犬はなぜニオイを嗅ぐの?
犬にとってお散歩中に「ニオイを嗅ぐ」という行為はとても楽しいものであり、また重要なことのひとつにもなります。
お家の中では触れ合うことのない土や草や花などの自然の香りや、どこかのお宅から漂ってくる美味しそうなご飯のニオイ、他の動物のニオイなど多くのニオイを嗅ぐことで好奇心を満たし多くの情報を得ているのです。
犬にとっての嗅覚は、人間の視覚と同じくらい情報を捉えられるもの。私たち人間が目で物を見ることが出来ないのは不安でたまりませんよね。犬もニオイを嗅げないということは不安や恐怖心を感じてしまうのです。
お散歩中の犬は常に何かしらのニオイを察知しながら歩いていますが、ついつい寄って行って熱心に嗅ぐのが「電柱」ですよね。電柱を一生懸命に嗅ぐ理由は他の犬のマーキングにあります。
犬が散歩中に電柱を嗅ぐ心理とは?2つの理由
1.情報収集している
お散歩中の犬が電柱におしっこかけることをマーキングと言います。お散歩中のマーキングは他の犬に対して「ここは自分の縄張りだ」とアピールすることが主な目的と言われています。
後ろ足を出来るだけ高く上げて可能な限り高い位置におしっこをかけることで自分が大きく強い存在だとアピールしているのです。
そのマーキングのニオイを確認するために多くの犬がお散歩中に電柱を嗅いでいるのです。電柱にマーキングする犬も多いため、他の犬の情報がたくさん残っています。
犬のおしっこのニオイには驚くほどの情報が詰め込まれていて、年齢、性別、健康状態や性格まで把握することが出来るようです。電柱のニオイを嗅ぐことで近所に住んでいる犬がどんな犬なのか情報を集めているのです。
2.恋人(恋犬?)を探しているのかも
マーキングはオスの犬に多い行為ですが、発情期や繁殖期のメスが行うこともあります。電柱におしっこをかけることで、メスの犬は発情期であることをアピールしているのだとか。
恋人募集中というようなメッセージを残し、それに気づいたオスの犬が丹念にニオイを嗅ぐことがあります。メスのマーキングの上に自身のおしっこを重ねた時は、自分の存在をアピールしているといいます。
犬がマーキングする意味とは?
犬のマーキングはただ単純な排泄行為ではなく、感情表現であったりご挨拶でもあります。上記にも書いたようにお散歩中の犬のマーキングの主な理由は縄張りを守るためではありますが、室内でのマーキングはそれ以外の理由もあるようです。
1.ストレス
犬はストレスによって室内でマーキングしてしまうことがあります。引っ越しなどで生活環境が変わった、赤ちゃんが産まれて家族構成が変わった、また家族として新たに犬を迎え入れたなどストレスの原因となる事は個体ごとに違います。
引っ越しなどで新しい環境での生活がスタートしたケースであれば、新しいお家でも安心して過ごせるよう工夫してあげましょう。愛犬の寝床には飼い主さんのニオイがついたタオルなどを入れあげる、また愛犬だけのお家となるハウスも用意してあげましょう。
新しい家族が増えるなどで家族構成に変化があった時、個体の性格によっては構ってもらえる頻度が減って寂しく感じてしまう犬もいます。
寂しさからマーキングしてしまう犬は意識的にコミュニケーションの時間を多く作ってあげましょう。たくさん優しく声をかけてあげることで寂しさも軽減するはずです。
2.分離不安症
犬の分離不安症とは飼い主さんが近くにいないことを極度にストレスに感じてしまい、様々な問題行動を引き起こしてしまう不安障害です。
その問題行動のひとつに粗相があります。不安感が強すぎて家の中のいろんな場所にマーキングしてしまうのです。これは色んな場所に自身のニオイをつけることで、気持ちを落着けたいという心理から起こる行動です。
分離不安症を引き起こす原因として、過去のトラウマや長時間のお留守番中にひとりで怖い経験をしたなど色々と考えられます。
どんな原因であったとしても改善するには飼い主さんとの信頼関係を確立することが大切です。症状が重い場合は投薬治療も可能なので一度獣医さんに相談してみましょう。
まとめ
犬のニオイを嗅ぐという行為は習性のひとつでもありごく自然なことです。特に電柱であれば近隣の犬達と様々な情報交換ができる場所でもあります。
しかし少なからず感染症のリスクがあるため、電柱のニオイ嗅ぎはほどほどにさせておきましょう。