愛犬の毛、放置していない?清潔に保つために必要な5つの習慣とやってはいけないNG行為を解説

愛犬の毛、放置していない?清潔に保つために必要な5つの習慣とやってはいけないNG行為を解説

皮膚は全身を覆い、体外から外敵が侵入するのを防ぎ、体内から必要なものが外に漏れ出てしまうことを防いでいる、最も大きな臓器です。その皮膚と被毛を健全な状態に保つことは、愛犬の健康管理の基本ともいえるでしょう。愛犬を清潔で健康な状態に保つために必要な習慣や、やってはいけないNG行為を解説します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の皮膚と毛の基礎知識

人の皮膚の構造

全体重の12%程を占める皮膚は、最も大きい臓器です。体の形を保持し、痛みや温度を感じ、血管の拡張・収縮や毛を逆立たせることで体温を調整し、皮膚バリア機能で病原体が体内に侵入するのを阻止するなど、実にさまざまな役割を担っているのです。

皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層構造になっています。皮膚バリア機能を担っているのが表皮、神経や血管、リンパ管、免疫関連の細胞や毛を包む鞘のような毛包、毛を逆立てたり寝かせたりする立毛筋、皮脂を分泌する皮脂腺や汗を分泌するアポクリン汗腺などがあるのが真皮です。

皮脂や汗は、毛包を通って皮膚の表面に出てきます。アポクリン汗腺から分泌される汗はベタベタした汗で、よく人が暑い時にかくエクリン汗腺から分泌されるサラサラの汗とは異なります。犬の場合、エクリン汗腺は肉球にしかありません。皮下組織は主に脂肪組織で、エネルギーの貯蔵やクッションのような役割を果たしています。

犬の毛には太くて硬い剛毛と細くて柔らかい柔毛があり、1本の剛毛の周囲に複数本の柔毛が囲むように生えています。皮膚の表面から見えている毛の部分を毛幹、下の見えない部分を毛根と呼びます。毛根を包んでいる毛包は頭から尾の方に向かって30〜60度の角度がついており、それが毛並みを作っています。

毛の成長サイクルを毛周期と呼びます。決められた長さまで成長する成長期を過ぎると、成長を止める退行期に入り、最終的には毛包内の毛が脱落して新しい毛を作る準備をする休止期に入ります。

毛周期は毛の長さ、日照時間、季節、栄養状態などさまざまな要因で決まります。例えば短毛種は、長毛種よりも毛が短いため成長期が短い分、毛周期も短くなります。

愛犬を清潔に保つために必要な習慣

犬のブラッシング

では、愛犬を清潔に保つために必要な習慣とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか。

1.こまめなブラッシング

年に2回の換毛期はもちろんですが、それ以外の時期も毛は常に生え変わっています。あまり抜け毛が目立たない子でも、定期的にブラッシングをして、抜け毛が毛に絡まないように除去することが基本です。

2.お散歩後の拭き取り

当然ですが、お散歩に行くと花粉や埃など、いろいろなものが足の裏や体に付着します。そのため、お散歩から帰ったら必ず足先を洗い、体を蒸しタオルなどできれいに拭くようにしましょう。

3.伸びすぎた毛のカット

長毛種には定期的にトリミングをすると思いますが、短毛種でも目の周りや肉球の間の毛が伸びてきた場合は、カットをしましょう。肉球の間から毛がはみ出ていたら伸びすぎです。滑りやすく踏ん張りがきかなくなって、ケガをしやすくなるので注意が必要です。

4.シャンプー後はしっかり乾燥

シャンプー後は皮膚が蒸れやすくなるため、体をしっかりと乾かしましょう。皮膚が蒸れると、皮膚に生息している常在細菌が過剰に繁殖して皮膚炎の原因になります。

また夏は、ノミやダニも繁殖しやすくなります。

5.冬の保湿対策

シャンプー後の乾燥は大切ですが、特に冬の時期は、乾燥しすぎに注意が必要です。皮膚バリア機能が低下してしまい、わずかな刺激にも敏感に反応して、かゆみが出たり病原体が体内に侵入しやすくなってしまうのです。

「保湿クリームを塗る」というようなケアも習慣づけましょう。

愛犬を清潔に保つためにやってはいけないNG行為

シャンプーされる犬

ここからは、愛犬を清潔に保つためにやってはいけないNG行為について解説します。

シャンプーのしすぎ

愛犬の皮膚や毛を清潔で健康な状態に維持するためには、シャンプーで清潔な状態を維持することが大切です。しかし、シャンプーのしすぎもよくありません。必要な皮脂まで落として乾燥させすぎてしまいます。

皮膚細胞の寿命を考え、3〜4週間に1回程度がシャンプーの目安です。かかりつけの獣医師などにも相談し、愛犬に最適な頻度をみつけましょう。

人間用シャンプーの使用

シャンプーやリンス、保湿クリームなどは、犬用のものを使用しましょう。どんなに品質が良くても、人間用の使用はおすすめできません。

例えば、人間の皮膚はアルカリ性で、犬の皮膚は酸性です。皮膚の性質や毛の生え方など、犬と人では異なるのです。

自己判断での薬用シャンプーの使用

いくら犬用の製品でも、薬用シャンプーに関しては飼い主さんの自己判断で選択することはおすすめできません。薬用シャンプーは、皮膚に問題がある場合に使用するものですので、出ている症状によって選択が異なってくるためです。

愛犬に薬用シャンプーが必要な場合は、必ずかかりつけの獣医師の指示に従って選びましょう。

犬の皮膚や毛に汚れがたまるのなぜ?

犬のブラッシングで抜けた毛

犬には春と秋の年に2回、とてもたくさんの毛が生え変わる換毛期があります。しかし、毛周期に合わせて常に毛は生え変わっています。少量でも抜け毛をそのままにしておくと、生えている毛に絡まって毛玉になります。その毛玉にフケや皮脂が付き、それが蓄積していくことで汚れが溜まっていくのです。

また、炎症などの問題が生じると過剰な量の皮脂が分泌されて、被毛がベタついたりニオイがきつくなったりします。お散歩などで体についた花粉や埃などが落ちにくくなり、さらに毛も絡まりやすくなるため、蒸れて皮膚の健康状態をさらに悪化させます。

まとめ

タオルドライされる犬

愛犬の健康管理の一環として、特に皮膚や毛に着目した管理法について解説しました。

皮膚と毛は、直接体の外と中を仕切っている最大の臓器で、外の環境にあるあらゆる異物から体を守る役割を担っています。

そのためには、皮膚と毛を常に清潔で健康な状態に保つことが大切です。ご紹介した良い習慣やNG行為を参考になさってみてください。

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