ニューヨーク市の犬のウンチは毎日74トン!
アメリカのニューヨーク市は世界有数の大都市でありながら、ドッグフレンドリーな街であることでも知られています。動物福祉法やさまざまな犬用施設の充実ぶりがそのことを示しています。
ある試算によるとニューヨーク市には、60万頭以上の犬が暮らしているという報告もあります。これだけの数の犬がいれば当然ながら毎日大量のウンチが排泄されています。ニューヨーク市の犬たちが1日に出すウンチの量は約74トン。年間では2万7千トンにもなるそうです。
アメリカではほとんどの地域でゴミは焼却せず埋立地に捨てられます。この場合、温室効果ガスのひとつであるメタンガスを発生させ環境に悪影響となります。
ニューヨーク市のバッテリーバークシティの管理局では2019年以降、公園に散歩に来た犬のウンチを有効利用する対策を取っています。
犬のウンチを堆肥に変える仕組み
バッテリーパークシティの公園やドッグランには、コンポストステーションが設置されています。ステーションはオフィスの机の脇に置かれているゴミ箱くらいの大きさの金属製の箱で、設置されている長い柄のついた専用スコップと新聞紙を使って犬のフンを入れます。ビニール袋は生分解するものでも入れることはできません。
公園やドッグランを管理する職員が毎日ステーションのゴミ箱を空にします。回収された犬のフンは公園の掃除で出た落ち葉や、伐採された木の枝を粉砕したウッドチップなどの有機物と一定の割合で合わせてコンポスターに入れられます。
コンポスターの中でバクテリアなどの微生物がこれらのものを堆肥に変えて行きます。出来上がった堆肥は管理局によって安全性が確認された後、公共道路の中央分離帯などに植えられている植物の肥料として利用されます。
バッテリーバークシティでは2019年以降1年で約500kgの犬のウンチを堆肥に変えており、2023年にはコンポストステーションの拡大と、より容量の大きいコンポスターの導入を計画しているそうです。バッテリーパークシティはこのような取り組みがニューヨーク市全体のモデルになると考えています。
何よりも大切なのは飼い主一人一人の心得
犬のウンチをコンポストで堆肥にすることは様々なメリットがあります。イギリスやカナダではさらに一歩進んで、発生したメタンガスを電力に変えて公園の街灯などに使用し、残留物を堆肥にして利用している地域もあるそうです。
とても素晴らしい取り組みですが、これらは全て犬の飼い主が愛犬のウンチを拾って正しく捨ててくれることが前提になります。
コンポストステーションを利用しなくても、最低限きちんと拾って捨てればまだ良いのですが、愛犬のフンを放置する飼い主も少なくありません。放置された犬のフンは美観や温室効果ガスの問題だけでなく、土壌や水源を汚染して病原菌や寄生虫を拡める原因にもなります。
環境対策として素晴らしい犬のウンチの堆肥化のキーとなるのは、飼い主一人一人の心得だと言えそうです。
まとめ
ニューヨーク市のバッテリーパークシティという自治体による、犬のウンチをコンポストで堆肥にして利用する取り組みをご紹介しました。
日本でも同じような取り組みが始まればいいなと思いますが、個人単位では愛犬や愛猫のウンチを生分解して堆肥にすることは既に可能です。
専用の分解剤を入れた処理機にウンチを入れるだけで24時間以内に分解されるというもので、生ごみ処理機として自治体から補助金が出る場合もあるそうです。興味のある方は「生ごみ処理機 バイオ式 ペットのフン」などのワードで検索してみてください。
《参考URL》
https://gothamist.com/news/should-nyc-compost-its-daily-tons-dog-poop-one-neighborhood-trying-it