1.遺伝性疾患の好発犬種
諸外国では古くから、犬種標準を忠実に守るため、あるいはより良い犬種を生み出すためにブリーディングを行ってきた歴史があります。その結果、犬種によっては遺伝的に発症しやすい疾患を抱えていることがあります。
たとえばパグやフレンチ・ブルドッグなどの短頭種における短頭種気道症候群、ビーグルにおける骨形成不全、トイ・プードルにおける膝蓋骨脱臼や進行性網膜萎縮症などはその典型例です。
これらは遺伝的・先天的な要素が非常に強いため、生活習慣にどんなに気をつけていても発症しやすくなってしまいます。
まずはリスクを知っておくこと
遺伝性疾患の発症を予防することは難しいと言わざるを得ません。とはいえ、まずは自分の愛犬の犬種が抱えている発症リスクを知っておくことが重要です。
発症リスクをしっておけばサプリメントや療法食で疾患予防につながる栄養素を補完したり、普段の暮らしの中であまりさせないほうが良い動きを抑制することも可能です。
また万が一発症してしまった場合にも、適切な治療を受けさせることもできるでしょう。
2.シニア犬
加齢により病気にかかりやすくなるのは、全ての動物に共通する自然の摂理です。
年を取ると筋肉量が減り、体温も下がり、そのために免疫力や抵抗力も低下していきます。加えて内臓の機能も低下していくため、若かったころには何でもなかったことが思わぬ健康トラブルに発展してしまうのです。
シニア犬が病気にかかると、その程度によっては命に関わることも珍しくないため、十分に注意が必要です。
定期的な健康診断と快適な環境づくり
若い子であっても年に1度は念のために健康診断を受けさせているという家庭は多いでしょう。
病気のリスクが高まるシニア期に入ってきたら、健康診断の頻度を年に1度から1~3度に増やしてあげるべきです。そうすることで病気の早期発見・治療につながります。
また免疫力や筋力が低下したシニア犬の体に負担がかからないような環境づくりも大切です。適切な気温・湿度管理に気を配ったり、足腰に負担がかかるような段差をなくしたり、静かにのんびり過ごせる環境を整えてあげましょう。
3.肥満傾向の犬
肥満が万病の元であるのは、人間もわんこも同じです。肥満というのはそれだけで健康上の重大リスクになりえます。
余分な脂肪がつくことで体が重くなって足腰に大きな負担がかかり、関節炎などの骨関節のトラブルを招きやすくなります。その結果、体を動かすことが億劫になり、運動量が減って更に肥満が加速していくという無限ループに陥ってしまうことも。
また負担がかかるのは足腰だけではありません。内臓脂肪がつくことで内臓への負担も大きくなり、機能低下による内臓疾患の発症リスクが高まります。
ダイエットで適正体重の維持を
わんこが太ってしまうのは、ほぼ100%飼い主さんの責任です。わんこは自分で食べものを選ぶことも、食べる量を調節することもできないからです。
そのため一度肥満体型になってしまったら、飼い主さんが上手にコントロールしてダイエットさせてあげない限りは肥満から抜け出すことはできません。
おやつやおすそ分けの量を減らしたり、フードをダイエット用のものに切り替えたり、運動量を増やしたりして、わんこの健康的な適正体重を目指しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?愛犬が病気になってしまうと「どうして防げなかったのか」と自分を責めてしまう飼い主さんも少なくないと思います。
ご紹介したように、普段の生活習慣や飼い主さんの育て方が発病リスクを高めてしまう場合もありますが、遺伝や老化は飼い主さんの力では避けることのできないものです。
とはいえリスクの高さをあらかじめ知っておいて、発症を少しでも遅らせることができるような生活を送ったり、早期発見、早期治療に結びつくようにしていくことが大切と言えるでしょう。