犬に与えてはいけない野菜は?
人間の健康には良い野菜でも、犬にもそうだとは限りません。犬に与えてはいけない野菜をご紹介していきます。
1.玉ねぎ、長ねぎ
犬が玉ねぎや長ねぎを食べると中毒を起こします。中毒の原因となるのは玉ねぎや長ねぎが含有する有機チオ硫酸化合物という成分で、この成分は犬の赤血球を破壊し、溶血性貧血を引き起こします。重度の場合は、死に至ることも。
犬が玉ねぎや長ねぎを食べて中毒を起こした場合、初期症状として下痢や嘔吐が見られ、貧血に陥ると血尿や粘膜蒼白(歯茎などの粘膜が白っぽくなる)、黄疸などが見られます。
症状は玉ねぎや長ねぎを食べてすぐではなく、1日〜数日後に出ることがほとんどなので、食べた日は元気でも安心はできません。
犬が中毒を起こす玉ねぎの量の目安は、体重1kg当たり玉ねぎ15〜20gと言われています。しかし個体差があるため、目安量以下でも中毒を起こす可能性はあります。
加熱しても有機チオ硫酸化合物の毒性は変わらないため、玉ねぎや長ねぎを使った料理を食べてしまうことも危険です。食卓のハンバーグやすき焼き、カレーなどを愛犬がつまみ食いしないように注意しましょう。
2.にんにく
にんにくはヒガンバナ科ネギ属に属し有機チオ硫酸化合物を含有しているため、犬に与えるのを避けるべき野菜です。にんにくは玉ねぎと比べると有機チオ硫酸化合物の含有量が少ないため、少量なら犬に与えても大丈夫と言う専門家もいます。
しかし有機チオ硫酸化合物への感受性の高さには個体差があるため、にんにくも犬には危険と考えたほうがいいでしょう。にんにくの芽もにんにくとほぼ同じ成分なので、犬には食べさせないようにしましょう。
3.にら
にらもヒガンバナ科ネギ属の野菜で、犬にとっては中毒を起こす可能性のある食材です。ネギ類全般が犬に中毒を起こす可能性があると認識しておきましょう。
ごく少量であれば犬がにらを食べても問題ないことが多いようですが、中毒を起こす有機チオ硫酸化合物を含んでいますので危険はゼロではありません。にらも犬に与えないようにしましょう。
ネギ類の中毒はどの犬種でも起こり得ますが、柴犬や秋田犬などの犬種は家系によりタマネギに高い感受性を示し、ほかの犬よりも症状が重くなったり、少量でも中毒を起こす場合があります。特に注意が必要です。
4.ししとう
ししとうは、ナス科トウガラシ属に属するとうがらしの甘味種です。甘味種ではありますが、ししとうにも辛味成分のカプサイシンが含まれています。
そしてししとうのほとんどはカプサイシンの含有量が少なく辛くありませんが、10本に1本程度の割合でカプサイシンを多く含んだ辛いものがあるので、犬には与えるべきではありません。カプサイシンは犬の胃腸を刺激し、下痢や嘔吐を引き起こす恐れがあります。
5.銀杏
銀杏にはギンコトキシンという神経毒の一種が含まれており、犬が銀杏を食べると銀杏中毒を起こす恐れがあります。犬が銀杏中毒になると下痢や嘔吐、痙攣などを起こし、最悪の場合は死に至ります。症状が出るのは、銀杏摂取後1〜12時間後くらいからです。
人も銀杏を大量に食べると中毒を起こす危険があり、大人は40個以上、幼児は7個以上食べると危険と言われています。犬の中毒量は分かっていませんが、幼児の中毒量を考えると数個でも危険かもしれません。犬には銀杏を与えないのが無難です。
犬におすすめの食材は?
犬に与えてはいけない野菜をご紹介してきましたが、犬に与えても大丈夫な食材はたくさんあります。ここからは、犬におすすめの食材をご紹介していきます。
※どんな食材もアレルギーを起こす可能性があります。ご紹介する食材を愛犬に初めて与える際はごく少量にし、下痢や嘔吐、かゆみなどの症状が出ないかよく観察してください。
もし何も症状が出なければ次回から少しずつ与える量を増やし、何か症状が出た場合は動物病院を受診しましょう。また愛犬に持病がある場合は、与えないほうがいい食材もあるので、与える前に必ず獣医師に相談をしてください。
1.キャベツ
およそ92%が水分でありながら体に良い栄養をたっぷり含んでいるキャベツは、犬におすすめの食材のひとつです。
キャベツにはビタミンやミネラルが豊富に含まれていますが、特筆すべきはビタミンU。ビタミンUはキャベジンとも呼ばれ、過剰な胃酸の分泌を抑制したり、胃の粘膜を保護したりしてくれます。
犬にキャベツを与えるときは、生でも加熱しても大丈夫です。生のほうがキャベツの栄養素をしっかり摂取することができますが、消化があまりよくないので、お腹が弱い犬には加熱したほうがいいでしょう。
加熱する場合は、茹でると水溶性ビタミンが溶け出てしまうので、電子レンジで加熱するのがおすすめです。生でも加熱したものでも、細かく刻みましょう。
キャベツの芯も細かく刻めば犬に与えることはできますが、芯には硝酸イオンという物質が微量含まれています。硝酸イオンは様々なところに存在する物質ですが、アミノ酸と結びつくと発がん性物質が生成されるといわれています。キャベツの芯を食べたからと言ってすぐに体調の変化が起こるわけではありませんが、芯は与えないほうが安心です。
キャベツにはカリウムが含まれているため、腎臓疾患などでカリウムに摂取制限がある犬は、キャベツを与える前に獣医師に相談しましょう。
またキャベツはアブラナ科の野菜ですが、アブラナ科の野菜にはゴイトロゲンという物質が含まれています。
ゴイトロゲンはヨウ素の吸収を阻害し、甲状腺ホルモンの生成を抑制する働きがあるため、甲状腺疾患のある犬にキャベツを与える際も獣医師に相談することをおすすめします。
そして尿路結石を患っている犬や過去に患った犬はキャベツのシュウ酸が心配なので、やはり獣医師に相談をしたほうがいいでしょう。
2.かぼちゃ
野菜なのにホクホクで甘いかぼちゃは、犬に人気の食材です。甘くておいしいだけではなく栄養も豊富で、ビタミンやミネラル、食物繊維、鉄分などをバランスよく含んでいます。
かぼちゃは犬の健康に有益な食材ですが、カロリーが高いため与えすぎると肥満に繋がります。習慣的に与えずに、時々フードのトッピングやおやつとして少量与える程度にとどめましょう。
犬にかぼちゃを与えるときは、種やわたを取り除いて柔らかくなるまで加熱したものを与えてください。
サイズが大きいと丸呑みして喉に詰まらせる危険があるので、一口サイズにカットしたり、ペースト状にしたりしましょう。皮の部分も、しっかり加熱して柔らかくなっていれば与えて大丈夫です。
3.ブロッコリー
「緑黄色野菜の王様」と呼ばれるほど栄養価の高いブロッコリーも、犬におすすめの食材です。ビタミンやミネラル、食物繊維など健康に役立つ栄養素が豊富で、ビタミンC はレモンの2倍も含まれています。
犬にブロッコリーを与えるときは加熱しますが、茹でる場合は豊富なビタミンC が溶け出ないように、なるべく短時間で茹でて塩は入れません。茎の部分は硬いので、厚めに剥いて加熱をし、消化しやすいように花蕾の部分も茎の部分も細かく刻んで与えます。
ブロッコリーにはカリウム、ゴイトロゲン、シュウ酸が含まれているため、腎臓疾患の犬や甲状腺疾患の犬、尿路結石を患っている/患ったことのある犬は、与える前に獣医師に相談をしましょう。
4.ヨーグルト
免疫細胞の70%は腸に存在すると言われているため、腸内環境を整えることは免疫力アップに繋がります。腸内環境を整える効果が期待できるのがヨーグルトです。
ヨーグルトにたっぷり含まれている乳酸菌やビフィズス菌が腸内の悪玉菌を減らして、善玉菌を増やしてくれます。また乳酸菌は口内の細菌の増殖を抑制するため、口臭予防の効果も期待できます。
犬には砂糖が入っていないプレーンヨーグルトを与えます。冷蔵庫から出してすぐは冷たくてお腹を冷やしてしまう可能性があるので、少し室温に置いてから与えましょう。
ヨーグルトにはタンパク質やカリウムが含まれているため、腎臓疾患などで摂取制限のある犬は、与える前に獣医師に相談してください。
5.納豆
納豆にはビタミンやミネラル、タンパク質、食物繊維のほか、ポリフェノールの一種である大豆イソフラボンや大豆サポニンなども豊富に含まれています。フードのトッピングやおやつに納豆を取り入れれば、犬の健康に良い効果をもたらしてくれるでしょう。
犬に納豆を与えるときは消化面を考えて、粒をつぶすかひきわりを与えるのがおすすめです。納豆をラップに包んでスプーンでつぶすとつぶしやすいです。犬に与える納豆にタレやからし、薬味は入れてはいけません。
納豆にはタンパク質やカリウムが豊富に含まれています。腎臓疾患などでタンパク質やカリウムの摂取制限がある犬は、納豆を与えても大丈夫か獣医師に確認しましょう。
また、心臓疾患などで血栓予防薬のワーファリンを服用している犬に納豆はNGとされています。納豆に含まれているビタミンKが薬の効果を弱めてしまうからです。
まとめ
今回は、犬に与えてはいけない野菜とおすすめの食材をご紹介しました。犬に与えてはいけない野菜は中毒や体調不良を引き起こす恐れがあるので、愛犬に与えないように注意が必要です。
もし愛犬がNGな野菜を食べてしまった場合は、飼い主さんの自己判断で無理やり吐かせようとせずに、すぐに動物病院へ連絡することが大切です。いつ、何を、どのくらい食べて、今どんな様子かを伝えて、獣医師の指示を仰ぎましょう。
ご紹介したおすすめの食材は愛犬の健康に有益な効果をもたらしてくれることが期待できますが、与えすぎはよくありません。
フードのトッピングやおやつとして与える場合は1日の必要摂取カロリー量の10%を超えないようにし、トッピングやおやつとして与えた分、フードの量を減らしましょう。