犬は実際反省するのか
犬は飼い主に叱られたとき、叱られたことを理解して反省するのでしょうか。
一説によれば、『犬たちは言葉が通じないため叱られていることを理解できず、ただ飼い主が大きな声を出すことに対して恐怖を覚えているだけ』と言われています。怖いから身を縮める、怖いから耳を伏せる、怖いから上目遣いで逃げ回る、というのです。
留守番中のいたずらを叱った場合、この説にも一理あるように思えます。
散らかった室内を見て大きな声で「いけないでしょ!」と叱ったところで、犬は何に対して飼い主が声を荒げているのか理解できないでしょう。そのため、怖い時間が早く過ぎ去るようにと、身を縮めてやり過ごしているというのも納得できます。
一方で、『犬は他者の感情を読み取ることが非常にうまいため、飼い主が気分を害している・怒っているということを理解することができる』という説もあります。自分を叱っている飼い主の高ぶった気分を落ち着かせるために、前述したように耳を伏せたり背や尻尾を丸めたりする行動を起こすといいます。
目の前でいたずらをした犬を叱った場合はこちらの説を取りたくなります。「あーっ!」という声を上げたとたんに(しまったっ!)という顔をしてペコペコしだす犬たちは、こちらの感情を良く読み取っているように見えるのです。
ただしどちらの説も、「犬自身が行った行動(いたずら)」と「飼い主が怒っている・気分を害していいる」とが犬の中でつながっているかどうかは不明です。そのため、犬は叱られたからと言って反省するかどうかといえば、なかなか反省しているとは言い切れない気がします。
犬の「反省サイン」とは
では、犬が「反省サイン」としてよくする仕草や行動には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
1.目を合わせない
犬というより動物全般ですが、お互いに目を合わせることは「対立」を意味します。犬たち同士も同様で、犬同士であればよほどお互いに気ごころが知れている間柄でなければ「遊ぼう」という意図では目を合わせないでしょう。
飼い主が叱っている最中やその直後、犬たちが飼い主から目をそらすのは「落ち着いて」「敵意はないよ」「大きな声を出さないで」というサインです。敵対したくない、自分は争わないということを示しているんですね。
この気持ちを無視して目を睨み続けていると、犬はとても委縮していきます。飼い主がいつまでも敵意をもっていると感じてしまうのでしょう。犬を叱る際は短く、端的に、そしていつまでも目を睨まないことを気を付けてあげてください。
2.身を隠そうとする
忍び足のようにゆっくり、こそこそとハウスやテーブルの下など飼い主の目に触れないところに身を隠そうとするのも、飼い主の高ぶった気分を落ち着かせようとする行動であるとともに自分の身を守ろうとする行動です。
とりあえず怒っている相手から距離を取り、敵意がないことを示しつつ嫌な時間をやり過ごそうという気分なのかもしれません。
これも追いかけて行ってくどくどとお説教をしても効果はありません。犬は身を隠しても飼い主の様子はじっと探っているので、無視していたずらの後片づけを行いましょう。
3.仰向けになって腹を見せる
こちらは分かりやすい降参ポーズですね。声を荒げている相手や気分が高ぶっている相手に対して「降参」「敵意はない」「もうやめて」という意図を伝えるために行います。
犬にとってはかなり怖い、切羽詰まった状態で出るポーズですから、これが出る場合は飼い主の声が相当大きかったり威圧的だったりするのかもしれません。
またおそらくこの降参ポーズが出る場合は、犬にとってとにかく「怖い」というストレスが圧倒的なため、何を叱られているのかは全く理解していないと考えられます。
まとめ
犬と一緒に生活すると、しつけの一環やあるいは何かの拍子に、叱らなくてはいけない場面が一度や二度ならず発生するでしょう。しかし、犬はいたずらをした際に「自分がやった」という記憶を長く維持することが難しいといわれています。そのため、犬を叱る場合は、そのタイミングがとても重要です。
犬が「怖い思いをした」だけで終わらせないためにも、犬を叱る際は「いたずらをした瞬間」に「素早く一喝」のタイミングを逃さないようにしてくださいね。もちろん、痛い思いをさせることも厳禁です