そもそも犬が人をからかうことはあるのか
犬はもともと、遊ぶことが大好きです。知能の高い動物たちは子どものときだけでなく、大人になっても仲間同士でじゃれあったりしますよね。犬の場合は特に人間と生活を共にする歴史が長く、その中で表情筋を発達させるなどして表情豊かに飼い主に様々な遊びを持ち掛けます。
この遊びを誘う一環で、犬たちは稀に飼い主を「からかう」ような行動を見せることがあります。犬同士でも、軽くちょっかいを出して相手の様子を見ながら遊びに誘っていることはありませんか。人を相手にする場合も同様に、ちょっかいをかけて相手の出方を伺いながら「遊ぼう」と誘うことはあるようです。
とはいえ、犬にからかうような仕草が見られたとしても、その全てが「人をからかっている・おちょくっている」というわけではありません。
しかし最初はからかう意図はなかったのに、遊びに誘っている行動のなかで繰り返すことで、自然と学習している可能性は高いといえます。
愛犬があなたをからかっているときに見せる仕草や行動
では、愛犬があなたをからかっている時に見せる仕草や行動にはどのようなものがあるのでしょうか。
1.甘噛み
犬の甘噛みは、子犬同士のじゃれあいのときも行われます。噛む力を加減して相手を組み伏せてみたり、相手が「痛い」という反応を見せるのが面白くてやってみたり、逆にやり返されたりしながら子犬たちは成長していくのです。これを飼い主相手に行う子もいます。
母犬や兄弟とある程度の月齢(2~3ヶ月)まで一緒に生活した犬は、どれだけの力加減であれば相手が遊びに付き合ってくれるか、痛くしすぎるとどうなるか、ということを学習します。しかし、幼いころに母犬や兄弟と離された場合、飼い主がその力加減を教えてあげなければいけません。
しかし相手が子犬の場合、甘噛みで歯を当てられても「痛い」としっかり伝えて叱らず、優しくだめよーと反応してしまうことがあります。これでは子犬たちは叱られているかわからずむしろ構ってもらえたということを学習してしまうのです。
子犬のうちに「噛めば構ってもらえる」と覚えてしまうと、成犬になって構ってほしくて頻繁に歯を当てるようになります。ガブっといかずに口を開けて歯を当てる程度の場合、「ほらほら、遊ぼうよ」という程度のちょっかいを出しているつもりなのだと思います。
2.逃げる
飼い主が手を伸ばすとひらりと身をかわしたり、拾おうと思ったおもちゃを搔っ攫われたりしたことはありませんか。
おもちゃを持って逃げたかと思うと、飼い主の手が届くか届かないかギリギリのところでおもちゃを離してこちらをじっと見て、手を伸ばそうとすると素早くおもちゃを拾って逃げたりすることもあるのではないでしょうか。
この行動は、見方によっては「飼い主を煽っている」行動ですよね。これは明らかに遊びに誘っている状態です。必死に飼い主の気を引こうとしているのですね。
ポイントは本当に逃げたり隠れたりするのではなく、常に飼い主の見えるところや、手が届きそうだけれど届かないところにいるということです。
時間に余裕があるときや、身体全体で遊んであげられる日などは、追いかけっこ遊びをしてもよいでしょう。
しかし、毎回付き合ってあげたり、いつも犬に逃げられっぱなしでは飼い主を軽視することにつながります。「こうやったら毎回遊べる」「こうやったらおもちゃを取り上げられない」ことを学んでしまうのです。
タイミングが悪いときは遊びに応じない、最後は飼い主がおもちゃを持って遊びを終わらせる、名前を呼んで近くにきたらきちんとほめる、などの対策で、「遊びの権限を持っているのは飼い主の方だ」ということを教えてあげなければいけません。
まとめ
犬にとってからかうように見える行動は、基本的には「構ってほしい」「遊んでほしい」というサインです。全ての要求に応じてしまったり反応をしてしまうと、犬たちは「こうしたら遊んでもらえる」と学習し、遊びのタイミングを支配しようとします。
特に遊びの誘い方のうち歯を当てに来る場合や逃げ回って追いかけっこを要求する場合などは、事故やトラブルにつながることもあるので、繰り返し「だめ」と叱って別の遊びに誘うなど修正をしていくようにしましょう。