犬が喜んでいるときのサイン
人と同様に犬にもさまざまな感情があります。人間のさまざまな感情は「喜怒哀楽」という言葉で表されますが、犬によくみられる感情は「喜怒怖安」です。「喜」は喜び、「怒」は怒り、「怖」は怖い、「安」は安堵(リラックス)です。
喜怒怖安の中で最もポジティブな感情が「喜び」でしょう。気持ちの浮き沈みが激しすぎるのはあまり好ましくありませんが、全く刺激がないのも精神衛生上良くありません。愛犬の幸せのためにも、喜びの感情は大いに感じてほしいものです。
そのためにも、犬が喜んでいるときに見せるサインを知り、愛犬がどのようなときに喜ぶのかを把握しましょう。
犬にも個性がありますが、一般的に喜んでいるときに犬が見せるサインとして代表的なものは、下記のようなものです。
- 目が輝いている
- 目を細める
- 口角が上がる
- しっぽが高く上がっている
- しっぽを小刻みに振っている
犬が大喜びしているときのリスクとは
犬が喜んでいるからといって見過ごしてはいけないのが、喜びすぎて手がつけられないほど興奮してしまった場合です。大喜びすることがいけないというわけではありません。ですが、どのような場合でも「度が過ぎる」のは危険と紙一重の場合が少なくないのです。
犬の場合、大喜びしすぎて興奮が度が過ぎた状態になってしまうと、飼い主さんの言葉も耳に入らなくなり、いろいろと危険な事態を招いてしまうリスクが高まってしまうことが多いのです。
もし、飼い主さんの言葉ですぐに落ち着いた状態に戻れるのであれば、問題はありません。しかし飼い主さんの言葉も耳に入らず、興奮が収まらずに制御できないような状態になった場合は危険です。
今回は、犬が大喜びして興奮した場合のリスクと、そのような場合に起きるトラブルの回避法をご紹介します。
1.相手に怪我を負わせる
犬があまりにも喜びすぎて興奮してしまうと、相手が人であれ犬であれ、飛びついてしまうことがあります。特に中・大型犬が小さなお子さんや足腰の弱った高齢者に飛びついてしまうと、相手に怪我を負わせてしまうリスクが非常に高くなります。
また、興奮し過ぎて相手に突っ込んで行ってしまう場合もあります。リードを握っていた飼い主さんが転倒して怪我をすることもあるでしょう。また驚いたり怖がったりして避けた相手の方が怪我をしたり、突進相手の犬と喧嘩になったりと、これも危険です。
2.犬自身が怪我をしてしまう
犬が喜びすぎて興奮してしまうと、犬自身が怪我をしてしまうリスクも高まります。飼い主さんの言葉も耳に入らず、周囲の状況も考えないで走り回り、交通事故に遭う、家具などにぶつかるという事故が考えられます。
また喜びのあまり後ろ足2本で立ち上がり、縦方向にジャンプを繰り返す場合があります。とても嬉しいという気持ちがよく伝わってくる行動ですが、これは犬の関節にとても強い負担をかけ、繰り返すことで関節や骨の病気を起こす原因になります。
3.周囲に対して迷惑をかけてしまう
相手に怪我を負わせたり怖がらせたりすること自体も周囲への迷惑になりますが、それだけではありません。集合住宅であれば、嬉しくて部屋の中を走り回る足音や振動が階下への騒音となります。嬉しくて大きな声で鳴き続けるのも、近隣への騒音となります。
昼間であればあまり目立たない音かもしれませんが、夜中だと驚くほど大きな騒音に感じてしまいます。昼間仕事で家を留守にしていて、夜遅くに帰宅されるご家庭などは、特に注意しましょう。
犬が大喜びしているときのトラブル回避法
では、犬が大喜びしている時のトラブル回避法には、どのような方法があるのでしょうか。
愛犬が落ち着くまで無視する
犬が喜びすぎて興奮している場合は、声をかけたり抱きしめたりする対処法は逆効果です。「静かに!」などと叱りつけるのも同様で、愛犬は「一緒に喜んでくれている!」と勘違いしてしまい、ますます興奮してしまうことが多いのです。
最も効果がある対処法は「無視」です。どんなにアピールしても反応してもらえないと分かれば、冷静になり落ち着きを取り戻すでしょう。落ち着いた瞬間を逃さずに褒めてあげれば、「静かに落ち着けば褒めてもらえる」ということを学ぶでしょう。
強いマイナスの感情を感じさせない
平常心でいたときに嬉しいことが起こっても、めったに興奮してしまうことはありません。退屈だ、不安だといったようなマイナスの感情が大きくなったところに嬉しい出来事が起こることで、コントロールできないほどの喜びが生じて興奮してしまうのだと考えられます。
例えば昼間はずっと犬がひとりで留守番をし、帰宅すると毎回興奮してしまうという場合は、お出かけ前にしっかりと散歩をして疲れさる、留守番中にも知育玩具などで退屈させないといった工夫をすることで、帰宅時の興奮を抑えられるかもしれません。
普段から基本のしつけをしておく
普段からしっかりと基本のしつけをしておくことが大切です。どんな時にも「マテ」「オスワリ」「フセ」といったコマンドを聞けるようにすることで、興奮したときにも落ち着かせられるでしょう。基本のしつけは、愛犬の身を守ることに繋がります。
まとめ
愛犬が喜んでいる姿は、飼い主さんにとっても嬉しい姿でしょう。しかし、喜び方の度が過ぎてしまい、他人に怪我を負わせたり、愛犬自身を怪我させたり、周囲に迷惑をかけたりする場合は、ご家族による対処が必要です。
大きな声や大きなジェスチャーで叱りつけたり、叱らないまでも注意の声がけをしたりするご家族が多いですが、大喜びして興奮している場合は逆効果です。
愛犬が「興奮してもかまってもらえない」「落ち着いていれば褒めてもらえる」と学べるような接し方や、基本のしつけを普段から行うように心がけましょう。それが、愛犬の身を守ることにも繋がります。