犬が『地震前』に異常行動を見せる理由4つ
みなさんは「大地震の前にはナマズが暴れる」「深海魚が浜に打ちあがる」というような地震と動物にまつわる言い伝えを聞いたことはありませんでしょうか。
鳥やネズミなど多くの動物が、地震の前にいつもと違った行動を取るといわれていますが、実は犬も地震が起きる前に異常行動を見せるといわれています。
犬が地震前に起こす異常行動は
- いつもと違う鳴き方をする
- なにかに怯える
- 逃げ出そうとする
- 落ち着きがなくなる
などが報告されていて、早い場合は地震が起きる1ヶ月前からいつもと違った行動を見せるそうです。
動物が見せる異常行動は「宏観(こうかん)異常現象」という誰でも感じ取れる地震の前兆の一つだといわれていて、1995年の阪神・淡路大震災では神戸や姫路に住む犬の約25%が異常行動を見せていたといわれています。
では、なぜ犬は地震前に異常行動を見せるのでしょうか。考えられている理由をご紹介します。
1.『電磁波』説
地震が起きる過程で地盤が歪み、岩盤が破壊されると衝撃で電磁波が発生します。「犬はこの電磁波を感じ取っているのではないか?」と研究したのが、麻布大学獣医学部の太田光明教授です。
太田教授が行った約300匹の犬を対象とした実験では、10匹中1匹の割合の犬が電磁波に反応を見せました。特に、バセンジーやシベリアンハスキーなど狼の血が色濃く残っている犬種のほうが感知能力が高いという結果だったそうです。
また、『震度5以上の地震が起きる前のほうが、犬は異常行動を起こしやすい』というデータも出ていて、太田教授は「大きい地震の前ほど犬は強く反応する」としています。
2.『帯電エアロゾル』説
「帯電エアロゾル」とは、電磁波が地上に放出され大気中のチリや水蒸気が電気を帯びて発生する微粒子のことをいいます。
大阪市立大学の弘原海清(わだつみきよし)名誉教授の研究では、帯電エアロゾルは空が赤くなるなどのさまざまな宏観異常現象の原因であり、犬は地震前に発生する帯電エアロゾルを感知して異常行動をしているのでは、と推測しています。
3.『イオン濃度』説
帯電エアロゾル説を提唱している弘原海名誉教授は、他にも「イオン濃度」が犬の異常行動を引き起こす可能性があるとしています。
教授は、阪神淡路大震災時に神戸市内に設置されたイオン測定器が異常に高い数値を示したことに注目。地震前に生じる地面の亀裂から「ラドン」という物質が大気中に放出され、イオン濃度を高めているのを犬が感知しているのではないかと述べています。
4.『P波』説
地震にはP波とS波があり、地震発生直後に起きる速度が速くエネルギーが弱いという特徴を持つのがP波、P波の後に起きるのが速度が遅くてエネルギーが強いS波です。
アメリカの研究では、犬は人間が気づかないP波を感知し異常な行動をしているのではないかと推測されています。
しかし、P波は地震が起きる直前に起きるものなので、「地震の1週間前から動物が異常行動を取り始めることの説明にはならない」「地面の傾きや揺れ、地下水の異常、電磁波などが関係しているのかもしれない」とアメリカの研究者も報告しています。
犬は地震を予知しているのか?
さまざまな説がでていますが、犬が地震を予知しているかどうかハッキリしたことは現時点では不明です。
しかし、日本だけでなく海外でも犬が地震の前に異常行動を起こしているのは事実です。
犬だけでなく、動物達が人間には分からない自然の変化に気づいている可能性は高いといえるでしょう。
まとめ
犬が地震前に異常行動を見せる理由として
- 電磁波
- 帯電エアロゾル
- イオン濃度
- P波
これらの説が挙げられていますが、明確な理由は今のところ不明です。
「犬が地震を予知するなんて迷信」「たまたまいつもと違う行動をしただけ」という意見を持つ人もいます。みなさんはどう思われるでしょうか?