犬が人の間に割り込んでくる心理
ドッグランで見知らぬちょっと怖そうな犬が飼い主さんに近づいてきた時、愛犬がその犬の間に割って入り、遠ざけてくれたという経験はないでしょうか。同じように、愛犬が飼い主さんと別の人との間に割り込んでくるというのは、比較的よく目にする光景の一つです。
ご夫婦の間に割り込んできてちょこんと座っている愛犬や、椅子の背もたれと飼い主さんの間に無理やり割り込んで必死な顔をしている愛犬など、SNS上にも飼い主さんと人や物、他の動物の間に割り込んでくる愛犬を「かわいい!」と紹介する写真がたくさん公開されています。
このように人の間に割り込んでくる時、犬はどのような気持ちを抱いているのでしょうか。今回は、人の間に割り込んでくる犬の気持ちについて考えてみたいと思います。
1.仲間に入れて!
ご夫婦がソファに並んでテレビを鑑賞されている時などに、静かにやってきてはお二人の間のちょっとした隙間にちょこんと割り込んでくるような場合は、「混ぜて!」「仲間に入れてね!」という心理だと考えられています。ご家族の団らんとして、一緒に楽しみたいというごく自然な感情です。
2.ケンカをやめて!
ヒット曲の歌詞ではありませんが、まさに「ケンカをやめて!」という心理状態の場合もあります。
犬は案外保守的なところがあり、大きな変化を嫌います。そのため、夫婦喧嘩やご家族間に険悪な空気が流れていると、とても居心地が悪いのです。
そこで、喧嘩の仲裁よろしく、間に割って入って仲を取り持とうとするのです。
3.守ってあげたい!
SNSで、妊婦さんのお腹を触ろうとした屈強な男性と妊婦さんの間に割り込み、触らせまいと頑張る犬の動画が公開されているのを見たことがあります。このように、自分が飼い主さんを守らなければという気持ちで間に割り込むこともあります。
妊婦さんの場合は守る理由が明確ですが、飼い主さんがいつもおどおどして弱そうな素振りだと、愛犬は常に自分が守ってあげなければと思ってしまうかもしれません。
4.私のことも見て!
飼い主さんの注目が自分以外のものに向けられている状態が長く続くと、犬は飼い主さんとその対象となるものの間に割り込んでくるようになります。「私、ここにいるよ!」「私のことも見て!」という思いをそのまま行動に移しているのです。
もしも「最近よく視界を遮るように愛犬が割って入ってくるな」と感じたら、愛犬に関心を向ける時間をもう少し増やしてあげた方が良いかもしれません。
犬にもある嫉妬心
犬は、他者に対して嫉妬心を抱くことが分かっています。例えば生まれたばかりの赤ちゃんや、新しく迎え入れた他の動物などです。場合によっては、スマホやパソコンなどといった生物以外のものが対象になることもあります。
嫉妬する対象が現れ、飼い主さんの関心が継続的にその新しい対象に向かい続けてしまうと、愛犬は嫉妬からその対象に対して攻撃的になってしまうことがあります。人間も、嫉妬するとその対象に向かってつい意地悪をしてしまうことがありますが、それと同じです。
特に飼い主さんご家族に赤ちゃんが生まれたり、新しく同居するための犬や猫を迎えたりした場合は、飼い主さんの気持ちが新しい家族の方に向いてしまいがちです。飼い主さんが手放さないスマホを壊してしまう程度なら許せても、赤ちゃんや他の動物を傷つけてしまったら大変です。
愛犬が嫉妬心を抱くような変化が生じた時には、必ず愛犬を優先するように振る舞いましょう。愛犬に対する愛情が決して変わってはいないことを、しっかりと伝えてあげることが、愛犬の心のケアにつながるからです。
まとめ
犬がさまざまなイベントに参加するために、ご家族の間に割り込んでちょこんと座ったりニコニコと上機嫌で過ごすのは、楽しい家族の光景で見ていて微笑ましいものです。また、ケガや病気等で一時的に弱っているご家族を守ろうとする犬の姿も、頼もしくて嬉しいものです。
しかし、犬が人の間に割って入る時、中には喧嘩の仲裁や嫉妬心というような、犬にとってはストレスとなるような心理が原因である場合もあることが分かりました。
常に弱々しい飼い主さんであれば、犬は常に自分が守らなければと緊張状態が続いてしまいます。空気を読むのが得意な犬にとって、家庭内の険悪な雰囲気は耐え難いものです。新しく増えた新しい家族に嫉妬心を抱いてしまうことも、その犬にとっては大きなストレスです。
愛犬の普段の行動をよく観察し、愛犬のストレスに早く気付いて心の負担を軽減できる、心のケアも行える飼い主さんを目指したいものですね。