犬を叱る上での「絶対NG行為」とは
では、犬への叱り方で「絶対NG行為」となってしまうのは、具体的にどのような行為を指すのでしょうか。
1.犬の名前を何回も呼ぶ
犬を叱るときに、何回も名前を呼ぶのはよくありません。叱られるということは、犬にとっては嫌なこと、ストレスになることです。叱られている最中に自分の名前を連呼されれば、「自分の名前を呼ばれる=嫌なことが起きる」とインプットされてしまいます。
その結果、普段犬の名前を呼んでも無反応になったり、反抗的な態度をとったり、逃げてしまったりするようになります。さらに、呼び戻しができなくなってしまうので、一緒に生活する上ではかなり困ったことになります。
犬を叱るときに、犬の名前を連呼するのは避けましょう。
2.大きい声を出す
犬がしてはいけないことをしてしまったとき、心配や驚きのあまり、つい大きい声で叱ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、感情的に大きな声で怒鳴っても、ただただ犬に恐怖や強いストレスを与えるだけ。しつけにはならないだけでなく、ひどい場合は犬にとってトラウマになってしまいます。
叱るときに怒鳴るということが続くと、飼い主さんに対しても恐怖を感じるようになってしまい、犬との関係が崩れてしまう可能性もあります。
また犬によってはいたずらや問題行動をした後に、飼い主さんが大きな声を出すことで「かまってもらった」と勘違いしてしまうかもしれません。大きい声で叱るのはデメリットだらけなので、やめましょう。
3.マズルをつかむ
「マズル」とは、犬の鼻口部分のことをいいます。
かつては母犬が子犬に対してやるしつけを真似て、マズルを覆ったり、つかんだりする「マズルコントロール」が用いられてきました。しかし、現在ではそのような方法はあまり推奨されない流れになってきています。
マズル付近を触られることに慣れていない犬にとっては、マズルをつかまれるのは苦痛や恐怖でしかありませんし、驚いた犬が飼い主さんを噛んでケガをしてしまうこともあります。犬の舌を挟んだ状態で強くつかんでしまうと、犬が舌をケガする可能性もゼロではありません。
そのような辛い思いをした犬が、口周りを触られるのが苦手になり、歯磨きや口の中のチェックが難しくなることも。
よほどの事情がある場合以外は、叱る際に犬のマズルをつかむのはやめましょう。
4.暴力をふるう
一昔前には「犬は叩いてしつける」というタイプの方もいらっしゃいましたが、これは虐待行為であり絶対にNGです。犬は、なぜ人間に暴力をふるわれているのか理解できません。痛みと強い恐怖、「なぜ?」という理解できない悲しみを与えるだけなのです。
もし暴力をふるうことで問題行動をやめたというケースがあるのならば、それは犬が恐怖のあまりに委縮して何もできなくなってしまったからであって、問題を理解したわけではないでしょう。
飼い主さん自身がイライラしているときに、いたずらや無駄吠えなどをされると思わず手が出そうになることもあるかもしれません。しかし、暴力は犬に辛い思いをさせ、それまでの飼い主さんと犬との信頼関係を壊すことになりますので、絶対にやめましょう。
犬の正しい叱り方
では、どのように犬を叱ればいいのでしょうか。
人間に怒るように説明しても、犬は理解できません。ですから、いたずらなどの問題行動を犬がしている場合は、その場で「NO!」「だめ!」と短い単語を、やや大きめの低い声で犬に向かって言うようにしましょう。
これを繰り返すことで、「NO!」「だめ!」というコマンドを愛犬が覚えられれば、しつけの上でかなり有効です。やめないようであれば、片付けをし、その場から離れて短時間犬を無視するようにしてください。
「これをするとかまってもらえなくなる」と学習すれば、その問題行動をしなくなるはずです。
ただ、長時間無視してしまうと、犬の心が必要以上に傷ついてしまいます。犬をしつけのために無視する場合は、10分以内にとどめましょう。
なお、トイレ以外のところで排泄してしまうなどの犬の失敗については、叱るのではなく、成功したときに褒めるようにするのが効果的です。
愛犬自身の気質もありますし、状況も人それぞれですから、それを見極めながら叱ったり褒めたりするようにしてくださいね。
まとめ
今回は犬を叱る上でNGな行為4つと、正しい叱り方についてご紹介しました。
ただ叱るだけでなく、犬がなぜその問題行動や失敗をやってしまったのか、今一度その分析をするということも大切です。
もしかすると、工夫をすることで、犬はその行動をしなくなるかもしれません。防げることは防ぎ、正しい叱り方をして長い目で愛犬をしつけていってくださいね。