犬はかけがえのない存在…ペットロスに陥る飼い主は多い
昔は使役のために飼われていた犬たちですが時代を経て愛玩動物に、さらに現在は家族やパートナーのようなかけがえのない存在として、私たち飼い主と密接な距離感で暮らしています。
家族同等の絆を育んでいる愛犬と飼い主の間には、言葉では表せないほどの信頼関係や愛情が生まれているため、愛犬が亡くなった時には多くの飼い主が深い悲しみに襲われるのです。これを『ペットロス症候群』といいます。
ペットロス症候群自体は珍しくなく、昔から知られている症状でした。しかし近年、より犬と飼い主の距離感が密接になったことで症状が悪化してしまい、精神疾患や身体的な病気へと発展してしまう患者が増えているのです。
ペットロスで生じる5つの症状
では、具体的にペットロスではどのような症状が生じやすいのでしょうか。ここではペットロスでよく見られる5つの症状を紹介します。
1.何もやる気が起きない
ペットを失った悲しみから、気力が消失してしまう症状は多くの飼い主に起こります。一過性の人もいますが、中には長期間にわたりやる気が起きず生活に支障が出る事例が報告されています。
また、このような症状は抑うつ状態ともいわれ、ペットの死の他にも周囲との人間関係に悩みを抱えていることや、ペットとは関係ないところで孤独感を強く覚えている人が悪化しやすいと指摘されています。
2.ペットを失った悲しみから涙が止まらない
最初は最愛のペットを亡くしたことに実感が持てず、ボーッと無気力な状態を過ごしたり、思ったよりもダメージを負っていないような様子を見せている人も少なくありません。
しかし、時間が経つにつれてペットの死を受け入れるようになり、悲しみが湧き上がってくる飼い主も多いです。こうしたタイミングでペットを失った悲しみを強く実感し、涙が止まらなくなる状態もペットロス症候群に見られます。
3.罪悪感から自責の念に駆られてしまう
真面目な人や責任感が強い人ほど、ペットの死に対して「あの時別の行動をとっていれば」「もっとこうしておけば」と自責の念に駆られてしまい、落ち込む期間が長期化する傾向にあります。
また、ペットの死の原因やタイミングによっては、「自分のせいだ」と強く思い込んでしまい後悔を抱きやすいことも。このような症状には、周囲の人の助けや励ましが必要となるケースが多く、カウンセリングを受けることも推奨されています。
4.物事に集中できず落ち着きのない状態が続く
ペットロスで生じた悲しみによって、物事に集中できない状態が続いたりソワソワといつも漠然とした不安を抱え、落ち着きのない様子を見せたりするようになる人も多くいます。
こうした行動は本人の心身に負担をかけるだけでなく、生活に支障を及ぼす恐れもあります。仕事が上手くいかなくなったり、今までできていたことができなくなったりと異常が見られる場合は、一度心療内科を受診することをおすすめします。
5.突然強い孤独感や不安に襲われる
ペットの死を経験したことにより、精神状態がアップダウンしやすい人もいます。ある時は今まで通り明るく振る舞うことができるのに、ある瞬間を境に突然不安や孤独感に襲われ、泣き出してしまう…というケースもあるでしょう。
特に1人暮らしの方や人間関係に不安を感じている方に起こりやすく、無条件で信頼や愛情を与えてくれた最高のパートナーである愛犬を亡くしたことで、強い喪失感に襲われていることが原因だと考えられます。
ペットロスで起きる症状への向き合い方や考え方
上記で紹介したようにペットロスは、人によってさまざまな症状が見られます。いくつもの症状が重なってしまったり、ペットロスの期間が長期化してしまう人も多く、放置していると生活に支障が出る恐れもあります。
ペットロスに陥った時、まず大切なことは無理にペットの死を乗り越えようとするのではなく、ペットの死に向き合い悲しみを表に出すことです。自分の感情を無理に押し込めると、より悪化してしまったりトラウマ化してしまう恐れがあります。
きちんと死を受け入れるためにも、まずは愛犬との思い出を振り返りながら死の悲しみと向き合いましょう。
また、信頼できる友人や家族、さらにペットを亡くした経験を持つ身近な人に話を聞いてもらうことも大事です。一人で抱え込んでしまうとどうしても悲観的になってしまいます。
しかし、第三者に客観的に慰めてもらうことで罪悪感が軽減されたり、愛犬との思い出を前向きに振り返ることができる人も多いです。
無理に愛犬の死を乗り越えようとするのではなく、愛犬の死を受け入れながら愛犬との良い思い出を振り返ることができるよう向き合ってみてください。
まとめ
いかがでしたか。犬は無条件に無邪気な愛情を注いでくれるため、余計に飼い主側が依存してしまう傾向があります。そのため、亡くなった時、愛犬の死を受け入れられずペットロスが悪化してしまうことも多いです。
ペットロスで生じた悲しみは簡単には癒えません。しかし、現実から目を背けるのではなく、しっかり自分の感情と向き合い悲しむことは大切です。周囲の人々に手を貸してもらいながら、少しずつ愛犬の死と向き合っていきましょう。