犬の「ワガママ状態」とは
「お腹が減った」「お水が飲みたい」「遊んでほしい」「撫でてほしい」など、犬は様々な要求や感情を態度で表し、私たち人間に伝えようとしてきます。
また、犬は知能が高く学習能力が高いため、「こうすると要求が通った」「ごはんの前にはこうすればいい」「遊びに誘うのはこうするといい」などの成功体験をしっかり覚えます。そのため、要求したときに自分の願いが叶ったと感じると、犬たちはその行動を繰り返して自分の要求をさらに通そうとします。
これがエスカレートしていくと「ワガママ状態」になり、自分の要求が通らないときは無理やりでもかなえようという行動を見せるようになります。
ワガママ状態の犬がよく見せる行動の一つが、「唸る」「歯を当てる」などの、飼い主や人間に攻撃性を見せる行動です。遊びたくて吠えたり唸ったりしてみせたり、おもちゃを独り占めしたくて飼い主の手が伸びてきたら歯を当てる真似をしたり、自分の思うように飼い主を動かそうとするようになります。
また、飼い主の呼びかけを無視したり、飼い主の物を取って返さなかったりする行動もワガママの一種です。さらに、いたずらによる破壊行動も飼い主に対する脅しの一種で、自分の要求を通そうとするときによく見られる行動です。
犬が「ワガママ状態」の時にすべきではないダメ行動
では、犬が上記のようなワガママ状態の時、飼い主がすべきではない行動にはどのようなものがあるのでしょうか。
1.犬のワガママを聞いてしまう
小さな子犬が遊びたいと言っているから、独りぼっちにさせたらかわいそうだから、おもちゃを取り上げたらかわいそうだから、と犬のやりたいことに全て応えてはいないでしょうか。
犬は大変賢く、行動の結果起こったことを学習します。こうしたら飼い主が言うことを聞いた、ああしたら飼い主がどこにもいかなかった、ということをきちんと結び付けて覚えてしまうので、ワガママな行動がどんどんエスカレートしてしまいます。
攻撃的な行動で飼い主がひるんでしまうと、犬は「こうしたら飼い主は言うことをきくんだ」としっかり覚えてどんどん攻撃的な行動が増えていってしまうのですね。
飼い主は愛犬のワガママには一線を引き、これ以上は決して応じない、こういう場合はひるんだ顔を見せないという心構えをもっておくことをお勧めします。
2.高い声・優しい声で注意してしまう
犬は人間の発する言葉の意味は分かりません。声音や表情で判断します。そのため、犬を叱る際はなるべく低い声で短く厳しく「ダメ」と伝えることが肝心です。
しかし人によっては小さな子供を相手にするように、高い声や優しい声音で「だめよー」「やめてねー」と注意をしていることがありますね。しかしこの場合、犬たちは高い声で褒められた、優しい声で行動を促されたと勘違いしてしまうのです。
犬たちにとって高い声や優しい声は、一緒に遊んでいる感覚になってしまいます。
特に、小型犬を相手にする場合は、犬の姿が小さく幼くみえるのでどうしても話しかける声音が高くなりがちです。叱る際、注意する際は、低く・厳しく・短くを意識した発声をしてみましょう。
3.暴力を振るう
昔のしつけ方法は強制法として、悪いことをしたら矯正するために暴力を使ったり痛みを伴う罰を与えたりしていました。痛みや恐怖は一時的にいうことを聞かせることはできるようになりますが。暴力による支配では信頼関係が作れません。
暴力を繰り返すことで恐怖心が高まり、飼い主を敵と認識して攻撃性に転化する犬もいますし、暴力・虐待は犬のと絆を破壊する行為となるので絶対NGです。
まとめ
犬も人間の子どもも、ワガママをすべて受け入れてしまうとエスカレートして一緒に生活することが難しくなりますし、それを全て暴力などで無理やり抑え込ませてしまっても、健全な関係性を築けなくなります。
犬にも感情があり、自分で考えることができるということを常に念頭に置き、要求を聞ける場合と聞けない場合の線引きをしっかりさせましょう。
愛犬のワガママ状態を改善していく際には、くれぐれも混乱させないように接していくことが大切ですね。