犬が見せる「疲れたサイン」
では、犬の「疲れたサイン」には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
1.歩くのを嫌がったりゆっくり歩いたりする
歩くことが大好きで楽しい散歩の最中であっても、体調や年齢によっては楽しさより疲れを大きく感じてしまう犬もいるかもしれません。
家を出るときには元気よく飛び出していく勢いで歩き出す子でも、道中に疲れてしまうとだんだん足取りが重くなっていくこともありますよね。お散歩は大好きだけれど、歩く時間が長かったり距離が長かったりすれば、人間でもくたびれてしまいます。
もっと疲れてしまった場合はのろのろと歩き、いよいよ歩きたくなくなったときは立ち止まったり、歩くこと自体を嫌がったりする素振りを見せることもあるでしょう。このような行動をとる際、犬たちは飼い主に向かって「疲れたよ」「歩きたくないよ」というアイコンタクトをすることが多いと思います。
2.息が荒くなる
いくら走るのが好きな犬たちでも、走り回ったり興奮しすぎたりすれば息が荒くなります。
また犬の場合は体温の調節を行うためにも、ハアハアと口で息をします。この口呼吸は「パンティング」といい、唾液を蒸発させその気化熱を利用して体温をさげる行動です。運動で上がった体温を下げる役割を果たしているのですね。
このパンティングですが、興奮しすぎていたり運動をさせすぎたりするとより激しくなります。しばらく様子を見て落ち着けばよいのですが、ゼロゼロ、ガーガーなどの荒い呼吸音が混じっていたり舌の色が紫色になっている場合は、急いで動物病院を受診しましょう。
3.表情が乏しくなる
犬は表情豊かな動物です。うれしいときや悲しいとき、警戒しているときなどコロコロ顔つきが変わります。
しかし身体的、精神的に疲れている犬は表情の変化が乏しくなります。何をしていてもぼうっとした覇気のない顔をしていたり、眠そうにしていたり、あるいは焦点の定まらないような表情を浮かべていたりします。目線が下がりっぱなしの場合も犬は疲れている状態といえるでしょう。
また頻繁にあくびをしたりするのも「疲れている」状態かもしれません。あくびはカーミングシグナルで「いやだな、つまらないな」という気持ちを落ち着かせるために行う仕草ですが、これもある意味「疲れたな」と考えることもできますね。
「疲れたサイン」が見られたらやってはいけないNG行為とは
若いころであれば犬も体力があるので「疲れた」と感じる機会も少ないかもしれませんが、年を重ねていくと犬たちはだんだん疲れやすくなります。若いころと同じような時間遊んだり、若い頃と同じような距離の散歩は徐々に必要としなくなっていくでしょう。
では、「疲れたサイン」が愛犬に見えた際にしてはいけないNG行為にはどのようなものがあるのでしょうか。
散歩中に「疲れたサイン」を無視して歩かせる
「疲れた」というサインが見られているのに、散歩ルートの途中で歩かなくなったりしたら困るから、とペースを上げたり、リードを引っ張って急がせることは、ついついやってしまいがちですがNGの行為です。犬はその時点で相当疲れているので、無理に引っ張ったりすることはやめましょう。
歩いているときは常に犬の様子をちゃんと確認し、「疲れた」というサインが見られた場合は、歩調をゆっくりにしてあげたり時々休憩を入れてあげたりしながら家に帰ってあげましょう。
おうちに帰ったらたっぷりのお水をあげてゆっくりと休ませてあげてくださいね。
室内で「疲れたサイン」を無視してしつこく構う
家の中で激しくパンティングをしていたり、呼んでも歩こうとせずにじっとしていたり、反応が薄すぎるようでしたら、それも「疲れた」というサインでしょう。この場合は身体的に疲れたというより精神的に疲れている場合が多いようです。
つまらなさそうだからいっぱい遊んであげようとしたり、犬が意図していないタイミングでしつこく嫌がるようなスキンシップをしたりするのはNGです。無理に呼びつけたり遊ぼうとしたりせず、犬が落ち着くまでゆっくりと好きなところで過ごさせてあげましょう。
ただし激しすぎるパンティングや、異音がある、舌の色がおかしい、震えなどが見られる場合は落ち着いて様子を見るのではなく、早急に動物病院を受診することをお勧めします。
まとめ
犬たちも人間同様に疲れを感じて「疲れた」というサインを出します。
飼い主は日ごろから犬たちの様子を観察し、そのサインを的確にキャッチして適宜休ませてあげてくださいね。