犬の里親制度とは?
まずは、犬の里親制度について基本的なことを理解しておきましょう。
里親とは、何らかの事情で行き場を失った犬を引き取り飼育を行う人のことです。
犬を販売するペットショップとは異なり、里親の場合は民間の保健所や動物愛護団体や個人間の譲渡によって犬を引き取ります。
里親制度で引き取る犬は、飼い主の事情で飼えなくなった犬や多頭飼育崩壊で保護された犬、迷い犬や野犬などが多く、子犬や成犬など年齢もバラバラです。
劣悪な環境で飼育された犬や病気を持つ犬もいるので、犬の里親になるには、そのような事情も全て考慮しなければなりません。
犬の里親になるための条件
「犬が好き」「犬を飼ってみたい」という気持ちだけでは、残念ながら里親にはなれません。
「犬の里親に興味がある」という方は、今回ここでまとめた『犬の里親になるための条件』をぜひチェックして、ご自分は里親になれる条件に当てはまっているかどうかをまずは確認してみてください。
飼育環境
里親になるためには、以下のような飼育環境が求められます。
- ペット飼育可能な環境であるか
- 家族に動物アレルギーを持つ人はいないか
- 犬を飼うことに反対している人はいないか
- 倒れた時、頼れる人はいるか
- 室内で飼うのに十分な広さはあるか
- 60歳や65歳以上の人は預け先の確保がある人
まずは住環境が整っているか再確認してください。とくにアパートやマンションのような共同住宅に住む方は「ペット可能物件であること」「犬のサイズに適した広さが確保できること」が重要です。
他にも「同居家族から了承を得ていること」「自治体によっては60歳または65歳以上の人は預け先の確保もした上で引き取ること」が条件となります。
また、動物アレルギーについても注意してください。生まれた子供が犬アレルギーで飼えなくなる、というケースもあります。そのような可能性も踏まえて、上記の条件をひとつずつよく検討してみましょう。
譲渡・飼育費用
犬を迎え入れるためには、当然それなりの費用が発生します。以下の条件やもろもろの費用の支払いが可能なことが必須となります。
- 18歳以上で経済能力のある人
- 譲渡費用(1万円前後〜)
- 健康診断やワクチンなど(年間平均3万円程度)
- 飼育費用(月間平均1万3千円程度)
犬の里親になれるのは、「18歳以上」で「経済能力がある人」であることが最低限の条件です。
譲渡費用は民間の保健所で1万円前後、保護団体によって去勢費用など別途必要になります。また、犬を迎え入れる際には、健康診断や畜犬登録費、狂犬病予防接種、その他ワクチン各種、ケージやペット用トイレなど初期費用が必要です。
犬1匹の飼育費用は、犬のサイズによって異なりますが、エサ代やペットシーツなどで月間平均1万3千円台がかかるといわれています。犬は医療保険がないため、治療費が全額負担となることをあらかじめ知っておいてください。
犬の健康診断は1回7千円〜3万円程度がかかり、犬のサイズが大きくなるほど高くなります。入院や手術になると数十万円の治療費用がかかることも、承知しておかなければなりません。
犬の里親になる方法と手順
実際に犬の里親になる方法は、「民間の保健所や動物愛護センター」「譲渡会」「インターネットの里親募集」などさまざまです。
ここでは、それぞれの方法別に里親になる手順をご紹介します。
保健所・動物愛護センター
- 電話で問い合わせ・会場へ行く
- 犬と対面・講習を受けるなど
- 犬を引き取る
身近な自治体の保健所または動物愛護センターでは、常時里親を募集しています。申し込む前に、自治体が公布する里親の条件を確認しましょう。
施設に直接足を運ぶこともできますが、初めての人は事前に問い合わせた方が確実です。犬の飼い方やしつけ教室といったイベントに参加しながら、犬と触れ合ってみるのもいい機会になります。
実際に引き取りたい犬を決めた後は、対面や講習、飼育環境のチェックなどを行った上で自宅に連れて帰るといった流れになります。
譲渡会
- 近隣の会場を確認して里親の申し込み
- 会場で対面
- 面会を設けて譲渡に進む
各自治体や民間の動物愛護団体では、身寄りのない犬と出会える場を設けるために譲渡会を随時行っています。インターネットやSNSでも活動の様子をみることができるので、ぜひ検索してみてください。
譲渡会に参加すると必ず犬を引き取らなければならない、ということでは決してありません。むしろ何度もそういった場へ足を運んでから、自分の身の丈に合う犬を引き取ることが大切です。
また、保護団体による適正チェックがある場合もあります。
里親募集(インターネットなど)
- 犬の里親を募集しているサイトから申し込む
- 面会日に犬たちの面会と個別面談(必要書類や申込書類・誓約書が必要)
- 個別面談で譲渡が決まる
ネット上で「里親募集」という掲示も多く見つかります。ただ、個人間での譲渡はさまざまなトラブルも起きているので、初めての人にはおすすめできません。
信頼性の高い民間団体が行っているかをぜひ確認してください。譲渡まで時間がかかるため、余裕をもって申し込むようにしましょう。
まとめ
犬の里親になるには条件をクリアするだけでなく、引き取った犬を最期の日まで面倒を見る覚悟がなければなりません。心の傷を抱えた犬も多いため、広い心で受け入れてあげて欲しいです。
殺処分ゼロを目指した、さまざまな愛護団体や自治体で譲渡会が行われています。ぜひ大切な家族として犬を受け入れることへ、一歩踏み出してみてください。