犬をしつけるために叩く必要はない
まず大前提として、体罰は絶対にやってはいけません。愛のある体罰は体罰ではない、叱ると怒るは別のものだ…という人間のお気持ちの話ではなく、実際に起こっている事実を見る必要があります。
犬からしてみれば、人間が叱っていようが怒っていようが、いずれも不快な刺激であり、そこに愛があろうがなかろうが、痛みや恐怖を与えられているという事実に変わりはありません。
人間側からすると、「叩かなくてはいけないこちら側の気持ちを汲み取れ」というような気持ちなのかもしれませんが、それは己の至らなさを相手に責任として押し付けているに過ぎないのです。
理由はどうあれ、「叩く」という手段を「しつけのため」という誤った理由で正当化することは、決してやってはなりません。
犬を叩くことで起こるリスク
「犬を叩いてはいけない」というと、それこそ詭弁だと返してくる人がいますが、決してそうではありません。
犬を叩くという行為は、実は人間にとって望まない行動を新たに生み出す原因になります。
考えてみてほしいのですが、もしあなたが暴力を振るわれたら、それを回避するためには、逃げるか防衛するかの行動をしませんか?
防衛するために攻撃をするという選択があるように、犬にとっては防衛するために噛みつくという選択をします。
この犬が噛むという行動は、人間にとっての「問題行動」として認識されます。そしてそれを矯正するために、体罰を使ってでもしつける!というのであれば、それではなんの解決にもなりません。
なぜならば、もしそのような手段を取られたら、犬は人間の力ではどうにもできないくらいに強い抵抗を示して手がつけられなくなるか、一見噛まなくなったように見えてるだけで、抵抗できない人間以外には身を守るために全力で向かってくるようになってしまうのです。
このように、犬をしつけのために叩くというのは新たなリスクを生み出し、メリットどころか大きすぎるデメリットのほうが強いのです。
犬を叩く以外にもしつける方法はある
それでも犬を叩く必要があるという人は、単純に知識がないだけです。「自分は叩く以外の方法を知らない」と言っているのと同じなのです。そのような人は、ぜひ人道的で動物福祉に則った科学的な方法を学んでほしいと思います。
そしてもしもあなたの周りにそのようなことを言っている人がいたら、たとえ専門家でも素人でも関係なく、そっと距離を置くことをおすすめします。
もしその人が家族など、とても身近な存在で距離を置くことが難しい場合は、あなた自身がお手本となって教えてあげればよいのです。「犬をしつけるために叩く必要などない」という事実を目の前で結果で見せて、少しずつ(そうかもしれない…)と思ってもらえるようにしましょう。
まとめ
犬をしつけで叩くという行為は、決して許されない体罰です。それはお気持ちの問題ではなく、犬に望む行動を学習してもらうという意味でも非効率であり、むしろ新たな問題を生み出す原因になります。
そのようなことをしていれば当然犬との信頼関係などというものは生まれませんし、ただただ恐怖の対象として見られるだけです。
それよりもぜひ犬も人も楽しく学べる方法を選択し、ポジティブな犬のしつけに取り組んでほしいと思います。