飼い主の外出時に犬が吠える心理
それまでおとなしく横になっていた犬が、飼い主が外出しようとするタイミングで激しく吠えだすことがあります。
出かけようとしているところであまりに激しく吠えられたり興奮されたりすると、飼い主さんも困ってしまいますよね。
ただし、犬は何の理由もなく吠えているわけではありません。飼い主の外出の気配を察知して、何かを伝えるために吠えているのです。今回は、その「何か」について考えてみましょう。
1.引き止めたい
犬は周りをよく観察している生き物です。飼い主と一緒に生活をしているので、その行動や表情を観察し日々学習しています。
犬の学習能力が高いのは、群れで生活する習性が残っているからです。周りの動きをよく見て学習することは、自分が生きていくうえでとても大切です。
そしてその能力によって、飼い主の身支度のくせを良く読み取ってしまうのです。
「散歩」か「お出かけ」かを見定めるためにじっと観察して、「お出かけ」であると判断すると、行ってほしくないあまり引き止めようと激しく吠えてしまうのです。
出かける際に愛犬が吠えたからといって身支度の手を止めて愛犬を構ったりしてしまうと、犬は「吠えたら出かけるのをやめるかもしれない」と学習してしまうことになるため注意が必要です。
2.不安が高まっている
いつも一緒にいるはずの飼い主が自分から離れてしまうという不安から、強い恐怖やパニックを起こしてしまうことがあります。
また、留守番の最中に怖いことがあったり痛い思いをした経験がある場合も、飼い主さんの留守を「嫌なことが起こる」という記憶と結び付けて学習していることがあります。
このような強い不安症状は「分離不安」と呼び、心理的に強いストレス状態になります。
この状態の犬はパニックを起こしているので激しく吠えたて、飼い主の外出中はなかなか止まらなくなります。
3.外は危ないと警告している
通常、犬にとって飼い主は自分を守ってくれる頼もしい相手。しかし、場合によっては犬が「自分が守ってあげるべき相手」と思っていることもあります。その場合、飼い主が外に出かけようとすると、自分のテリトリー外に出ていくことになるため、危険だと警告のつもりで吠えることがあるのです。
この警告は、家族の中の子どもたちに発せられることが多いと言われています。
外出時に吠えないようにするには
引き留めようとしたり分離不安を起こす場合、飼い主がいない時間が寂しくて退屈で切ないと犬が思っている可能性があります。実際、いつも一緒の飼い主が不在であれば寂しいでしょうし不安もあるでしょう。
この寂しい、不安だという気持ちを軽減してあげることが、外出時の吠える行動を抑制するカギになります。また、待っていれば飼い主は必ず帰ってくるということをしっかり学習してもらうのも大切です。
今回こちらでは、クレート(ケージ・ハウス)とおやつを使った効果的なトレーニングをご紹介しましょう。
まずおやつを使って犬をクレートに入れます。このとき使うおやつは、ちょっと食べるのに時間がかかるものや犬の大好きな特別なものを用意するとよいでしょう。
そして、犬がクレートに入っておやつを食べている最中に、声をかけずにそっと部屋を出ます。トレーニングなので、隣の部屋に移動するだけで大丈夫です。
犬が(あれっ?!)と思ったときには、すでに飼い主がいない状態です。ぽかんとしているかもしれませんが、そのまま5~10分ほどしたら、また部屋に戻ってクレートから犬を出してあげましょう。その際には、愛犬のことをきちんと言葉にして褒めてあげることも忘れずに。
犬にとってはあっという間の時間ですが、『(あれ?!)と思ったときには飼い主がいなくなっていて、気が付いたら帰ってきて褒められた』ということを何回か繰り返すのです。
これを練習すると、愛犬は「待っていたら飼い主は必ず戻ってくる」と理解できるようになります。
その後、犬を待たせる時間を徐々に増やし、飼い主がいなくても待っていられる時間を少しずつ伸ばしていきます。ここで用いるクレートは、なるべく窓から離して静かな落ち着いたところに設置してあげることもポイントです。
また、留守番をさせる前に十分な運動や遊びを取り入れてあげることで、留守番の間に疲れて眠りながらあっという間に待つことができるためお勧めです。
まとめ
人間にとっても一人で長時間留守番をすることは、長くてつまらないものです。犬にとってはなおさら退屈で、ストレスな時間となるでしょう。
飼い主の外出時に吠えてしまうほど留守番を怖がってしまわないように、日頃から少しずつでもトレーニングをして楽しく留守番できるようにしてあげたいですね。