犬が「部屋中のモノを壊す」時の心理とは
室内飼育が当たり前になった今、飼い主を悩ませるのが、犬の室内での破壊行為かもしれません。
壁紙をビリビリにする、家具をボロボロにする、クッションやソファーは中わたが飛び出すまで破壊する、あるいは留守番をさせていた犬が部屋中を破壊してしまい、途方に暮れてしまった…などという経験を持つ人も多いのではないでしょうか。
このように犬が家中を壊してしまうと、ついイライラして犬を怒鳴ってしまいたくなるものですね。ですが、犬としても何の理由もなく破壊しているのではないのです。ぜひ解決方法を見出すために、犬が「部屋中のモノを壊す」時の心理をチェックしてみてください。
1.歯がかゆいのでどうにかしたい
これは子犬に当てはまることですが、考えられるのが「歯がかゆいのでどうにかしたい」という心理です。
生後半年後くらいに訪れる歯の生え変わり時期は、歯茎がムズムズしてしまいます。むず痒さをまぎらわせるために、目についた物を噛んでしまうのです。
2.楽しい!
次に考えられるのが、「噛むことに楽しさを覚えてしまった」場合です。
犬は物を噛むことで、本来持つ犬の狩猟本能を刺激されてしまい、ついテンションがアップしてしまうことがよくあります。
物を噛むことは暇つぶしにもなり、噛んだり引きちぎったりするのは犬にとって楽しい遊びです。興味本位で噛んでみたら楽しくなってしまい、つい夢中になってしまったというケースがほとんどでしょう。
3.飼い主さんの気を引きたい♪
「何度注意しても噛むことをやめない」という場合は、犬が飼い主の気を引くために破壊行為をしている可能性があります。
犬が物を噛んでいる時に「こら!」「やめなさい!」などと叱ったとしても、犬は「かまってもらえる!」と前向きに受け止めてしまうことがよくあります。そして「噛むと飼い主にかまってもらえる」と覚えてしまい、反省するばかりか、破壊行為はますますエスカレートしてしまう悪循環が起こってしまうという訳です。
飼い主のことが大好きな犬としては、「多少怒られてもかまわない」と好奇心の方が勝ってしまうので、なかなか手強い相手ともいえますね。
4.ストレスを発散したい
少々気を付けるべきなのが、犬がストレス発散のために破壊行為をやっている場合です。
「散歩に行きたい」「もっと走り回りたい」「叱られてばかりでツラい」「留守番ばかりで寂しい」といったマイナスの感情が隠れている可能性がある時に注意をしても、それは逆効果になります。
犬の行動に異変を感じるようになったら、注意深く観察してください。飼い主に対して不信感を抱いていたり、犬の分離不安症といった精神病を抱えているかもしれません。
犬の破壊行為を解決させる方法とは?
では、犬の破壊行為はどのようにしてやめさせるべきでしょうか。
犬が物を壊すと誤食誤飲の危険性も出てくるため、安全な飼育環境を与える意味でもやめさせたいですよね。
前述しました犬の心理を手がかりにして、次の解決方法を試してみてください。
飼育環境を見直す
まずは犬の安全を確保して、叱る機会を減らす意味でも飼育環境を見直しましょう。
そもそも『犬が過ごすスペースに物を置かない』ことがベストですが、難しい場合はサークルなどを用いて犬の行動範囲を制限してしまいます。
「犬は自由に過ごさせることが望ましい」と思われがちですが、安全性を第一に考えればそうとは言えません。噛んでいるうちに興奮してしまい、噛みつき行為に発展するケースもよくあります。
犬の問題行動を未然に防ぐために、日頃からケージやクレートの中で過ごさせるトレーニングを行って、ハウスが好きな犬にさせましょう。犬から目を離す時は必ずハウスの中に入れて、破壊行為をする機会自体を減らしてください。
その場で注意する
犬の破壊行為を目撃したら、必ずその場で注意をします。事後に「これはやっちゃダメなの!」と犬に言い聞かせても理解してもらえません。
また、長文でダラダラとお説教しても犬には理解できません。犬に注意する場合は、その場で「ダメ!」とひと言で済ませます。
破壊をやめたら褒める
犬が物をくわえると離してもらえないどころか、「ウー!」と唸り声をあげてしまいますよね。興奮状態の犬に手を出すと噛みつかれる恐れがあるので、十分注意をしてください。
その場でまずは「ダメ!」と叱り、口から物を離したら「いい子」「よし!」などと褒めましょう。犬のしつけは叱るよりも褒める機会を増やすことで成功しやすくなる傾向があるので、おやつなどを利用してもいいですね。
ぜひ愛犬には成功体験を積ませ、「物を噛んでもいいことがない」と覚えさせましょう。
噛んでいい物を与える
犬が物を噛むこと自体は本能的な行為であり、犬にとって遊びの一貫なので悪いことではありません。「噛んでいい物はこれだよ」と教えるために、犬用のガムなどおもちゃを与えてみてください。
留守中の暇つぶしにもなり、歯がむず痒い時に気持ちが紛れます。また、遊びトレーニングの中で「ちょうだい」をぜひ教えましょう。
おもちゃを持ってきたら「ちょうだい」というコマンドで口から離させるトレーニングを繰り返します。これによって、犬が物を破壊したり、興奮して噛み付いたりする行為を未然に防ぐことができます。
まとめ
犬が部屋中のモノを壊すのは、必ず何らかの意味があります。今回ご紹介した犬の心理の中に当てはまる項目があれば、そこをヒントにしてみてください。
犬の破壊行為は放っておくとエスカレートしますので、興奮状態に陥る前にやめさせるようにしましょう。
また、犬の分離不安症かもしれない場合や破壊行動の原因がわからない場合は、ぜひかかりつけの獣医師にご相談ください。早めに相談することがとても大切です!