狂躁時と麻痺時が存在し、狂躁時の場合は極度の興奮、神経過敏や攻撃性などが見られるようになります。
麻痺時の場合、激しい症状は見られませんが、麻痺がおこるため、嚥下困難や食べ物を食べることが難しくなるなどの変化が現れます。
治療方法は存在せず、発症するとほぼ100%で死に至るとされています。
数十年前には日本にも存在
1950年以上前には、日本国内の多くのわんちゃんが狂犬病に感染していました。そして、感染しているわんちゃんが原因で多くの人も狂犬病に感染し、死に至っていたとされています。
現在は国内に狂犬病は存在せず清浄国とされていますが、近隣の国々では、いまだ狂犬病は存在し、身近にある危険な病気です。
狂犬病予防の基礎知識
法律での義務化がされている
1950年代に最後の発生後、渡航からの帰国後の発生を除いて、国内では狂犬病の発生の無い清浄国とされています。
しかし、現在も清浄国とされるいくつかの国以外では狂犬病が存在し、人間も感染および発症を予防しながら生活している国もあります。
再び日本国内に狂犬病が国内に侵入し、蔓延することを防ぐために、そして私たち人間が狂犬病と1950年代よりも前のように隣り合わせの生活にならないために、狂犬病の予防は飼い主さんの義務として法律で定められています。
狂犬病予防注射のシーズンはいつまで?
万が一狂犬病が国内で発生してしまったときのために、国内に存在するわんちゃんの数を把握しておくことも防疫の観点から大切と言われています。
そのため、年に一度の接種と登録を飼い主さんの義務としています。年度の変わる3月から4月に自治体から狂犬病予防接種のお知らせが届き、その年度内での接種を促すことが多いです。
狂犬病予防接種は自治体の登録などの関連で、自治体によってはその年度に行われていない場合に督促が行われることもあります。
しかし厳密には、法律によって接種を行う時期が決められているわけではありません。
おうちのわんちゃんの体調や、前年度の接種時期などを考慮しながら接種していただくと良いでしょう。
狂犬病予防の必要性
前述したように厚生労働省からの報告ではわんちゃんも猫ちゃんも感染源となり得るとされているのに対して、なぜわんちゃんだけ予防接種が法律で義務化されているのかと思われる方も多いのではないでしょうか。
現在、狂犬病が流行する国では、犬からの感染がほとんどとされており、蔓延する原因となり得るのは犬とされています。
そのため、万が一海外から狂犬病が国内に入ってきてしまったときのために、蔓延を防ぐ目的でわんちゃんへの接種を義務付けているのです。
海外に渡航する場合は、その国の発生状況などに応じて、わんちゃんが充分に狂犬病に対する免疫を付けられるように、接種の回数や期間が決められていることが多いです。
その条件を満たさないと渡航できない場合もあります。
狂犬病予防注射を受ける際の注意点
では、狂犬病予防注射受けるにあたってどのようなことに注意が必要なのでしょうか。飼い主さんとしておうちのわんちゃんのために、どのようなことを配慮してあげるべきでしょう。
どんなことに気を付けるべき?
まず、接種の前に、お家のわんちゃんが接種をするのに適切なタイミングかを考えてあげましょう。体の不調や、持病の悪化、発情など、いつもの健康状態とは違う状態ではありませんか?
狂犬病の予防注射は、安全性の高いワクチンですが、免疫システムに働きかけるものであるため、接種後にわんちゃんの体に負担がかかる可能性があります。
体調の変化などが起こり得るため、健康な時の接種をおすすめします。また、どんなに健康な子でも、接種後に体調の変化が見られる場合もあります。
接種後は安静にしていられたり、飼い主さんが一緒にいてあげられるスケジューリングや、接種後の体調変化のフォローが出来るよう、動物病院の開院時間との調整などを行えると安心です。
接種後に気を付けておきたいこと
予防接種はわんちゃんの免疫システムに働きかけるものであるため、接種後に体調の変化が見られたり、わんちゃん自身が不調を感じる場合があります。
そのため、出来るだけ安静にして体を休められるようにしてあげましょう。
変化に気付けるよう、お留守番させずに、飼い主さんが一緒にいてあげられるタイミングに合わせて接種するなども大切です。
発熱、倦怠感、接種した場所の疼痛などが起こり得ますが、他にも食欲消失や元気消失などの症状も見られる場合があります。
変化を感じたら、接種した病院にすぐに連絡するようにしましょう。
動物病院との連携が大切
接種に当たり、動物病院との連携もとても大切です。
おうちのわんちゃんが、接種しても問題の無い健康状態なのか否かを判断するということも含め、かかりつけの動物病院での接種はあんしんです。
狂犬病の集合注射などもありますが、おそらく自治体からのお知らせなどでわんちゃんの健康状態に問題無いかを飼い主さんが判断をする必要があると記されていることが多いと思います。
持病がある場合に接種をしても問題が無いかどうか、その日の健康状態が接種に適しているかどうかをかかりつけの先生に判断してもらい、接種をすることをおすすめします。
健康状態が万全な状態での接種により、接種後の体調不良などを予防できる可能性が高いです。
まとめ
当たり前に予防するべきと思っている狂犬病ですが、実は私たちにも関連する怖い病気であるということがわかると、より予防接種の重要性が感じられるでしょう。
飼い主さんの義務としても法律で定められている狂犬病の予防接種及び登録です。きちんと飼い主さんの責任として行いましょう。