犬は人よりもたくさん眠ります
犬の睡眠のメカニズムについては未解明な部分も多いですが、睡眠中は人と同じようにレム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返していることが分かっています。しかし総睡眠時間のレム睡眠とノンレム睡眠の割合は、人と犬とでは異なるようです。
深い眠りのノンレム睡眠の割合は人が80%なのに対し犬は20%で、浅い眠りのレム睡眠の割合は人が20%なのに対し犬は80%と言われています。犬の睡眠のほとんどは、浅い眠りなのです。
犬のレム睡眠の割合が多い理由は、野生時代に関係していると考えられています。野生時代の犬は睡眠中も外敵に襲われる危険があり、危険な気配を感じたらすぐに行動できることが求められました。そのため、浅い眠りのレム睡眠の割合が多くなったというわけです。
睡眠のほとんどが浅い眠りである犬が体力を回復するには総睡眠時間を長くする必要があるため、犬は人よりもたくさん眠ります。
犬の平均睡眠時間は?
浅い眠りが多く人よりも多くの睡眠が必要な犬ですが、1日の平均睡眠時間はどのくらいなのでしょうか?平均睡眠時間は年齢によって異なるので、ライフステージごとにご紹介します。
1.成犬(1〜6歳)
成犬の1日の平均睡眠時間は、12〜15時間です。飼い主さんに合わせて夜にまとめて眠り、お昼寝もちょこちょこして、1日の半分以上は寝ていることになります。
大型犬は小型犬よりも睡眠時間が長い傾向にあり、狩猟犬や牧羊犬は睡眠時間が短い傾向にあるようです。
大型犬は体が大きい分、エネルギーの消費量が多くなり、それを回復するには時間がかかるために睡眠時間が長くなると考えられています。狩猟犬や牧羊犬の睡眠時間が短い理由は諸説あり、一説によると長時間活動できるように適応しているのだとか。
2.子犬(1歳未満)
子犬の1日の平均睡眠時間は成犬よりも長く、18〜19時間です。子犬は好奇心旺盛で活発に動き回り、エネルギーをたくさん消費するため、成犬よりも多くの睡眠が必要になります。
「寝る子は育つ」は子犬にも言えることで、成長のためにも十分な睡眠が必要です。かわいい子犬を見ているとつい構いたくなってしまいますが、睡眠を優先してあげるようにしましょう。
3.老犬(7歳以上)
老犬の1日の平均睡眠時間も18〜19時間です。老犬になると体力が衰えて疲れやすく、疲労回復にも時間がかかるため、成犬よりも睡眠時間が長くなります。年を取るにつれ、食事とトイレと散歩以外はほぼ寝ている、ということが増えてくるでしょう。
犬が寝不足になっている時の症状は?
犬も寝不足が続くと、人と同じように心身の健康に悪影響が出ます。もしも愛犬が寝不足になってしまった場合は、早めに気づき対処することが大事です。
愛犬の寝不足に早く気づいてあげられるように、犬が寝不足になっている時の症状を知っておきましょう。
1.疲れやすい
飼い主さんも経験があるかと思いますが、寝不足になると体がだるく疲れやすくなります。
犬が寝不足によって疲れやすくなると、いつもの散歩コースなのに途中で座り込んでしまったり、帰りたがったりします。また普段は飼い主さんに遊びを催促するのに、一日中寝そべってばかりということも。
病気が原因で疲れやすくなることもありますので、疲れやすい症状が数日続く場合は、動物病院を受診しましょう。
2.食欲不振
いつもは食欲旺盛な愛犬があまりごはんを食べないときは、寝不足が原因かもしれません。食欲は自律神経によってコントロールされており、寝不足によって自律神経が乱れると食欲不振になることがあります。
ただ、食欲不振も病気の症状である可能性があるため、数日様子を見て改善が見られないようであれば動物病院へ。
3.問題行動が増える、言うことを聞かなくなる
人は寝不足になるとイライラすることがありますが、犬も同じです。寝不足によるイライラがストレスとなって、問題行動を起こすようになったり、飼い主さんの言うことを聞かなくなったりすることがあります。
無駄吠えや破壊行動が増えた、飼い主さんに反抗的な態度を取るようになったと感じるときは、寝不足を疑ってみてもいいでしょう。
4.下痢をする
寝不足の症状として下痢も挙げられます。自律神経は消化器官のコントロールにも関わっているため、寝不足のせいで自律神経が乱れると腸の働きが低下し、下痢を引き起こすことがあるのです。
下痢の原因はいろいろと考えられ、病気が原因であることもあります。下痢が3日以上続く場合は、動物病院を受診しましょう。下痢が頻回であったり、食欲不振や嘔吐など下痢以外の症状も伴っていたりする場合は、早めに受診しましょう。
犬に寝不足の症状が見られたら?
寝不足が続くと免疫力が下がって病気にかかりやすくなったり、ストレスがたまったりするため、愛犬に寝不足の症状が見られたら早めに対処しましょう。
まずは、寝不足の原因を探る必要があります。犬の寝不足の原因となるのは、安眠できない睡眠環境やストレス、体調不良などです。慎重に寝不足の原因を見極めて、その原因に合った対処をし、1日も早く愛犬がぐっすりと眠れるようにしてあげましょう。
まとめ
犬は人より浅い眠りが多く、その分多くの睡眠が必要で、1日の半分以上を睡眠にあてています。愛犬がしょっちゅううとうとしているのも納得ですね。
寝不足は健康の大敵です。日頃から愛犬をよく観察し、もしも寝不足の症状が見られたら原因を探り対処しましょう。
そもそも愛犬が寝不足にならないようにしたいものです。睡眠環境は整っているか、ストレスを感じる生活を送らせていないか、この機会に振り返ってみてはいかがでしょうか。