愛犬が飼い主に見せる行動には理由があります
一緒に過ごす時間が長くなればなるほど、愛犬と飼い主さんの間には特別な関係性が生まれます。それは母子間の愛情のようであり、深い信頼の絆でもあります。
犬と人間では、感覚器官による五感の感じ方も異なりますし、当然言語によるコミュニケーションも取れません。しかし、愛犬と飼い主さんとの間に築かれた絆と両者の間だけで通用する独特なコミュニケーション手段などにより、意思の疎通ができるようになってきます。
ただし、それはお互いに相手の気持を思いやる気遣いがあってこそ成立するものなのです。つまり、愛犬が飼い主さんに見せるさまざまな行動には、そうすべき理由が必ずあります。
今回は、さまざまな行動の中でも、本当に深い信頼関係が生まれたときにだけ愛犬が見せる「飼い主に体を預けてくる行為」の理由について考えてみたいと思います。
犬が飼い主に体を預けてくる理由
ではここからは、犬が飼い主に身体を預けてくる理由には、具体的にどのようなものがあるのか解説いたします。
1.疲れ果てたから
体を預けるということは、全身の力を脱力し、全体重を飼い主さんに委ねてしまうという状態です。
例えば、座っている飼い主さんの膝の上に顎を乗せ、全身が脱力したぐたっとした状態で眠っている愛犬をイメージしてみてください。
真っ先に考えられるのが、飼い主さんと夢中になって遊び、疲れ果ててしまった状態ではないでしょうか。愛犬が飼い主さんに体を預けてくるとき、「飼い主さんと一緒にいたいけれども疲れ果ててしまっている」という理由がありそうです。
ただし、体を預けるという行為は、飼い主さんのことを心の底から信頼しているからこそできる行為です。この行為には、愛犬からの深い信頼のメッセージが込められていると言っても良いでしょう。
2.暖かいから
冬の寒い夜は、愛犬もより暖かくて居心地の良い寝床を求めることでしょう。飼い主さんの布団の中に潜り込み、ピタリと飼い主さんに寄り添って体を預け、すやすやと眠っているような場合は、そこが愛犬にとって最も暖かくて気持ちの良い寝床だということです。
布団の中に限らず、伝わってくる飼い主さんの体の温もりこそが、愛犬にとって最上の暖かさだということかもしれません。
3.安心できるから
警戒心が強く防衛本能も発達している犬は、普通何かに自分の身を完全に委ねてしまうことはありません。万が一の場合でもすぐに態勢を整えられるよう、体のどこかを緊張させていることが多いのです。
しかし、飼い主さんに体を預けられるということは、そこが愛犬にとって最も安心できる場所だからだと考えられます。何か少しでも不安要素を感じた場合は、飼い主さんのもとに来て、体を預けることで安心感を得ようとしていることもあるでしょう。
4.甘えたいから
いつもより長い時間留守番をした日や、飼い主さんが忙しくてなかなかかまってくれない日が続いたような場合は、飼い主さんにかまって欲しくて甘えるためにやって来ては、飼い主さんに体を預けることもあります。
飼い主さんに思い当たる節がある場合は、ぜひ愛犬を静かに受け入れ、甘えさせてあげてください。
5.おねだりしたいことがあるから
以前飼い主さんに自分の体を預けた時に、飼い主さんから何か嬉しいことをしてもらったという経験をしたことのある犬は、再びその嬉しい思いをしたくて同じ行動を繰り返すことがあります。
例えば体を預けてじっとしていたら優しい言葉をかけられて撫でてもらえた、おやつをもらえたなどといったことです。
前述の「甘えたいから」とよく似ていますが、この場合明確な「おねだりしたいこと」がありますので、願いが叶うまではどいてくれないかもしれません。
愛犬が飼い主に愛情を伝える他の行動もご紹介
体を預けるという行為は、ある意味自分の命を預けるのと同じくらい相手を信頼していなければできない行為です。そのため、飼い主さんとの間にしっかりとした信頼の絆が築けていない状態では、見せてくれない行為だといえます。
それでも、信頼の絆を築いていく過程で愛犬が飼い主さんに見せてくれる愛情表現は、下記のようにたくさんあります。
- いつもあとをついてくる
- 飼い主さんの体に自分の頭や体をこすりつけてくる
- 飼い主さんの横にピタリと体を寄せて座る
- 飼い主さんの顔を舐める
- 前脚で飼い主さんの体を軽く突く
- 自分のお腹を見せる
飼い主さんは、愛犬からの愛情表現をしっかりと受け取ったら、愛犬に対して飼い主さんからの愛情表現もしっかりと返してあげてください。そうすることで、愛犬は身も心も健康な状態で過ごすことができ、お互いの間にしっかりとした信頼の絆が結ばれることになるはずです。
まとめ
愛犬は、自分で自分の行動を決められません。居心地の良い寝床も、おいしい食事も、楽しい遊びや運動によるストレス解消なども、全てが飼い主さんの管理下にあるのです。
そのため、飼い主さんからの愛情が減ってしまうことは、愛犬にとっての死活問題です。
まずは愛犬から示される愛情表現は見逃さず、そして飼い主さんからの愛情もしっかりと愛犬に示してあげることで、『飼い主さんに体を預ければ安心できる』という信頼感を築いてあげましょう。