リードの役割
犬と一緒に暮らす場合、用意しなければならないものの一つが、リードです。
リードにはとても大切な役割があります。それは、「愛犬を守る」ことと「他者へのマナー」です。どんなに穏やかで、飼い主さんの言うこともきちんと聞くお利口な犬でも、不意の出来事に驚いてパニックを起こすことがあります。それはいつ起こるか分かりません。
もし街中の散歩中に飼い主さんの声も耳に入らなくなるほど興奮してしまったら、車道に飛び出してしまうかもしれません。そういう場合に愛犬の命を守るのが、リードの大きな役割の一つです。
犬や人に近づきすぎて相手とトラブルになったり、自由にさせた結果公共施設や私有地に侵入したり排泄したりすることもあるでしょう。他者へのマナーとして、これらを防ぐためにも、リードによる統制が必要になるのです。
リードの種類
愛犬との外出には必ず必要なリードですが、用途によりさまざまな種類が販売されています。
スタンダードリード
長さが1〜2m程度のごく一般的なリードです。
飼い主さんの意思を犬に伝えやすく行動の統制を行いやすいため、街中などでのお散歩に適しています。
ロングリード
3〜30mと、豊富なラインナップが揃っています。ただし犬の行動統制には適していません。主な用途は「マテ」や「呼び戻し」などのトレーニング用です。
他の犬や人、車がいない広く見通しの良い場所で、自由に運動させる際にも利用できます。
ショートリード
長さが1m未満の短いリードです。
狭い場所で中大型犬にリードコントロールを行う場合や、お散歩で引っ張り癖の強い犬のトレーニング用に使われます。
ダブルリード
一つの持ち手から二股に分かれた装着部が付いているリードです。首輪とハーネスを同時に使用する犬に使用します。
二股部分が長くて2頭引き用に使えるものもあります。
伸縮リード（フレキシブルリード）
巻取り式で伸縮できる、長さ調整が可能なリードです。3〜5mの製品が一般的ですが、中には10mの製品もあります。
長さを固定してスタンダードリード、ロックを外してロングリードのように使い分けます。
ハンドフリーリード
肩から斜めにかけるタイプや腰に装着するタイプがあり、両手を自由な状態のまま使用できるリードです。
愛犬と一緒に、ランニングやトレッキングを楽しむ際に利用します。
伸縮リードをおすすめできない理由
それぞれの特徴を理解した上で、愛犬の性格や環境、用途に応じて適切なリードを選ぶことが大切です。その観点でいうと、「伸縮リードは街中でのお散歩には向かない」と感じています。
今回はその理由をご紹介します。
1.愛犬の安全を守れないリスクが高い
伸ばしたリードを短くするには、犬を飼い主さんの下に呼び戻す必要があります。犬が急に車道に飛び出そうとした場合、伸びたリードで犬を統制するのは難しいですし、勢いよく伸びている最中にロックを掛ければ、愛犬の首にとても強い衝撃を与えることでしょう。
さらに、ハンドルを掴むだけという形状も心配です。ストラップ等を併用していない場合、伸び切ったリードの力に負けてハンドルを落とすと、事故につながりかねません。
このように、車や人、他の犬などが多い街中でのお散歩では、ロックを外したり伸ばしたリードで「愛犬を守る」ことは難しいでしょう。
2.他者とのトラブルを引き起こすリスクが高い
人通りや他の犬が多い街中で伸ばしたリードで散歩をすると、必要以上に通行人や他の犬との距離を縮めます。愛犬が穏やかな性格だったとしても、相手は攻撃的な犬や犬への恐怖心を持っている人かもしれません。その場合、相手にケガをさせることもあるかもしれません。
さらに伸縮リードの場合、リードが細くて遠目では見づらい場合が多いため、リードに気付かずに人や自転車などが突っ込んできて引っかかり、転倒してしまうという事故も実際に起きています。
3.飼い主さん自身がケガをするリスクが高い
思わぬ事態が起き、飼い主さんご自身が焦ってしまって伸縮している最中のリードを素手でつかもうとすることがあります。勢いよく伸縮しているリードを掴んだ手は、摩擦で思いも寄らないほどのケガをしてしまうでしょう。
リードは用途や環境に合わせて上手に使い分けましょう
街中で散歩をする場合を想定した「伸縮リードをおすすめしない理由」をご紹介してきました。これはあくまでも、街中での散歩を想定したものです。決して伸縮リードの使用を全否定しているわけではありません。
ロングリードと同じように、見通しがきき人や車が通らない広い場所で自由に運動をさせたい場合や、呼び戻しのトレーニングを行いたい場合には、伸縮リードも非常に役に立つでしょう。
用途、周囲の状況、愛犬の性格等をよく考慮した上で、適正な種類のリードを選び、適正な使い方をするように心がけることで、愛犬を安全に散歩させることができ、犬が苦手な方も愛犬家も、共に快適に暮らせる地域づくりができると考えます。
まとめ
人も犬も、思わぬ事態に遭遇すると焦ってしまい、パニック状態に陥りがちです。そういう時も、飼い主さんには愛犬を守り、周囲の人や犬に迷惑をかけないようにする責任があります。そのために役立つのが、リードです。
リードにもさまざまな種類があります。使用状況や用途に合わせて、適切な種類のリードを適切な使用方法で活用することで、周囲に迷惑をかけず、愛犬に安全で快適な散歩をさせましょう。
