犬は「やったらダメなこと」をどうやって認識するのか
人間にとって犬にはして欲しくないことはたくさんありますよね。犬の安全のためにも一日でも早く理解させたいところですが、ある日気付くとダメなことに認識してやらなくなったりすることも。犬はそれをどのように認識しているのでしょうか。
1.飼い主の表情
犬は相手の表情を読むのが得意な動物であり、表情でのコミュニケーションは子犬時代から行われます。
子犬は産まれてすぐには目が見えず、ニオイや感触を頼りに動きます。やがて体が大きくなって目が見え、歯が生えたら離乳期を迎えます。母犬は子犬に噛まれると痛いので授乳を嫌がり、子犬がねだってきたら歯をむき出して怖い顔をします。子犬も表情を読んで離乳するようになります。
この時期の経験が成長してからも影響し、飼い主が怖い顔をすると「これはダメなんだ」と認識してやったらダメなことを覚えていきます。
2.親きょうだい犬とのふれあい
犬は生まれてすぐに母犬やきょうだい達と一緒の寝床で過ごします。体が大きくなって力が強くなると行動範囲が広がり、じゃれあって遊ぶようになります。
遊んでいる最中に強く噛む子犬がいると、母犬は止めに入ります。このときに母犬はマズルと呼ばれる鼻先を噛んで叱ります。子犬は親きょうだいから力加減やダメなことを覚えていくのです。
よって人間が犬を叱る際も、マズルを掴むのが効果的とされています。犬が逃げたり噛んだりする場合がありますが、やはり掴まれると嫌な部分のようです。
3.他の犬との交流
生後間もない頃はじゃれあって遊んでいて良かったのですが、成犬になると他の犬とはマナーを守って接することになります。
人間と同じように犬も挨拶をして交流します。初対面では視線を逸らして近づく、おしりのニオイを嗅ぐなどが礼儀でいきなり近づくのはマナー違反です。
もちろん若い犬が年上の犬を怒らせる、歳の近い犬とケンカになるといったこともあります。しかしこれらの経験を通して犬同士でやったらダメなことを学んでいきます。
4.怖いことが起きるとやらなくなる
この行動をしたら大きな音がした、この部屋に入ったら怖いことが起きたなどの経験があると犬はその行動をしなくなります。
犬はトイレシートやおもちゃなどをなぜ食べてはいけないのかまでは理解できません。犬の学習能力を利用して問題行動をやめさせてください。
ダメなことを覚えさせるコツ
ではここからは、犬にダメなことを覚えさせるコツをご紹介します。やんちゃな愛犬で困っている方はぜひ試してみてくださいね。
短く現行犯で叱る
犬に「こんなの食べたらお腹痛くなっちゃうよ」などの人間の長い会話を理解することはできません。ですが「オテ」や「ダメ」などの短い単語を覚えることはできます。
例えば、犬がトイレシートを噛んでいるのを見つけたら、「ダメ」や「いけない」などの単語で叱ります。人間のように長々と話しかけることはせず、現場を見つけたらすぐに叱ってください。
もし話しかけるのならば、犬が噛んだものを指さして、「これがいけないのだ」と示す程度にしましょう。
天罰方式
犬が悪いことをしたら大きな音を立てるなどして罰を与えてみてください。新聞紙やペットボトルで床を叩く、地面に散歩バッグを投げるのも効果的です。
雷や車の音に敏感な犬には怖い罰に感じます。決して犬に体罰を与えることはしないでください。
他の犬と会わせる
子犬時代は親きょうだいと過ごし、成犬になると飼い主と過ごす時間が長くなります。ですが人間だけでなく他の犬との交流はやはり必要です。
自分とは違う大きさや犬種の犬、ニオイや音と触れることは犬の性格に影響を与えます。吠え癖や飛びつき癖がある犬が、強い犬に会ってから落ち着いたという例もあります。
犬同士でどんな会話をするのかわかりませんが、人間との暮らしにはない刺激を受けることができます。
まとめ
犬にやめてほしいことがあると、ついその部分だけを集中して教えようとしがちですね。確かにダメと教えるのも大事です。
ですが他に散歩量や他の犬との交流を増やす、叱り方を変える、イタズラしにくい部屋にするなど生活全体を見直してみてください。
経験を積んで知っていることが増えると犬は「これは良くない」「こうすれば嬉しいことがある」とわかってきます。
犬は年齢とともに落ち着くこともあるので、焦らずに人間社会でのルールを教えてあげてください。