実は犬の8割がハグ嫌い!?
2016年、ブリティッシュコロンビア大学のStanley Coren博士が『Psychology Today』上で発表した、犬をハグすることに関するコラムが話題になりました。
これはネット上にあげられたハグされている犬の写真を無作為に選び、その中で犬のストレスや不安な気持ちを示すカーミングシグナルやボディランゲージを集計したところ、『犬のおよそ8割がハグを嫌がっている』ということがわかったというものでした。
ただこのコラムでの調査自体は、正式な段階を踏んだ研究ではないそうです。その他の犬はハグを嫌がっているという決定的な証拠や研究は見つかりませんでした。
犬自身の性格や気分もありますし、絶対にハグが「嫌い」というわけではないようですが、苦手な犬、我慢している犬は多いのかもしれません。
犬にハグをしてはいけない理由とは
病院で診察台に乗せるときや、人通りや車が多く犬にとって危ないときなど、犬を抱っこしないといけない場面もあります。また、そのように犬のためにどうしてもハグが必要な場面ではなくとも、ハグをされるとうれしいし、愛情表現ととらえる犬ももちろんいます。
ただ、ハグが苦手だったり慣れていない犬を抱っこするのには、注意が必要です。ここではそのような犬にハグをしてはいけない理由を3つご紹介します。
1.犬にとってストレスになる
犬が大好きなあまり、その表現でハグしてしまうという方も多いでしょう。ですが、ハグは犬にとってストレスになっているかもしれません。
犬は自由に動き回れないような状態で拘束されることが苦手な動物です。また、人に抱っこされてしまうと足が地面から離れることになるので、その状態に緊張や不安を感じることがあります。
さらには、犬にもパーソナルスペースがあり、ハグという密着する行為自体が不愉快なことも。
犬と生活していると、犬を抱っこしないといけないケースもきっと発生するはずです。子犬の頃から、じょじょに抱っこ慣れさせていくことを意識したほうがよいでしょう。
また、犬を抱っこするときに正面から抱っこすると、人間よりも小さい犬にとっては上から覆いかぶさられるような状態になり、警戒心や恐怖を抱くこともあります。犬のために抱っこをするときには、横から抱っこするようにしましょう。
2.ケガをする可能性がある
犬は高いところから落ちても、猫のように上手く着地できません。ハグを嫌がる犬が腕の中で暴れたり、飼い主さんが段差や小石に気付かずつまづいたりして犬を落とし、骨折などのケガをさせてしまうリスクもあります。ハグをするならソファなどに座った安定した低めの状態がベターです。
また、人間の子供のように縦向きに抱っこすると、犬の腰に負荷がかかってしまいます。犬の身体への負担をなるべく減らすために、地面と犬の胴体が平行になるよう抱きかかえましょう。
正しい抱っこの仕方がわからなければ、かかりつけの獣医師やドッグトレーナーに聞くようにしてください。
嫌がる愛犬を無理やり抱っこしたり、後ろから急にハグしたりすることで、恐怖や驚きのあまり反射的に飼い主さんを噛んでしまう可能性もあります。犬を抱っこするときにはお互いがケガをしないよう注意が必要です。
3.運動不足になる可能性がある
甘えん坊で抱っこが平気な犬だと、運動不足になるケースも考えられます。
中型犬より小さい犬だと、散歩で歩かなくなってしまったときに仕方なく抱っこして帰ることもありますよね。それを散歩嫌いな犬が「歩くのをやめると、飼い主さんが抱っこしてくれる」と覚えてしまい、歩かなくなることから、運動不足になってしまうのです。
犬の運動不足は肥満などの健康問題にもつながります。犬が散歩を嫌う理由は様々ですから、その理由にあった対処方法をとって、愛犬の散歩嫌いを解消してあげましょう。
まとめ
犬を抱っこすることは、犬同士のケンカや人混みから愛犬を守ったり、診察やトリミングをスムーズにしたりするときに必要な行為です。
ですが、ただ「好きだから」「ハグしたいから」という場合は、果たしてハグはうれしいことなのか、飼い主さんの愛情がそれで伝わるのかは、犬によって微妙なところがあります。
ハグをするのは愛犬のことが好きだから、犬に愛情を伝えたいからという気持ちなら、犬とのコミュニケーションを大切にしたり、一緒に遊んだりするなど、他の方法を模索したほうがいいかもしれませんね。