犬が飼い主に依存しすぎている時のサインは?
番犬として外で飼うのが普通だった昔と違い、今は犬も家族の一員として家の中で飼われるのが一般的になっています。犬との距離が近くなった分、飼い主は犬を可愛がりすぎてしまう傾向があります。
その結果、犬が飼い主に依存しすぎてしまうことが少なくありません。飼い主に依存しすぎている犬は、さまざまなサインを見せます。ではどのようなサインを見せるのか、一緒に見ていきましょう。
1.飼い主の姿が見えなくなると吠える、鳴く
飼い主に依存しすぎている犬は、飼い主と離れると不安な気持ちになり、吠えたり鳴いたりしてその気持ちを訴えます。普段あまり吠えない犬が飼い主の姿が見えなくなると吠えたり鳴いたりするのは、飼い主に依存しすぎているせいである可能性が高いです。
飼い主がほんの数分、別の部屋へ行っただけでも吠えたり鳴いたりする場合は、飼い主への依存度がかなり高い状態と言えます。
2.常に飼い主の後をついて回る
前述した通り、飼い主に依存しすぎている犬は飼い主と離れると不安になります。そのため、飼い主が行くところはどこにでもついて行こうとする傾向があります。
家の中で常に飼い主の後をついて回り、トイレやお風呂にまでついてこようとするのは、飼い主に依存しすぎているサインと考えていいでしょう。
3.留守番中に家具などを破壊する
飼い主に依存しすぎている犬は、留守番中に部屋の中の物を破壊してしまうこともあります。
飼い主がいない不安を解消しようとして、ソファなどの家具やカーペットを噛んでボロボロにしたり、床やドアを引っ掻いたりするのです。普段はいたずらをするタイプではないのに、留守番した時に限って破壊行動をするのなら要注意です。
4.留守番中に粗相をする
留守番中に粗相をするのも、飼い主に依存しすぎているサインのひとつです。留守番中だけ粗相をするのは、飼い主がいない不安やストレスからだと考えられます。
帰宅した際、粗相しているとイラッとしてしまうかもしれませんが、犬を叱ってはいけません。留守番中の出来事を叱られても、犬はなぜ叱られているのか分からず混乱するだけです。そもそもトイレの失敗は叱らないのが鉄則です。叱ったり騒いだりせずに、淡々と片付けましょう。
5.留守番をさせると足がよだれで濡れている
犬は緊張や不安を感じると、足を舐めて気持ちを落ち着かせようとします。そのため飼い主に依存しすぎている犬は留守番中、足を舐め続けてしまうことがあります。
留守番をしていた犬の足がよだれで濡れていたら、留守番の間不安で足を舐め続けていたと考えていいでしょう。脱毛や炎症を起こすほど舐めてしまっている場合は、早めに受診しましょう。
犬が飼い主に依存しすぎている場合に考えられる悪影響は?
犬が飼い主に依存しすぎている時のサインは、分離不安の症状と重なります。そのため飼い主に依存しすぎている時のサインを見せる犬は、分離不安になっているか予備軍である可能性が高いです。
分離不安は、愛着のある人(主に飼い主)と離れることに強い不安やストレスを感じ、問題行動や体調不良を起こしてしまう心の病気です。「分離不安症」や「分離不安障害」と呼ばれることもあります。
犬が分離不安になる原因は
- 恐怖体験のトラウマ(留守番中に地震や雷が発生して怖い思いをしたなど)
- 社会化不足
- 環境の変化
- 飼い主への依存
- 加齢
- 病気
などです。
- 吠えたり鳴いたりし続ける
- 破壊行動
- トイレ以外での排泄
- 常同行動(同じ場所を行ったり来たりする、足を舐め続けるなど)
- 下痢
- 嘔吐
- 震え
- 大量のよだれ
といった症状が表れます。そして犬が分離不安になった場合は、次のような悪影響が出ることが考えられます。
- 留守番中の吠え声や鳴き声に対して近所から苦情がくる
- 安心して留守番させられなくなる
- 飼い主の旅行や入院時に、ペットホテルや人に預けるのが難しくなる
- 災害時の避難所生活や動物病院への入院など、飼い主と離れることを余儀なくされた時に、犬の心身に大きな負担がかかる
つまり飼い主に依存しすぎている犬は分離不安、またはその予備軍である可能性が高く、生活面や健康面において悪影響が出る恐れがあるのです。
犬が飼い主に依存しすぎている状態を改善するには?
上記のような悪影響を避けるためにも、犬が飼い主に依存しすぎている場合は改善する必要があります。では、犬が飼い主に依存しすぎている状態を改善するにはどうしたらいいのでしょうか?
1.飼い主と離れる時間を作る
飼い主が家にいる時にずっと犬を抱っこしていたり、体に触れていたりしていると、犬が飼い主に依存しすぎてしまう傾向があります。もしそのような接し方をしているのなら、飼い主が家にいても敢えて離れる時間を作り、適度な距離感を保つようにしましょう。
最初は、ごく短時間離れるだけでOKです。犬におやつを詰めた知育玩具などを与え、犬がそれに夢中になっている間に飼い主は別の部屋へ行きます。そして犬が不安を感じて吠えたりする前に、犬のいる部屋へ戻ります。これを繰り返し、少しずつ犬がひとりでいる時間を延ばしていきましょう。
別の部屋に行く時も犬がいる部屋に戻った時も声をかけたりするのはNGです。さりげなく去って、さりげなく戻りましょう。
2.クレートを安心できる場所にする
家の中に犬にとって安心できる場所があれば、その場所でひとりで落ち着いて過ごせるようになるかもしれません。
犬は狭くて薄暗い場所にいると落ち着く性質があるため、安心できる場所としておすすめなのはクレートです。クレートを用意して少しずつ慣らしていき、安心できる場所にしてあげましょう。
3.獣医師に相談する
飼い主にできる改善策を実行してみても効果が表れない場合は、病気が関連していないかをチェックするためにも、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
犬が何らかの身体的な病気を抱えているために不安が高まり、飼い主への依存度が高くなるケースもあります。その場合は病気を治療することによって、飼い主に依存しすぎている状態が改善されるかもしれません。
分離不安と診断された場合の治療は、行動療法がメインに行われ、症状によっては薬物療法が併用されることもあります。
まとめ
今回は、犬が飼い主に依存しすぎている時のサインを5つご紹介しました。愛犬にご紹介したサインが見られる場合は、注意が必要です。生活面や健康面で悪影響が出る可能性がありますので、愛犬が飼い主に依存しすぎているようであれば改善が求められます。
飼い主と離れる時間を作ったり、クレートを安心できる場所にしたりして、改善を試みましょう。飼い主による改善が難しい場合は、かかりつけの獣医師に相談しましょう。