愛犬と飼い主さんの関係は親子と同じ
犬の祖先は、およそ1〜3万年ほど前から人と一緒に暮らすようになったといわれています。その時から人の手による意図的な交配が繰り返された結果、より人と一緒に暮らすことに向いた資質の犬が作られ、現在の犬になりました。
そのため、犬は人の社会の中で、人に守られながら暮らすことしかできないようになってしまいました。つまり一緒に暮らす人と犬の関係は、人間の親子と同じようなものになったのです。
愛犬と一緒に暮らしている、または暮らしたことのある愛犬家の多くが、自分自身を「親バカだなぁ」と思った経験があるのも、このことを裏付けているのではないでしょうか。
では、具体的に愛犬家がしがちな親バカ行為を見てみましょう。
愛犬家がしがちな親バカ行為
犬と一緒に暮らしている多くの愛犬家が、自分を親バカだと思う代表的な行為をご紹介します。
1.「うちの子が一番!」と思う
かわいさでも賢さでも、「うちの子が一番」だと思っている方は多いです。
もちろん、周りにいる犬たちもそれぞれにかわいいし賢いと思ってはいるようですが、それでも一番はうちの子だという思いは揺らがないようです。
愛犬はわが子も同然なのですから、当然といえば当然の思いでしょう。
2.赤ちゃん言葉で話しかける
愛犬に向かって話す時には、つい赤ちゃん言葉になってしまうという方も多いです。
はたから見ているとちょっと滑稽な光景ですし、「ついなってしまう」という表現からも、冷静に考えるとご本人も恥ずかしいと感じている気持ちが伝わってきます。
しかし、実は『赤ちゃん言葉での交流は、犬との絆を築くためには効果的である』ということが科学的に証明されています。この場合、効果的だといわれているのは「高い声で抑揚をつける」という話し方です。
恥ずかしい場合は、「〜でちゅね」といった言い回しはやめ、「高い声で抑揚をつけた話し方」の部分のみ、赤ちゃん言葉に寄せた話し方にすればよいのではないでしょうか。
3.何事も愛犬優先になる
愛犬があまりにもかわいすぎて、何事においても愛犬を優先し、後から「親バカだったなぁ」と感じるという方も多いようです。
例えば、自分は安価なベッドを使っているのに愛犬には高級でふわふわなベッドを購入したり、愛犬のために犬の薬膳教室に通って勉強をしているのに自分はコンビニのお弁当で済ませている、などです。
4.自分の方から抱きついてしまう
愛犬の状況にはお構いなく、自分の方から四六時中愛犬を抱きしめたり、もふもふとしたお腹に顔を突っ込んでニオイを嗅いでしまったり、という自分勝手な行為をしてしまう方も多いようです。
特に、愛犬の肉球のニオイを嗅ぐのが大好きだという方が多いようです。
5.写真フォルダが愛犬の写真だらけ
愛犬のちょっとした表情の変化も漏らさず残したいと、肌身離さず持っているスマホで愛犬の写真を撮りまくり、写真フォルダの中はほとんどが愛犬の写真だという方も多いです。
毎年の年賀状も愛犬の写真、パソコンのデスクトップも愛犬の写真、スマホの待ち受け画面も愛犬の写真、という感じです。
「親バカ」と「バカ親」
人間の親子にも親バカがあります。親バカとは、親ならではの愛情から自然に出てきてしまう行為です。親バカな親は、「うちの子が1番だ」と思い込んでいます。それは自分の子を認めているということです。ですから、親バカの親を持つ子どもは「親から認められている」という思いを持つことができ、それが自信へとつながり、強いメンタルが育まれます。
しかし、親バカを通り越し、非常識でわが子しか見えなくなってしまうと、「バカ親」になります。バカ親は、わが子が失敗したり人に迷惑をかけたりしても、ただ庇うだけなのできちんとしつけません。そのため、やり直したり謝ったりする機会を奪ってしまいます。
この親バカやバカ親は、愛犬家にもそのまま当てはまります。親バカの愛犬家は微笑ましいですが、バカ親の愛犬家は愛犬にしつけをすることもなく、周囲に迷惑をかけるばかりか、愛犬が人間社会の中で暮らしていくために必要な能力を身に付けさせず、かえって危険にさらしてしまうのです。
まとめ
愛犬家に親バカが多いのは、納得できます。なぜなら、愛犬に対する愛情から生まれる行為が親バカだからです。
しかし、親バカを通り越してバカ親になってしまうと、周囲を呆れさせるだけではなく、迷惑をかけてしまいます。
またバカ親は、愛犬のためよりも利己的に行動してしまうため、愛犬に嫌な思いをさせたり、愛犬の能力向上を阻害してしまうこともあります。
愛犬家の愛情も、『過ぎたるは猶及ばざるが如し』。常に愛犬のためを考え、周囲を考慮して行動できるようになりたいものです。