すぐ病院へ行くべき犬の「危険な歩き方」
犬は痛みに強く、多少の痛みがあったとしても散歩や遊びを普通の顔をしてこなしてしまうところがあります。
しかし、犬は言葉で示すことができない分、飼い主がその行動や仕草をよく観察して不調に気付いてあげましょう。そうすることで、愛犬の大きな病気やリスクを重症化する前に早めに回避してあげることが出来るかもしれません。
1.後ろ足をだらんと引きずっている
後足に力が入らず、後ろ足をだらんと引きずって歩く様子が見られた場合は、早急に動物病院へ連れて行ってください。単純な怪我ではなく、神経が麻痺している可能性があり、放置すると自力で歩けなくなる場合もあります。
背中や腰の骨の間から「椎間板」というゼリーのようなものが飛び出して神経を圧迫する「椎間板ヘルニア」、脊髄付近の血管が詰まって血流が悪くなることで起こる「脊髄梗塞」、神経からの運動の信号をキャッチできなくなる「重症筋無力症」などの病気は、このような後ろ足をだらんと引きずる歩き方をすることがあります。
いずれも神経の病気なので、放置しても治ることはありません。早急に動物病院へ行きましょう。
2.地面に足を付けたがらない、ひょこひょこ手足を挙げて歩く
こちらは、痛みのサインであることが多い歩き方です。肉球のケガやトゲなどが刺さり、体重をかけると痛みが走るためにこのような歩き方をする場合もありますし、もっと重篤なケガの場合もありますので動物病院で検査をしてもらうと良いでしょう。
特に小型犬に多いのが、「ひょこひょこ歩いていると思ったら骨折していた・膝蓋骨脱臼をしていた」というパターンです。小型犬の骨は細く、ちょっとした衝撃でも折れてしまうことがあります。さらに、小型犬は膝蓋骨脱臼を起こしやすい犬種です。
骨折は、放置すると折れた形のまま固まってしまったり、膝蓋骨脱臼も歩けるからと放置してしまうと重症化して歩けなくなる危険もあります。
また後ろ足で踏ん張ることを嫌がったり片足をあげたままになっていたりする場合、前十字靭帯損傷を起こしている可能性があります。膝関節に大きな負荷がかかったり、足が滑ってしまった時に起こりやすく体重が重い大型犬や肥満傾向の小型犬に多いと言われています。
3.腰を左右に振って歩く
犬の歩き方を上から見たとき、大袈裟なほど左右に腰を振っている場合は「股関節形成不全」を疑います。こちらは、レトリバーなどの大型犬に良く発症している遺伝性の疾患です。腰を振る以外に、ぴょんぴょんとうさぎ跳びのような走り方をすることもあります。
歩くたびに股関節へ痛みが発生するので、痛みを逃すためにくねくねとした歩き方になるのですが、軽症であれば鎮痛剤や体重管理で落ち着くことも多い病気です。しかし、重症の場合は外科手術が必要になります。
悪化を防ぐためにできること
歩き方の不調が見られた場合、ケガや病気を発症してしまっていることになります。愛犬には出来る限り痛みを感じず、過ごしやすくしてほしいものですよね。そんな時に飼い主ができることとは何でしょうか。
まずは室内については、『滑りにくい床にする』ことはいかがでしょうか。膝蓋骨脱臼も骨折も、そのほかの関節炎なども、そもそも床が滑りにくければ大きな衝撃を受けたり無理な態勢で歩いたりせずに済みますし、足腰のトラブルの予防になります。
また、『階段やベッドへの段差を解消する』こともおすすめです。ステップを置いて一段の差を小さくしたり、スロープをおいて歩いて登れるようにすると、勢いをつけてジャンプすることが減るので、腰や膝への負担が軽減できます。
食事面では総合栄養食と記載のあるドッグフードを中心にして、そこにコンドロイチンやグルコサミンが含有された『サプリメント』を加えてみるのも良いでしょう。使用する場合は必ず「ペット用サプリメント」を選び、関節や骨の強化ができるものを選ぶと良いでしょう。
まとめ
犬の歩き方がいつもと違う、おかしい、危険な歩き方なのかも…と気が付けるのは、日ごろから飼い主さんが愛犬をよく観察してスキンシップを取っているからです。
足腰の異常は遺伝的な要因もありますし、加齢、体重、運動など様々な要因が絡み合って発生します。
ちょっとおかしいなと感じたときは、加齢のせいだ、太り過ぎているからだと片付けず、獣医師の診察を受けてみてくださいね。