シニア犬に新しい芸を教えることができる?
英語の言い回しで「You can't teach an old dog new tricks(歳をとった犬に新しい芸を教えることはできない)」というものがあります。「長年にわたって確立されたやり方を持っている人を変えることはできない」という意味で使われます。
しかし犬の世界の話では、しばしば「歳をとった犬ににも新しい芸を教えられるよ!」という言い回しに変えて使われます。これは文字通り、犬は年老いても新しいことを学ぶことができるという意味です。
犬だけでなく猫の飼い主さんたちも同じように考えていることを示すアンケート調査の結果が発表されました。
アメリカの自然派ペットフードの会社『ステラ&チュウイーズ』が2,000人の犬と猫の飼い主さんを対象にしたアンケートで、87%の人が「シニアのペットに新しい芸を教えることは本当にできる」と回答したそうです。
このアンケートは11月が全米シニアペット月間であることを祝って行われたもので、多くの飼い主さんがシニアペットの素晴らしさを回答しています。
7割以上の飼い主さんが「どんどん賢くなる」
このアンケートでは、犬と猫の飼い主さんたちがペットの年齢に伴う変化についてどのように感じているかが調査されました。
ペットが若い頃とシニア以降になってからの経験を比較する質問が多く設定されており、次の様な回答結果が得られました。
54%の人が「若いペットはトレーニングがしやすい」と答えたのですが、一方で71%の人が「うちの犬(または猫)は歳をとるにつれて賢くなっている」と回答しています。思わず頬が緩みますね。
歳をとって賢くなった具体的な例は「他の動物や人間との交流が上手になった(72%)」「新しいキューやトリックを覚えるのが上手になった(56%)」などです。
若いペットと暮らすことについては「よりエネルギーがある(64%)」「健康上の問題が少ない(54%)」というメリットがあるものの、「若いペットはより多くのトレーニングを必要とする(61%)」「事故を起こしやすい(55%)」と考えられていることもわかりました。
シニアペットが教えてくれること
シニアのペットと暮らしている人の多くは長い年月をペットと共に暮らしてきた人たちで、90%の人が愛犬や愛猫が自分の人生に大きな影響を与えたと答えています。
特に「子どもが産まれた」「家族を失った」「パンデミックを乗り越えた」など人生の大きな経験を経て、ペットへの信頼や愛情がより強くなったと考える人が多いようです。
ペットが教えてくれたこととして、「年齢で人生の楽しみを決める必要はない」「毎日を大切に生きよう」「若い世代には我慢強く接する」などが挙げられています。納得したり、ニヤリとしたりしますね。
回答者の68%は、一般的にもっと多くの人がシニアペットを飼うことに前向きであるべきだと答えています。
これはペットが歳をとることについて後ろ向きな気持ちになる必要はないという意味もありますが、シニアに差し掛かったペットを新しく家族に迎えることに対して前向きにという意味もあるかと思います。
まとめ
アメリカのペットフードの会社が犬と猫の飼い主を対象に行った、シニアペットについてのアンケート調査の結果をご紹介しました。
現実にはペットが歳をとったからと保護施設に連れて行ったり、手元には置いていても若い頃のように世話をせずにフードだけ与えて放ったらかしという例は少なくありません。
この調査はごく軽い内容で、新しいことを学ぶという性質のものではないのですが、シニアにさしかかった愛犬や愛猫がますます愛おしく大切な存在であることをアピールする人が増えることは、先にあげたような悲しい例を減らすためにも大切なことです。
もちろんこのようなアピールをしたからといって簡単に社会が変わるわけではありません。けれど「シニアの犬や猫と暮らすのは良いものですよ」というアピールがたくさんあることは、人にとっても動物にとっても住みやすい社会にするための重要な地盤になると思います。
《参考URL》
https://studyfinds.org/pet-owners-older-pets-smarter/