犬の全般性不安障害にはドッグスポーツが効果的という研究結果

犬の全般性不安障害にはドッグスポーツが効果的という研究結果

犬が不安や恐怖に関連する行動を示している時に効果的な対策についての調査研究の結果が発表されました。

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犬の不安/恐怖についての総合的な調査

飼い主に抱かれている犬

犬が不安や恐怖のせいで日常生活に支障を来たしたり、人間にとって望ましくない行動をしてしまうことに悩んでいる飼い主さんは少なくありません。また不安障害や怖がりの犬への対策についても、さまざまな種類の方法が数多く研究されています。

このような犬の不安/恐怖行動とその対策についての総合的な調査が、アメリカのタフツ大学獣医学部とNPO団体ケーナイン行動研究センターの研究チームから発表されました。

ケーナイン行動研究センターは、愛犬が不安や恐怖から来る行動を持っている飼い主を募集し、アンケート調査などを通じて様々な角度から研究を実施しています。今回の調査も犬の不安/恐怖行動研究に参加した飼い主へのアンケートによって行われました。

不安や恐怖を持つ犬の飼い主へのアンケート調査

怖がっている様子のチワワ

調査に参加したのは少なくとも1つの不安、または恐怖に関連する行動を持つ1,308頭の犬の飼い主でした。研究チームは回答から不安/恐怖のカテゴリーを次の5種類に分類しました。

  • 花火や雷などの無生物への不安や恐怖
  • 人間や他の動物などの生物に対する不安や恐怖
  • 分離不安など状況的な不安や恐怖
  • 全般性不安障害
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)

飼い主への質問では、犬の不安/恐怖関連行動に対してどのような対策を取ったのか、それがどのような効果を示したかについても詳しい回答が求められました。

対策とはトレーナーや行動治療の専門家への相談、カウンターコンディショニング、系統的脱感作法、薬物療法、ハーブや漢方、運動などでそれぞれの項目でさらに細かく分類されており、それぞれの対策への全般的な効果や反応、5種類のカテゴリーごとの効果や反応が分析されました。

全般的不安障害に効果があったのはドッグスポーツ

アジリティ競技中のボーダーコリー

調査参加者の犬のうち、全般性不安障害に分類されたのは273頭でした。全般性不安障害とは、特に明確なきっかけや理由がないのに常に不安や恐怖を感じ、小さなことにも過剰に反応してしまう状態を指します。言うまでもなく犬の生活の質を大きく低下させてしまうものです。

この全般性不安障害について最も大きな効果を示した対策が、ドッグスポーツへの参加でした。

スポーツ活動の例としては、フライボール、アジリティ、K9フリースタイル(オビディエンスとダンスの組み合わせ)、ディスク競技、ドックダイビング、スポーツハーディングなどが挙げられていました。

犬の自然な本能に働きかけるような活動が、全般性不安障害を持つ犬をリラックスさせ不安が減少するようだと研究者は述べています。これはドッグパズルや散歩中の匂い嗅ぎや探索ゲームにも当てはまります。

またスポーツに参加することで飼い主や他の犬との社会的な一体感、達成感、楽しさを得ることが不安を解消し自信につながっているとも考えられます。

不安/恐怖の種類によって効果的な対策が違う

サプリメントを与えられている犬

調査に参加した飼い主のうち64%が、何らかの対策を取ることで犬の不安/恐怖に関連する行動が改善されたと答えており、17%が変化なし、19%が悪化したと回答しています。

不安/恐怖の5つの分類のうち全般不安障害以外では次のような結果が示されました。

花火や雷など無生物に対する不安/恐怖に最も効果があったのは、獣医師が処方する医薬品、ハーブサプリメントや漢方薬、食事療法など、薬理学的、栄養学的、生理学的な対応でした。

他の犬や見知らぬ人に対して不安や恐怖を感じる場合は、行動学に精通している専門家やトレーナーへの相談が最も高い効果を示しました。カウンターコンディショニングや系統的脱感作法も効果的でした。

分離不安などの状況不安についても、行動学の専門家やトレーナーへの相談が良い結果を示しました。馴化(じゅんか=馴れること)と行動修正セッションも効果的でした。

残念ながら心的外傷後ストレス障害については、何らかの対策が有効だったという回答はありませんでした。スポーツなどの運動も犬によっては、かえってマイナスになる場合もありました。

これらの結果から、犬の不安/恐怖の理由やきっかけを飼い主がしっかりと認識することが、適切な対応をするために必要であることがわかります。

きっかけや理由を把握した上で獣医師や専門家に相談することによって、より適切な対応と効果が期待できます。

まとめ

カーテンの影に隠れている犬

犬の不安や恐怖に関連する行動とその対策についてのアンケート調査から、全般的不安障害についてはスポーツが有効であること、その他の種類の不安や恐怖についても、それぞれに効果的な対策が違うという結果をご紹介しました。

犬が不安や恐怖を感じていることを放置したり、罰を与えるといった逆効果なことをすると、犬の生活の質を落とすだけでなく、人間や他の動物への攻撃に発展する場合もあります。

犬が不安や恐怖を感じていると思ったら、しっかりと観察して引き金になるものや理由を把握した上で、獣医師や専門家に相談することが大切です。

《参考URL》
https://www.centerforcaninebehaviorstudies.org/post/simplified-the-fear-anxiety-study
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-11690389/Anxious-dogs-calmed-exercising-pooches-study-shows.html

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