犬のため息
人間がため息をつくときというのは、がっかりした時や疲れたとき、思うようにならないときなどいろいろありますよね。また、緊張をほぐそうとしたときやほっとしたときなども、大きく息をつくことがあります。
犬も人間と同じように、時折大きく息を吐くことがあります。鼻からふうっと強く吐くので大きなため息として耳に入ることもあるでしょう。「犬がため息をついている」と犬が大きな不満を抱えているのではないかと心配になりますよね。
しかし人の場合も「不満」以外でため息を吐くことがあると思い出してみましょう。犬の場合も同じように、「不満」「がっかり」の時以外にも何らかの理由でため息をつくことがあるのです。
1.落ち着きたい
犬たちは自分の感情をコントロールすることがとても上手です。はしゃいで興奮したときも、何かにイライラしたときも、がっかりしたりストレスを感じているときも、自分がいつもと違う状態であることを感じた場合、大きなため息をついて気分を落ち着かせようとします。
ヒトの場合もそうですが、興奮したりストレスがかかった状態でいると呼吸全体が浅くなり血中の酸素が不足します。またこのような状態のときは、自律神経のうち交感神経が優位となり身体全体が緊張状態になっているといわれています。
そこでため息をつく(=意識的に息を長く吐く)と、肺の空気がたくさん抜けます。すると反対に息を大きく吸い込むことができるようになるのです。ため息をつくことで呼吸全体を深くすることは、身体の緊張をほぐして血中酸素を増やすことに繋がり、副交感神経の働きをよくすることができるのです。
理屈として知らなくても、犬も人も同じように、身体はストレスを感じることでため息をつくという反応をするんですね。
2.不満を感じている
遊びが足りない、構ってもらえない、などの状況が続くと犬も不満をためるでしょう。不満はストレスとなり、これが高じると、犬たちはその緊張状態をなんとかするためにため息をつきます。飼い主さんにも聞こえる大きなものになることが多く、気になりますよね。
しかし、犬はこのような場合にため息をつくと、飼い主が何かしら反応をすることを覚えていることがあります。飼い主側が「どうしたの?」と犬に意識を向けるからです。要求の一種であることもあるため、繰り返してやっている場合は注意が必要でしょう。
3.リラックスしている
ご飯を食べ終わった後、遊び疲れてソファで寝そべっているときなど、大きくお腹を膨らませて「ふぅ~」とため息をつくことがあります。
これは、満足している状態やリラックスしている状態と言われています。人間もお腹がいっぱいだったり、お風呂上りにごろりと横になってため息のような大きな息をつくことがありますよね。
このような場合は、副交感神経を更に優位にさせる働きがあるため、更に深くリラックスすることにつながります。
犬がため息をついた時の対処法
犬がため息をつく理由には「ネガティブなもの」と「ポジティブなもの」の両方があるため、ため息をついた時の状況をよく見ておくことが大切です。いずれにせよ、愛犬の気持ちに寄り添った対応をしてあげましょう。
興奮している、ストレスを感じているようであれば、落ち着かせられるようにゆっくりと声掛けをして撫でてあげたりするのもよいでしょう。
不満がある場合はその不満を取り除いてあげることが良いのですが、かまってほしい時のため息を受け入れすぎると「要求」になってしまうことがあるので注意が必要です。我慢をしてもらう場面と、遊びを受け入れてあげる場面を明確にしてあげると、犬も納得しやすいです。
食後やうたたねをしている最中のため息であれば、犬が現状に満足しているサインと見てよいでしょう。
まとめ
人間も犬も、ため息をつく理由は様々あります。たとえ愛犬がため息をついたからといって、今いる環境全てが不満なわけでもありませんし、いつでも興奮を落ち着かせようとしているということもありません。
その時の犬の表情やほかの仕草などを、日頃からよく観察してあげることが大切ですね。