犬の鼻はとても敏感な器官
犬の鼻は非常に鋭敏で、鼻を使うことでニオイを嗅ぎ分けるだけではなく、それによって映像を映し出すようにどのようなことが起こっているのかをイメージすることができ、さまざまなことを判断することができます。
そんな重要で鋭敏な器官をいじられるというのは、犬にとって決して快適なものではありません。
イメージしにくい方は、自分に置き換えて考えてみるといいでしょう。例えば、わき腹が弱い人は少なくないと思います。指でちょっと触られるだけでも悲鳴をあげて反応してしまう人もいれば、指くらいなら大丈夫でもがっつり触られると不快を示す人は多いでしょう。
もしそんなことをされれば「やめてほしい」と頼むと思いますし、面白がって繰り返すような相手に対しては警戒心や不信感を抱くと思います。
老齢化しても最後まで機能する嗅覚
また、犬の嗅覚は、人間の1000倍から1億倍と言われているのをご存知でしょうか。
犬も歳を取ると白内障になったりなど視力や聴覚の低下が見られるようになり、全く目が見えない、ほぼ聞こえないというような状態になるケースも少なくありません。
しかし、それでも嗅覚だけは最後まで残り、多少鈍ることはあっても機能は生き続けます。
そんな優れた器官だからこそ、鋭敏であるというのも納得できるのではないでしょうか。
大切な器官だからこそ大切に扱い守ることはしても、自分が楽しいからといって遊ぶというのは決して褒められるものではありません。
犬のボディランゲージを読み取り理解しよう
犬が嫌がっている様子を見せてもやめない人は、どこまでもボディランゲージが見えていない、もしくはそれをなんとなくわかっていて無視している傾向にあります。
ボディランゲージが理解できないのであれば、まずはそれを勉強し、どんな仕草を示していると犬は不快なのか快なのか葛藤なのか…ということを学びましょう。
ですが、もしなんとなくイヤなんだろうなということをわかっていて無視しているのであれば、すぐにそうした対応はやめるようにしてください。それをすることで犬に嫌われてもいいとあなた自身が判断し選択するのは自由ですが、それをされている犬はさらに別の学習もします。
それは、「いやだ、やめて」という姿勢を示しているのに無視されるのだからもっと強いサインを出してやめてもらおう、それでもやめてもらえなければ攻撃しよう…というものです。
そしてそれはそれをする人間にだけではなく、「鼻を触ろうとする手」に対して学習するため、鼻付近に手がくると不快を示したりどうせ無視されるのだと学習していれば、すぐさま攻撃をしてくるようになります。
犬にとってそれはずっと伝え続けていた「やめてほしい」というサインを無視されたために、不快から早々に逃れるためにはこれしかない…という結論に行き着いたにすぎません。
しかし、人間はそれを「噛み犬」「問題行動」「しつけをしないと!」と犬を悪者にしてしまいます。これは決してフェアではありませんし、あまりにも残酷です。
犬との幸せな生活を送りたかったはずなのに、そんなことになれば犬も人間もどちらも不幸ですよね。そうならないために、犬の鼻で遊ぶのはやめて、少しでも不快なサインを見せたらすぐに手を引くようにしましょう。
まとめ
今回は犬に嫌われがちなのについやってしまう「鼻遊び」について書きましたが、(自分もやってしまっていることがあるな)と思った人もいるのではないでしょうか。
犬にとって鼻は非常に鋭敏で重要な器官。それを守るために行動することはあっても、おもしろいからおもちゃにするということはやめてあげてください。
「犬が嫌がることはしない」「犬が嫌だというサインを示したらすぐにやめる」という今すぐ実践できることをするだけで、犬との信頼貯金にもつながりますよ。