犬の視覚が人より優れている点
では、犬の視覚が人より優れている点には、具体的にどのようなものはあるのでしょうか。
1.動体視力
「動体視力」とは、動いているものを識別する視力であり、野球やサッカーなどボールを使うスポーツ選手は優れているとされています。一方、一般的に眼科で測定する視力は「静止視力」と呼ばれています。
犬はこの静止視力が悪く、人間で言うところの0.3程度と言われています。しかし犬は野生時代狩りをしていたため、動体視力の方が発達しています。
おもちゃや鳥などが静止しているときは興味を示さないのに、動くと反応する犬が多いのは、動体視力によってはっきり見えるようになるのが理由です。
2.暗い場所でもよく見える
夜の散歩に行く際、懐中電灯などを持っていく人は多いです。そんなとき(犬は夜道でちゃんと見えているのかしら?)と疑問に思ったことはありませんか?
犬を観察していると、電気を消した暗い部屋でも水を飲み、トイレの位置もわかってスタスタ歩いています。
犬は本来夜行性の動物なので、実は夜でも昼と同じくらいに物を明るく見ることができます。
3.視野が広い
人間の目は顔の正面についているので、横から何かが近づいてきたと気づくのが遅いです。人間の視野角は180~200度で真横にあるものはほとんど見えません。
犬の視野角は約250度なので、かなり広い範囲が見えます。パグのような短頭種は220度と狭いですが、ボルゾイのような顔の長い犬は290度まで見えると言われています。
野生時代に狩りをする際や外敵が近づいてきた際に広い視野が役に立っていました。鹿などの野生動物も広い視野を役立てて生活しています。
犬にとって大事なのは視覚ではない
人間はかなり視覚に頼って生活しています。食べ物を見て美味しそうと感じるのも見た目の情報であることが多いですが、犬は違います。
人間は赤・黄・青が見分けられますが、犬には黄と青しか区別できず暖色を見ることができません。たとえば、人間には赤く見える肉も、犬には黄色い肉に見えていることになります。黄色い肉は、人間からするとあまり美味しそうではありませんね。
しかし犬はそもそも近視でもあるため、視覚に頼らず嗅覚等で対象を認識できるため、肉の色が黄色であっても問題ありません。飼い主や他の犬のことも、視覚による顔認識ではなく、ニオイや声で認識していると思われます。
まとめ
犬は元々あまり視覚に頼っていないので、失明した犬でも人間ほどの不自由は感じないようです。それでも目が悪くなると、つまづいたりぶつかったりして不安になります。
愛犬の目がいつもと違う、もしかしてよく見えていないのではと感じたら、すぐに治療を受けさせてあげてください。
そしていち早く愛犬の異変に気づけるように、普段からたくさん触れあってくださいね。