臓器の不調で口臭が⁉内臓疾患が隠れていることも
犬の口臭の原因は、口内環境の悪化や内臓疾患が挙げられます。
口内環境の悪化は、食べカスが残っていたり歯磨きができていなかったりすることが原因ですが、内臓疾患に関してはさまざまな臓器の不調が隠れている場合があります。
具体的には、
- 歯周病
- 口腔内腫瘍
- 肝臓疾患
- 腎臓疾患
- 胃の疾患
- 腸閉塞
などの可能性があります。
「歯周病」や「口腔内腫瘍」について
人間が毎日歯磨きをするのと同様に、犬にもデンタルケアが必要です。
特に歯の病気で多いのが、歯周病です。生活習慣病である歯周病は、進行すると、抜歯が必要になることがあります。また、酷くなると、炎症が歯の根っこの「根尖」まで及び、その周辺の骨が溶けてしまうこともあります。
愛犬の口臭が気になったら、まずは歯の病気をチェックしてあげてください。口を触ると嫌がるときがあるので、好きなおやつを与えながら手を口元に持っていき、口の中の様子を見ることがコツです。
デンタルケアは、歯ブラシで磨くのが基本ですが、専用のジェルを塗布する方法もあります。もし愛犬が嫌がる場合は、無理におこなわずに動物病院にお願いするのがよいかもしれません。
口腔内に腫瘍がある場合も、口臭の原因になる可能性があります。腫瘍には、良性と悪性があります。良性で大きくない腫瘍の場合は、周囲に悪い影響が出ることは少ないですが、悪性の場合は、口腔内の組織だけでなく、骨にも影響が出てしまうことがあります。
腫瘍ができると食欲がなくなることもあります。腫瘍は肉眼で良性が悪性かが判断できないため、定期的な動物病院でのお口のケアが大切です。
肝臓や腎臓の疾患、胃の疾患や腸閉塞について
肝臓や腎臓に異常があると、本来は代謝されて体外に排泄されるはずの老廃物が溜まることで、口臭の原因になります。アンモニア臭のような臭いが特徴です。肝臓や腎臓の異常は、かなり悪化しないと症状が出ないため、犬に口臭が出るくらいだと肝硬変や慢性腎不全などが考えられます。
口臭以外にも、元気がない、食欲がないなどの症状を併発している可能性が高いです。肝硬変や慢性腎不全は、命に関わることもあるため、動物病院で入院治療が必要になる可能性もあります。
胃が悪いと口臭がひどくなるのは犬も同様です。犬がなる胃の疾患は、胃潰瘍や胃ポリープ、胃捻転などさまざまです。
また、腸閉塞は、腸管が何らかの理由で塞がり、機能していない状態をいいます。消化物が詰まって流れなくなることで、食欲や元気がなくなり、嘔吐や下痢になったり、ガスがたまったり、便秘などの症状が出ます。
まとめ
このように、口内環境の悪化や内臓疾患によって口臭がすることがありますので、愛犬の口臭チェックをするのは病気を判断するうえで有効な方法です。
何よりも、口臭が悪化するレベルになる前に、定期的なデンタルケアや健康診断をお勧めしています。重篤な病気になる前に、かかりつけの獣医師に相談してみてください。
執筆者
アニホック動物病院グループ
総獣医師長/株式会社TYL 取締役
藤野 洋(ふじの ひろし)氏
日本大学生物資源科学部(旧 農獣医学部) 獣医学科卒業後、獣医師としてペットの総合商社に入社。主に獣医師として小動物臨床に従事しながら、ペット用品及び生体販売、フランチャイズ展開の知見を深める。2007年3月に株式会社フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。2017年3月に株式会社フジフィールドをファンドに株式譲渡。動物病院のグループ化とIPOの土台を築くために、譲渡先であるファンド出資の会社にて代表取締役としてM&A推進と既存グループ動物病院及び店舗の運営全般を行う。2021年2月TYLに取締役として参画。