物覚えが速いと言われている犬種は?
犬はトレーニングをすれば「オテ」や「オスワリ」といった指示に従えるようになります。また「散歩」や「ごはん」といった言葉をいつの間にか犬が覚えてしまい、その言葉を聞くと興奮したり、そわそわしたりするようになることもあります。
こうした人間の言葉や教えたことを覚えたりする速さ、つまり物覚えの速さには個体差がありますが、犬種によっても違いがあるようです。
一般的に「物覚えが速い」「頭がいい」と言われている犬種がいるのです。それはどのような犬種なのか、以下からご紹介していきます。
1.ボーダーコリー
イギリス(スコットランド)で牧羊犬として働いてきたボーダーコリーは、現在でも世界中の牧場で活躍中です。高い身体能力と知能には目を見張るものがあり、知能の高さは全犬種の中でトップと言われています。
非常に頭がよく物覚えも速いので、しつけを教えるのに苦労することはあまりないでしょう。ただし、賢すぎるゆえに飼い主さんが一貫性のない態度を取ったり、曖昧な指示を出したりすると指示に従わなくなることがあるので注意が必要です。
2.プードル
プードルは大きさによってスタンダード、ミディアム、ミニチュア、トイの4タイプに分かれますが、犬種登録としては「プードル」ひとつです。
愛玩犬のイメージの強いプードルですが、祖先犬は水鳥を回収する猟犬と言われています。胸部や関節部などの毛を残し、それ以外の部分の毛は刈り込むカットスタイルは、体温低下を防ぎつつ泳ぎやすくするために生まれたのだとか。
大変賢く物覚えが速い上にトレーニングに対して意欲的なので、基本的なしつけはすぐに覚えると言われています。
3.ジャーマンシェパードドッグ
「万能使役犬」と呼ばれるほど、牧羊犬、警察犬、軍用犬、盲導犬などとして世界各国で活躍しているジャーマンシェパード。祖先犬は牧羊犬で、1880年頃にドイツ陸軍によって軍用犬として改良されました。
この犬種の素晴らしさは、ずば抜けた運動能力と学習能力にあります。高い学習能力に加えて理解力や洞察力にも優れ、物覚えも速いです。
飼い主に従順ですが、きちんとしつけを行わないと攻撃的になってしまうことがあるため、初心者には向かない犬種と言われています。
4.ゴールデンレトリーバー
ゴールデンレトリーバーは従順で愛情深く、学習能力も高いことから大型犬の中でも飼いやすい犬種と言われています。
かつては獲物を回収する鳥猟犬として活躍していましたが、現在は盲導犬や介助犬、災害救助犬、警察犬などとして人間社会に貢献してくれています。使役犬として多方面で活躍していることからも分かりますが、物覚えが速く理解力もあるため、しつけをしやすい犬種です。
5.ドーベルマン
ドーベルマンという名は、作出者のフリードリッヒ・ルイス・ドーベルマン氏の名前に由来しています。
勇敢で警戒心が強く聡明で、番犬や家庭犬として以外にも、軍用犬や警察犬としても活躍しています。屈強そうな見た目とは裏腹に、甘えん坊で無邪気な一面も持つ犬種です。
物覚えが速く好奇心も旺盛なので、基本的に教えたことはどんどん覚えていきます。ただ、攻撃的な面があるため、子犬の頃から社会性を養い、しつけもしっかり行う必要があり、初心者向きとは言えない犬種です。
6.シェットランドシープドッグ
「シェルティ」の愛称で知られるシェットランドシープドッグは、イギリス最北端のシェットランド諸島で牧羊犬として活躍し、現在は家庭犬として愛されています。
もともとは牧羊犬であるため、飼い主に従順でとても賢いです。物覚えが速いので、基本的なしつけはすぐに習得できると言われています。運動神経もいいので、アジリティやドッグダンスなどにも向いている犬種です。
7.ラブラドールレトリーバー
現在は盲導犬や介助犬、警察犬、麻薬探知犬などとして活躍したり、家庭犬として愛されたりしているラブラドールレトリーバーですが、かつては漁師の手伝いをする犬でした。
カナダのラブラドール島やニューファンドランド島で、流された網を海中に潜って探したり、網からこぼれた魚を捕らえたりしていたのです。また水鳥の回収犬としても活躍していました。
大変賢く物覚えが速い上に従順なので、しつけがしやすく飼いやすい大型犬種と言われています。
8.パピヨン
パピヨンは、16世紀に小型のスパニエルを元に誕生したと考えられています。優雅な姿が当時のフランスの上流階級で大人気となり、マリー・アントワネットにも寵愛されました。
パピヨンはフランス語で蝶を意味し、大きな立ち耳が羽ばたく蝶に似ていることからこの名がついています。
友好的で頭がよく物覚えも速いので、社会化やしつけはスムーズにいくでしょう。見かけによらず体が丈夫なこともあって、初心者でも飼いやすい犬種とされています。
犬の記憶力に関する実験の検証結果
ハンガリーのエトヴェシュ・ロラーンド大学の研究チームは、犬の記憶力に関する興味深い実験を行いました。実験の対象となったのは、ボーダーコリーのウイスキーとヨークシャーテリアのビッキー・ニーナです。ウイスキーは59個の物の名前を、ビッキー・ニーナは42個のおもちゃの名前を記憶しています。
犬たちは飼い主と2種類の新しいおもちゃで一緒に遊び、おもちゃの名前を4回だけ聞いた後、新しいおもちゃのうちのひとつを持ってくるように指示されました。床に並べられているのは、先程飼い主と遊んだ新しいおもちゃ2つのみです。
実験の結果、2頭とも高確率で指示通りにおもちゃを持ってくることができました。これは2頭の犬たちが、新しいおもちゃの名前を覚えるスピードが非常に速かったことを示しています。
しかし2頭ともおもちゃの名前を覚えてから10分後に忘れ始め、1時間後には完全に忘れてしまいました。覚えた名前を定着させるには、学習を繰り返す必要があるようです。
同じ実験をボランティアで募った20頭の犬でも行ったところ、4回聞いただけでおもちゃの名前を覚えられた犬はいませんでした。犬全般が物の名前を速く覚えられるわけではなく、ウイスキーとビッキー・ニーナが特別なようです。
2頭の犬と20頭の犬たちの実験結果の違いは、物の名前を覚える経験の豊富さや犬種が関係しているのかもしれませんね。
まとめ
物覚えの速さには記憶力や集中力が関係しています。ということは、物覚えが速いと言われている犬種がいるのなら、記憶力も犬種によって違いがあると言えるのかもしれません。
物覚えの速さには個体差があるため、物覚えが速いと言われていない犬種であっても、しつけなどをすぐに覚える犬もいます。反対に物覚えが速いと言われている犬種であっても、しつけに時間がかかる犬もいます。
大切なのは、飼い主さんが愛犬のペースに合わせてトレーニングを行い、いろいろなことを着実に教えていくことではないでしょうか。ちなみに物覚えの速い犬は、悪いことを覚えるのも速いので注意が必要です。